世界を股にかける日本人は昔からいたが、今やSNSを通じた逆輸入アイドルやインフルエンサーが続出している。まず海外で人気に火がついて、日本でもブレイクする日本人たち。そんな“逆輸入”の背景を取材した。
日本人がK-POPグループから続々デビュー
最近増えている逆輸入アイドルが、海外グループの一員として日本人がデビューするパターンだ。昨年までに50人以上の日本人がK-POPグループからデビューしている。韓国芸能に詳しい平松道子氏は「今やアイドルを目指す人の多くが、韓国に渡ります。韓国でデビューすると即、世界で認知される可能性が高いからです」と話す。
韓国芸能界での日本人の立ち位置も変わってきているという。
「日本が韓国エンタメの最大輸出先なだけに、メンバーに日本人がいたほうが足場を築きやすいのは確か。しかし今は日本人も実力、体形的にも韓国人とほぼ差がなくなり同じ条件下で競争できるようになったといえます」
「ENHYPEN」の日本人メンバー、ニキに注目!
ENHYPENのニキ(西村力)は右から二番目 。唯一の日本人メンバー(Photo by Anthony WALLACE / AFP/時事)
その代表例が、2020年に韓国のオーディション番組から生まれた男子7人グループ「ENHYPEN(エンハイプン)」の日本人メンバー、ニキ(16歳、西村力)。ニキのチッケム(グループの個人だけを映す動画)は2021年再生回数ベスト10に5つもランクインし、実力派として世界で認知されている。 ニキは小学生ですでにK-POPグループのバックダンサーを務めていて、13歳で韓国に渡って練習生となった。
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さらに平松氏は、BTSの所属事務所「HYBE」が行うローカル戦略は、日本の芸能界が目指すグローバル化に寄与する可能性があると話す。
「HYBE JAPANから今年デビュー予定のグループの日本人メンバー2人はENHYPENに入れなかったのですが、オーディション番組を通じて180か国以上で名が知られ、小国では人気投票1位にもなっている。デビュー前から既に世界にファンを持っているんです」
こうした座組みは、J-POPが海外にリーチする上で大きな恩恵をもたらすだろうという。