「あとは野となれ山となれ」という、ことわざの意味はご存知ですか?なんだか投げやりになっているような印象を受けますが、正しい意味と使い方が気になるところですね。語源とあわせて、同義語や反対語まで徹底的に調べていきたいと思います。

「あとは野となれ山となれ」のことわざの意味は?

「あとは野となれ山となれ」の意味①当面のことが済めば後は知らない

「あとは野となれ山となれ」の意味・語源・使い方は?ことわざの同義語・反対語も
(画像=『BELCY』より引用)

「あとは野となれ山となれ」の意味の1つ目は、当面のことが済めば、後は知らないということです。現在直面している問題を片付けることに力は尽くすが、その後にどのような結果になろうとも知ったことではないという、開き直りの気持ちが裏に隠されていることわざとなっています。

「あとは野となれ山となれ」の意味②目先のことが上手くいけば後は構わない

「あとは野となれ山となれ」の意味・語源・使い方は?ことわざの同義語・反対語も
(画像=『BELCY』より引用)

「あとは野となれ山となれ」の意味の2つ目は、目先のことが上手くいけば、後のことは構わないということです。長い目で先のことまでを考えるのではなく、その場しのぎでも目先のことが上手くいけば、それで良いという考えですね。利己的な気持ちが裏に隠されていることわざとしても捉えられます。

「あとは野となれ山となれ」の意味③できることをやったので後は運任せ

「あとは野となれ山となれ」の意味・語源・使い方は?ことわざの同義語・反対語も
(画像=『BELCY』より引用)

「あとは野となれ山となれ」の意味の3つ目は、できることをやったので、後は運任せということです。これ以上はできることはないので後はなるようになれという、潔い気持ちが裏に隠されていることわざとしても解釈されます。紹介した意味の中では、最もポジティブに捉えることができるものです。

後のことはあまり考えないというニュアンスのことわざは、他にもたくさんあります。併せて目を通して、詳しい意味や心理をチェックしてみましょう。

「あとは野となれ山となれ」のことわざの語源は?

「あとは野となれ山となれ」の由来と語源①収穫後の耕地が由来

「あとは野となれ山となれ」の意味・語源・使い方は?ことわざの同義語・反対語も
(画像=『BELCY』より引用)

由来と語源の1つ目は、収穫後の耕地が由来となります。耕地で作物を育てた場合、生活の糧となるので、耕地への手入れは欠かせませんね。良い収穫を得るために、耕地の様子には常に注意を払っておく必要があります。

しかし、いったん作物を収穫してしまえば、あとの耕地が野になるが山になろうが関係ありません。収穫さえできれば、あとのことは気にならないことから来ていることわざだとされています。

「あとは野となれ山となれ」の由来と語源②浄瑠璃の一節が語源

「あとは野となれ山となれ」の意味・語源・使い方は?ことわざの同義語・反対語も
(画像=『BELCY』より引用)

由来と語源の2つ目は、浄瑠璃の一説が語源だということです。1711年ごろに近松門左衛門(ちかまつもんざえもん)という浄瑠璃作家によって書かれた、『冥途の飛脚』という作品に、語源となっている一説が記されています。

QUOTE

浄瑠璃・冥途の飛脚:「栄耀栄華も人の金、果は砂場をうち過ぎて、あとは野となれやまとぢゃ、足にまかせて」 引用元:コトバンク

『冥土の飛脚』は、公金を横領して芸者に入れあげた男が、逃亡の果てに心中するというあらすじです。作品自体にも、目先のことだけで、後のことは知ったことではないというニュアンスが感じ取れますね。投げやりな男のフレーズが、ことわざとして定着したと考えられています。

「あとは野となれ山となれ」のことわざの使い方は?

「あとは野となれ山となれ」の使い方①どうにでもなれと開き直る

「あとは野となれ山となれ」の意味・語源・使い方は?ことわざの同義語・反対語も
(画像=『BELCY』より引用)

使い方の1つ目は、どうにでもなれと開き直るときに使うものです。自分がやったこと、あるいは、これからやることの結果に対して無責任に開き直るときに使います。例えば、「企画を任されたけれど、中途半端な状態でしか仕上げることしかできなかった。あとは野となれ山となれだ」といった使い方が考えられます。

思っていたように物事が進まず、結果に不安が残るときに使われることが多い表現です。できれば、使わずに済ませられるよう頑張りたいですね。

どんなときに人間は開き直るのかを知っていると、いざ開き直られたときの対処も簡単になります。自分自身が開き直るようにして、楽に生きるのも良いですよ。

「あとは野となれ山となれ」の使い方②利己的な考えを表す

「あとは野となれ山となれ」の意味・語源・使い方は?ことわざの同義語・反対語も
(画像=『BELCY』より引用)

使い方の2つ目は、利己的な考えを表すときに使うものです。目先のことさえ上手くいけば、後のことは知ったことではないという考えを持っている場合に使います。個人の都合で、他の誰かに迷惑がかかる可能性が高いときに使われる傾向にあります。

例えば、「私が辞めた後のことなど知ったことではない。あとは野となれ山となれ、残った人たちがどうにかするだろう」のような使い方ですね。

また、「最低限の引き継ぎもしないで辞めていった。あとは野となれ山となれと言わんばかりの態度は、社会人としてどうかと思う」のように第三者が使う場合は、利己的な行動に腹を立てていることが分かります。利己的な行動を取られないためには、心理を知っておくと良いでしょう。

「あとは野となれ山となれ」の使い方③やるだけやったと潔く振舞う

「あとは野となれ山となれ」の意味・語源・使い方は?ことわざの同義語・反対語も
(画像=『BELCY』より引用)

使い方の3つ目は、やるだけやったと潔く振舞うときに使うものです。精一杯頑張って、あとは運に任せるしかない状態になったときに使います。例えば、「今日のプレゼンのために、万全を尽くして準備をしてきた。あとは野となれ山となれという心境だよ」といった使い方が考えられます。

何らかの目標を達成するために、努力してきた後に使うことができますね。やってきたことに悔いがない状態で、潔さを際立たせます。ポジティブな意味で使うことができる点が特徴です。

「あとは野となれ山となれ」のことわざの間違った使い方は?

間違った使い方①責任を持ち続ける気持ちを含む

「あとは野となれ山となれ」の意味・語源・使い方は?ことわざの同義語・反対語も
(画像=『BELCY』より引用)

間違った使い方の1つ目は、責任を持ち続ける気持ちを含むことです。「あとは野となれ山となれ」は、個人の責任や力が及ぶ範囲から外れてしまった事柄に対して使用します。

そのため、「今日まで厳しい練習を乗り越えてきたのだから、あとは野となれ山となれの精神で最後まで頑張るだけだ」のような使い方はNGです。最後まで頑張る気持ちを表しているので、間違いとなるのですね。後のことに対して、責任を持ったり力を尽くしたりする気持ちがある場合は、使用を避けましょう。

間違った使い方②特定の物事を対象にする

「あとは野となれ山となれ」の意味・語源・使い方は?ことわざの同義語・反対語も
(画像=『BELCY』より引用)

間違った使い方の2つ目は、特定の物事を対象にすることです。「あとは野となれ山となれ」ということわざは、特定の物事を対象にして使うことはできません。例えば、「こんどのコンペに勝つことさえできれば、あとは野となれ山となれという感じですね」といった形での使い方がNGとなります。

この場合、「コンペ」という物事さえ良ければ、後はどうなってもいいというような使い方になっていますね。誤用されることが多い使い方なので、注意するようにしましょう。