室内はホコリだらけで大掃除
しかし、彼女は重ね着などはしていましたが、上着は普通の冬物のコート、靴もスエード素材のブーツと除雪作業をするにはあまりに不似合いな格好です。
幸いにもスコップを取りに入った際、玄関の靴箱に長靴があり、それを借りて事なきを得ましたが、この日履いていたデニムパンツは雪で完全にビショ濡れ。1時間以上かかってようやく作業が終わった後、すぐに着替えることに。ただし、2人がやらなければならない仕事はこれだけではありませんでした。
別荘はしばらく使われていなかったため、室内が散らかっているわけではなかったですがホコリが溜まっており、快適に過ごすには掃除が必要。
彼氏も祥子さんも借りる側のマナーとして掃除は最初から行うつもりでしたが、別荘は3LDKでリビングは20畳以上。同じ間取りの都内の平均的なマンションや一軒家よりも広く、こちらも想定していた以上の重労働でした。
「掃除機があったとはいえ、窓や階段の手すりなど自分で拭かなければいけない場所もたくさんありました。ほかにも細々とした場所の掃除が山ほどあり、やってることは完全に大掃除。ようやくすべての作業が終わったころにはすっかり日が暮れていました」
おかげで当初は時間をかけてごちそうを作る予定でしたが体力・気力も失せてしまい、メニューを大幅に変更して夕食は豚肉と白菜の鍋とパックご飯のみで終了。疲れていたせいかお風呂から上がると一気に睡魔が襲ってきて、夜10時前には寝てしまったそうです。
翌日も朝から雪かきでクタクタに……
「翌朝は6時過ぎに目が覚めましたが、8時間以上寝たのは久しぶり。それも熟睡だったので目覚めは気持ち良かったですが、前日の雪かきの影響か腕が筋肉痛でした」
この日は午後に東京に戻る予定でそれまでのんびり過ごすはずでしたが、夜中に雪が降ったこともあって再び除雪作業に追われます。
前日できなかった建物の周りの雪も片付けたので朝食を取った後は何もする気がおきず、彼氏は再び寝室へ。彼女もリビングのソファーで二度寝してしまいます。
結局、別荘での2日間はまったり過ごすどころか除雪と掃除をしただけで終了。思い描いた別荘ライフとは、ほど遠かったようです。
「せめて2泊3日なら1日ゆっくり過ごせたかもしれないけど、冬場の2日間はあまりに短すぎました。それに建物が少し古いせいか広いからかはわかりませんが、暖房を強くしても微妙に寒かったんです。
こんなことならお金払ってホテルに泊まったほうが全然よかった。まあ、別の意味で忘れられない思い出になりましたけどね(苦笑)」
“タダより高いものはない”と言いますが、まさにその通りになってしまったようです。
―冬の男女トホホ話―
<文/トシタカマサ イラスト/zzz> ⇒この著者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】 トシタカマサ 一般男女のスカッと話やトンデモエピソードが大好物で、日夜収集に励んでいる。4年前から東京と地方の二拠点生活を満喫中。