かつて外国人居留地であった横浜山手には今なおレトロな雰囲気を漂わせる洋館があちらこちらに点在しています。それらは大きくわけると3つのエリアに点在しており、JR「石川町駅」からスタートするなら、まずはイタリア山庭園エリア、つぎに元町公園エリア、そして最後に港の見える丘公園エリアです。無料で内部を見学できる洋館も多く、外観を眺めるだけでなく洋館内の見学も楽しみたい。また洋館カフェで休憩しながらの洋館めぐりもおすすめです。
イタリア山庭園エリア
JR「石川町駅」で下車して洋館めぐりスタート!まず飛び込んで来るのは、イタリア山庭園にあるふたつの洋館です。
ブラフ18番館
フランス瓦の屋根、そして白い壁にミントグリーンがアクセントになっている、木造2階建ての「ブラフ18番館」。関東大震災後に山手45番地に建てられた外国人住宅を、イタリア山庭園に移築復元したものです。1991年までカトリック山手教会の司祭館として使われていました。
ブラフ18番館では春と秋のバラをはじめ、よく手入れされた庭には季節によってさまざまな花が咲き誇り、洋館と美しく花とのコラボレーションが楽しめます。また館内は無料で見学することができます。
外交官の家
ブラフ18番館のお隣に建つのは「外交官の家」。東京渋谷の南平台に1910年に、明治政府の外交官内田定槌氏の邸宅として建てられたもので、1997年に現在のイタリア山庭園に移築復元しました。
建物は木造2階建で、一階には食堂や客間、2階には寝室や書斎の生活空間。内部は無料で見学ができ、各展示室には建物の特徴や外交官の暮らしぶりについての資料が展示されているほか、付属棟には喫茶スペースが設けられています。
【よりみち】イタリア山庭園
ブラフ18番館および外交官の家の見学とともに「イタリア山庭園」も楽しみたい。イタリアで多く見られる庭園様式にならったもので、四季折々の花が咲く花壇が幾何学的に配されています。かつてイタリア領事館があったことから「イタリア山」と呼ばれています。
元町公園エリア
イタリア山庭園エリアから歩いて12分ほど歩くと元町公園エリアに到着。洋館カフェとして有名な「えの木てい」があり、このエリアで一度お茶でもしながら休憩するのがおすすめです。
1930年に建てられたイギリス人貿易商B.R.ベリック氏の邸宅「ベーリックホール」。600坪の敷地に建つこの建物は、現存する戦前の山手外国人住宅のなかでは最大の規模で、スパニッシュスタイルを基調としたデザインです。南欧リゾート風情を感じるこの建物を設計したのはアメリカ人建築家J.H.モーガン。あとに紹介する「山手111番館」も彼の作品です。
一般公開されたのは2002年の7月からのことで、個人の邸宅としてはとても広い内部は無料で見学できます。
エリスマン邸
ベーリックホールと小道をはさんだところにあるのが「エリスマン邸」。スイス生まれのフリッツ・エリスマン氏の邸宅として1926年に建てられたもので、1990年に現在の場所に移築復元されました。
内部は無料で見学でき、一階には暖炉つき応接室、リビング、サンルームなど、そして二階には山手の洋館に関する資料を展示しています。
山手234番館
山手本通沿いに建つ「山手234番館」は一見するとレストランのよう。1927年頃に外国人向けのアパートとして現在の場所に建てられたもので、1999年から一般公開しています。内部は見学無料。一階にはリビングを再現するほか、山手洋館地区のパネルを展示、そして二階はギャラリー展示などに利用できる貸し出しスペースになっています。
えの木てい本店
山手234番館のお隣に建つ「えの木てい本店」は1927年に設計されたもので、もともとはアメリカ人検事が暮らしていました。その後1970年に現在のオーナーが買い取り、1979年より1階のリビングをカフェとしてオープン。現在もカフェとして営業をつづけています。
山手十番館
1967年に明治100年を記念して建てられた「山手十番館」が、2015年11月10日にレストラン&カフェとしてリニューアルオープンしました。1階はカフェ、2階はレストランとしてランチやディナーに利用できます。