「32万円貸して欲しい!」と土下座する彼
同棲当初はそんなことも楽しく仲良く過ごしていたのですが、半年が過ぎ…まだ無職のままのNさんのことが彩菜さんは心配になってきたそう。
「そんなある日Nに『友達と一緒に会社を立ち上げることにした。でも資金があと少し足りないので32万円貸して欲しい!頼む!』と土下座されて…困ったなと思いました」
Nさんが転がり込んできたために、食費や光熱費が以前よりかさむようになり、彩菜さんは貯金を切り崩して同棲生活を続けていました。
「なので、もう24万円しか貯金がなかったんですよ。仕方がないので、来月の家賃の分にキープしていた8万を足してNに渡しました」
持ち逃げ「会社が軌道に乗ったら何倍にもして返すから!本当に感謝しているよ」というNさんの言葉を彩菜さんは信じたそう。
「ですが…そのままNと全く連絡が取れなくなってしまったんです。お金を持って出て行ったまま帰って来なくて、携帯もつながりませんでした」
そして、その時に初めて「そういえば、Nにご両親も親しいお友達も紹介してもらえていなかったな」と彩菜さんは気がつきました。
「コロナ禍だし、そういうのはこの状況が落ち着いてからかな?とボンヤリは思っていたのですが、もしかしたら意識的に紹介しないようにしていたのかもしれませんね」
父との夢きっかけでクローゼットを掃除すると…
ショックを受けた彩菜さんはふさぎ込み、仕事が手につかなくなってしまいました。
「『急にギックリ腰になってしまった』と嘘をついてしばらく仕事を休んで、ずっと泣いていました。友達や母親にも『やっぱり、ずっとモテなかったから男を見る目がないんだね』と思われる気がして相談できないし、とにかく誰にも知られたくありませんでした」
泣き疲れて眠ってしまった彩菜さんは、久しぶりにお父さんの夢を見たそう。
「夢の中では、まだ私は小学生で父も若くて…一緒に実家の大掃除をしていました。懐かしくて、暖かい余韻(よいん)に包まれながら目が覚めて、なんだか一息つくことができたんですよね」
彩菜さんは、ふと思い立ってクローゼットの掃除を始めました。
「そういえば父は掃除が大好きだったので。すると奥の方から、引っ越しした時のまま開けていないダンボールが出てきたんですよ」