京都・北山にある、安藤忠雄設計の野外美術館【京都府立陶板名画の庭/きょうとふりつとうばんめいがのにわ】を、展示作品全8点も含めて解説します。入場料金、アクセス、滞在時間は文末にまとめています。

京都府立陶板名画の庭とは

京都の野外美術館【陶板名画の庭】の解説
(画像=がぅちゃん トリップノートより引用)

「京都府立陶板名画の庭/きょうとふりつとうばんめいがのにわ/Garden of Fine Arts Kyoto」は、京都市左京区の北山エリアにある野外美術館/絵画庭園です。世界の名画8枚を、陶板画で展示しています。

絵画庭園としては世界初の施設とされています。展示作品全8点のうち半数は、1990年開催の「国際花と緑の博覧会」にて展示されたものです。

「国際花と緑の博覧会」は、日本の特別博覧会史上・最高の来場者だったことでも知られており、その数約2,300万人。陶板名画の庭の展示作品は、当時の日本を代表する作品だったことが窺えます。

建築について

京都の野外美術館【陶板名画の庭】の解説
(画像=がぅちゃん トリップノートより引用)

京都府立陶板名画の庭は、京都を代表する建築物の一つです。安藤忠雄(あんどうただお)による設計で、1994年に建てられました。全3層で地上から地下に降りていく構造となっていますが、野外にあるので地下にいる感じがしないのが独特です。

余談ですが、この陶板名画の庭の向かい側にある建物「B-LOCK北山」も安藤忠雄による設計で(1988年完成)、建築ファンの間では有名です。

陶板画について

京都の野外美術館【陶板名画の庭】の解説
(画像=がぅちゃん トリップノートより引用)

陶板画とは、写真製版技術を用いて陶器の板に図柄を転写したもの。絵の具で塗るのとは別の技術で、色などの劣化が少ないことが特徴です。陶板画は野外展示に適していると言えます。

陶板画の製造で有名な企業が、大阪の「大塚オーミ陶業」と、ドイツの「マイセン/Meissen」。京都府立陶板名画の庭の陶板画は、大塚オーミ陶業によって制作されています。

ちなみに、ドイツ・ドレスデンの観光名所「ドレスデン城」には、マイセン磁器による世界最大の絵画「君主の行列」という作品が存在します(陶板画と似ているが別物)。

京都の野外美術館【陶板名画の庭】の解説
(画像=がぅちゃん トリップノートより引用)

京都府立陶板名画の庭の展示作品全8点の解説

京都の野外美術館【陶板名画の庭】の解説
(画像=がぅちゃん トリップノートより引用)

順路に従って進んで8点を鑑賞する流れとなります。それぞれの作品には簡単なキャプションがあります。

それでは全ての作品の概要と、それぞれの陶板画としての見どころなどを紹介していきます。

1. 睡蓮・朝/モネ

京都の野外美術館【陶板名画の庭】の解説
(画像=がぅちゃん トリップノートより引用)

1914〜1918年にフランスの画家「クロード・モネ」によって制作された作品です。2m×12.75mと細長く、原寸大で展示されています。

作品は入場してすぐの通路左の水中に設置されているのですが、景色に溶け込みすぎてスルーしてしまうかもしれません。水中に展示できるのが陶板画ならではです。水面のテクスチャとの相乗効果で独特のビジュアルとなっており、見飽きません。

京都の野外美術館【陶板名画の庭】の解説
(画像=がぅちゃん トリップノートより引用)

2. 鳥獣人物戯画/鳥羽僧正

京都の野外美術館【陶板名画の庭】の解説
(画像=がぅちゃん トリップノートより引用)

京都の世界遺産「高山寺」に伝わる国宝「鳥獣人物戯画/ちょうじゅうじんぶつぎが」の2倍拡大版が展示されています(※甲巻・乙巻のみ)。漫画の原点とも言われている作品です。絵巻物なので右から読むのですが、進行方向と同じなので楽に鑑賞できます。

一般的に絵巻物の展示は、展示会場の物理的制約(広さ)のせいで、部分部分しか鑑賞できなかったりします(現代の漫画で例えると、ページではなくてコマごとに切り取られて展示されていて、ちぐはぐな感じ)。

しかし陶板名画の庭の鳥獣人物戯画は一枚で見せきっているので、鑑賞の際の従来の煩わしさが無いです。地味ですが、衝撃的な手法だと思いました。陶器版特有のザラっとした質感が紙の肌触りと絶妙にリンクしていて、風情と見応えがあります。絵の詳細を間近でじっくり鑑賞できるのも嬉しいです。

京都の野外美術館【陶板名画の庭】の解説
(画像=がぅちゃん トリップノートより引用)

3. 最後の審判/ミケランジェロ

京都の野外美術館【陶板名画の庭】の解説
(画像=がぅちゃん トリップノートより引用)

1536年〜1546年にイタリアの芸術家「ミケランジェロ・ブオナローティ」によって制作された作品です。縦13mを超える実物はバチカン宮殿の「システィーナ礼拝堂」に展示されており、現地でも最大の見どころの一つと考えられています。

京都の野外美術館【陶板名画の庭】の解説
(画像=がぅちゃん トリップノートより引用)

陶板名画の庭にある最後の審判は、バチカンの原作とほぼ同じ14.30m×13.09m。サイズからして隠しきれないプレゼンスといった様子で、入場エリア(というかほぼ全フロア)から見えています。施設最大の展示物/見どころと言えるでしょう。

京都の野外美術館【陶板名画の庭】の解説
(画像=がぅちゃん トリップノートより引用)
京都の野外美術館【陶板名画の庭】の解説
(画像=がぅちゃん トリップノートより引用)

なお陶板名画の庭で見学者は、この「最後の審判」を目指して進んでいくといった格好となります。

京都の野外美術館【陶板名画の庭】の解説
(画像=がぅちゃん トリップノートより引用)

4. 最後の晩餐/レオナルド・ダ・ヴィンチ

京都の野外美術館【陶板名画の庭】の解説
(画像=がぅちゃん トリップノートより引用)

1495年〜1498年にイタリアの芸術家「レオナルド・ダ・ヴィンチ」によって制作された作品です。4.20m×9.10mの原寸大の作品が展示されています。

京都の野外美術館【陶板名画の庭】の解説
(画像=がぅちゃん トリップノートより引用)

ちなみに最後の晩餐は「キリストのペサハのセーデル」を描いているとされています。ペサハのセーデルとは、ユダヤ教の行事のことで、日本の正月におせちを食べるような感覚と似ています。キリストが活動した地・イスラエルでは、現在も毎年ペサハのセーデルが実施されています。

京都の野外美術館【陶板名画の庭】の解説
(画像=がぅちゃん トリップノートより引用)