離婚するか、踏みとどまるか。三者三様、女たちの生きる道
漫画家が集まるパーティに出席した帰り、忍は地元のカラオケボックスにひとりで寄った。まっすぐ帰りたくなかったのだ。店員として飲み物を運んできたのが学生時代の漫画仲間・ハカセ。夫と離婚したものの養育費が振り込まれず、深夜まで働いているのだという。 彼女は開いたジョッキを手に部屋を出ていこうとし、振り向いて言うのだ。 「わかってはいたんだけどね……私にとって結婚って、最強の生活保障だったわ」
この言葉、身につまされた女性たちもいるだろう。離婚したいけれどこの先の生活のこと、子どもの学費のことを考えると離婚できないと嘆く女性は少なくない。それでも愛情のない生活を続けられず離婚に踏み切る人もいれば、生活のために別れない人もいる。いい悪いの問題ではなく、それが現実なのだ。だから彼女は忍に言った。 「ここでストレス解消して、それで夫婦としてやっていけるならがんばってよ」
「忍ちゃん得意の焦げ焦げ餃子、おいしそう~」 と、悪気はないがタチの悪い謎のモラハラ発言をする夫(どうやら彼は十数年前からそういう発言を繰り返していたようだ)と、それをやり過ごす術を身につけながら、なんとか自分自身を保ってきた忍。 夫に頼り、不倫相手に頼り、そして今は息子に頼っている千秋の母、冬子。 結婚生活を解消し、子どものために必死に働くハカセ。 三者三様の生き方がドラマの中でくっきりと炙り出されたのは興味深い。
「この家、ぶっ壊してやろうと思った」
そして最後、忍は驚愕の事実を千秋に突きつけられる。 「アイツ、人の家庭を壊しておいて、何ごともなかったかのように普通にメシ食ってましたよ」 夫・洋平が千秋の母と不倫関係を持ったために、千秋の家庭は壊れたのだという。だから千秋は、忍が洋平の妻だとわかったとき、アシスタントとなって「この家、ぶっ壊してやろうと思った」のだ、と。そして千秋はさらに詰め寄る。 「アイツが浮気してたの知ってましたよね。なのにずっと黙っていたのは何でなんですか」 忍は答えられない。大人の都合に巻き込まれてばかりだった千秋の苦悩が吐露される。
大人には「回避」という選択肢がある。今、決断しなくてもいいことは先送りし、あとでじっくり考えればいいのだ。だがそれが、時として子どもを傷つけることになるのかもしれない。となると、ハカセも今は生活に追われているが、いつか自分の決断が間違っていなかったと思う日がくるのかもしれない。 そして忍は、決断を先送りしてきたことと、対峙するときを迎えているのではないだろうか。
【前回記事】⇒小さなトゲで妻を傷つける「今どきのモラハラ夫」。ベッドで妻から“意外な復讐”|ドラマ『シジュウカラ』
<文/亀山早苗> ⇒この記者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】 亀山早苗 フリーライター。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数。Twitter:@viofatalevio
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