伊香保温泉周辺の観光スポットと言えば、必ず名前が挙がる水澤寺。本尊の十一面先手観世音菩薩が有名で「水沢観音」としても親しまれています。コンパクトなお寺ですが、敷地内では鐘楼が鳴らせたり、六角堂で参拝者が台座を廻せたり、龍王弁財天でお水取りができたりします。また、仁王門の上に階段であがる、本堂の裏で阿弥陀如来を拝むなど、一歩踏み込んで正面とは違った一面を見る楽しみもあります。登山もできる水沢山を祖山とし、風水の観点では「龍穴」と呼ばれる確かなパワースポット、水澤寺をご紹介します。
天皇の祈願によって開かれた水澤寺
水澤寺は約1,300年前、推古天皇・持統天皇の祈願により開かれました。その約500年後の鎌倉時代に、戦いの後の人々の供養や平和祈願などのためにと、源頼朝が思いを込めて開設した、坂東三十三観音霊場の十六番札所になったようです。
この「三十三」というのは、観音さまが人々に教えを授け、救いを与える際に変身する数に因んでいるそうです。観音さまは菩薩さまの中の一人で、水澤寺では様々な菩薩さまを拝むことができます。
それでは、盛りだくさんな水澤寺を大満喫する散策の流れを紹介していきたいと思います。
車で行く人も仁王門をくぐって
車で行くと駐車場の脇から敷地内に入れますが、そこからは入らず、少し歩いて坂を下りましょう。右手に見えてくる手水舎で身を清め、仁王門を通って本堂に向かいましょう。仁王門をくぐって裏側から、足元に気をつけて階段を上がると、釈迦三尊を拝むこともできます。
大和の鐘を撞いて深呼吸
鐘の響きは煩悩を取り除くとされているそうです。行事の始まり、ともされているので、「これから参拝に伺います」という意味も込めて、本堂のお参りの前に鐘を撞きましょう。じっくりと響きを感じ、心身が整っていくことで浄化されるとも言われます。
本堂では是非歩き回って
水澤寺の本堂では、通常のお参りをしてから、是非お賽銭箱の一歩前に出て天井を見上げてみてください。中央に龍が、そして左右に迦陵頻伽(かりょうびんが)が描かれています。その周りを、さすが水沢、水の彫刻が囲っています。迦陵頻伽は空想上の生き物ですが、描くことで浄土を表現し、如来の教えを讃うことを意図するとされているそうです。
では、水澤寺で阿弥陀如来はどこにあるのか?というと、実は本堂の裏に鎮座しています。本堂の周りがぐるっと歩けるようになっているので、阿弥陀如来像と十六羅漢像を見にぜひ行ってみましょう。