JR・近鉄の奈良駅から15分ほど歩くと「ならまち」に到着します。江戸時代の名残が見られる町家の並ぶ風景に、タイムスリップしたような感覚に襲われます。本記事では、ゆったりと歴史を感じながら歩くことのできる「ならまち(奈良町)」の見どころをメインに、食べ歩きグルメも紹介します。
ならまちとは
ならまちの成り立ちは、町の中心地に建っている世界遺産の元興寺にゆかりがあります。
元興寺は、平城京の誕生より以前に建てられた、日本で初めての正式な仏寺と言われています。敷地は南北に約500m東西に約250mあったと言われ、東大寺につぐ広さがありました。しかし、1451年に民衆の一揆による戦火によってお寺の大部分が焼失してしまったのです。
奈良町はその後、元興寺の敷地だった土地に人々が住み着いて出来あがった町です。今でも足元には仏像などが埋まっていて、町全体がご利益に包まれていると言われていますので、歩いているだけで良いことがありそうです。
以下では、ならまちの散策スポットとおすすめの食べ歩きグルメをご紹介します。
元興寺
飛鳥時代(588年)に建てられた法興寺(飛鳥寺)が前身である、日本で最古の本格的な仏教寺院です。
平城京に都が移されてからは寺名が「元興寺」に改められ、東大寺・興福寺・大安寺・薬師寺・西大寺・法隆寺とともに南都七大寺に数えられ、大きな影響力を持つようになったと言われています。1998年にはユネスコの世界文化遺産「古都奈良の文化財」の一つとして登録されました。境内には、以下のようなさまざまな見どころがあります。
屋根瓦
注目していただきたいのは屋根瓦。本堂(極楽堂)に敷かれている屋根瓦は、創建時の飛鳥時代に作られた、日本最古の瓦です。この時代の瓦は、当時の「窯」の焼成温度が低かったため、赤みや黒みを帯びていると言われています。
浮田図
浮図田と呼ばれる石仏・石塔群も見どころの一つ。浮図とはブッダのことで、仏像、仏塔が稲田のごとく並ぶ場所という意味です。鎌倉時代~江戸時代にかけてつくられた石仏・石塔などを昭和になってから一か所に集める形で整備されたもの。本堂・禅室を背景に石仏たちの並ぶ風景は、元興寺の定番「撮影スポット」になっています。
庚申堂(こうしんどう)
庚申堂は、ならまちの中心にひっそりと建つ小さなお堂です。こちらは江戸時代から続く庶民の魔除けの「庚申信仰」の拠点となっています。
屋根の上に「見ざる聞かざる言わざる」がいたり、お参り所の台を支えているのも猿だったりと、いろんな場所に猿がいますので、よーく見てみてくださいね。お堂の中には青面金剛像が祀られていて、災いや病魔を退治する力があるそうです。「庚申さん」と親しみを込めて呼ばれ、昔から地域の人に親しまれています。
また軒先には、ひしめき合うように猿の人形が吊るされています。
これは魔除けの一種で、災いを代わりに受けてもらえるという言い伝えから、「身代わり猿」と言われています。この猿はお堂だけでなく、ならまちエリアのあちこちで軒先に吊るされている光景を見かけ、地域に根付いていることが分かります。