よいプリントって何だろう
「思い通りの仕上がり」こそが「よいプリント」
実は、昔は写真屋さんがとても苦手でした。何というか「選ばれし紳士の社交場」的な、お得意さんを優遇するサロンの雰囲気が馴染めませんでした。
近所にあった老舗の写真店でしたが、中学生ぐらいから月に1本ぐらいのペースでフィルムを持って行っていました。撮っていたものは街角スナップとか風景とか猫とか、まあイマイチなものばかりでした。同時プリントの仕上がりもそれなりで、空が真っ白になった夕焼けとか、透明感が出るように明るく、飛ばし気味に撮ったはずの絵が、しっかりと濃くプリントされていたりと、まったく思い通りにならないもどかしさを感じていました。
これは今でもよくあることで、明るすぎたり暗すぎたりといった露出のバラつきを、紙に焼くときに適正に「救済」できるのがネガフィルムのよいところです。実はフィルムの持っている情報量はとても多く、そのごく一部だけが印画紙上に抜き出されているのです。機械がネガの調子を読み取って、適正に補正してくれます。ただその「適正」というのが曲者で、逆に「意図してあえて明るくor暗く撮ったもの」まで自動補正してしまいます。意図的に露出を変えた場合、同時プリントでは、まず思い通りの仕上がりにはなりません。
見本をつけるとさらに仕上がりがよくなる
一番お手軽に、よい良い仕上がりのプリントを得るには、仕上がりの見本となる写真を見せることです。口頭で「こんな感じ」と説明しても、お互いに基準となる物差しがありません。結局、自動補正された写真に、ほんのちょっとだけ要望に応えた手心を加えるような仕上がりになってしまうのがオチです。もちろん、何度か見本を見せるようなことを繰り返し、顔見知りになった店員さんならば「あなたの色」を覚えてくれるかもしれません。
明るさの補正は、露出の+1段、-1段という指示が手っ取り早いのですが、初心者にはちょっと勘どころが難しいと思います。そこは素直に「こんな感じに仕上げてください」と見本になるような、似たような構図の写真や雑誌の切り抜きなどを一緒に持っていくと確実です。
焼き直しが無料の店を探してみよう
意外と知られていませんが、写真屋さんによっては、仕上がりの明るさが気になる場合、無料で焼き直してもらえます。
実際、コイデカメラさん(関東のチェーン店)などは、「ご満足いただけるまで、何度でも写真を焼き直しいたします*」と宣言しています。明るさが気に入らなかったプリントと引き換えにはなりますが、無料で新たに補正したプリントを焼いてくれます。
*2021年12月現在の情報です。
インデックスプリントを見て、明るさを指定して焼き増しする
小さなL版に焼かれたインデックスプリントの一コマ一コマは、はっきりいってよくわかりません。
ところが、フィルムルーペを使ってのぞき込むと、意外なほどよく見えます。インデックスプリントを見るだけなら5倍もあれば充分です。インデックスは明るさの目安にはなるので、思い通りになるように明るさを変えて、プリントの指示を出すことができます。よさそうなコマだけプリントすれば無駄も少なくて、ちょっとプロっぽいですね。
キャッチボールの相手を見つけるように
チェーン店でも店舗によってそれぞれ
何度か通えば、あなたとセンスが合うオペレーターさんに会えるかもしれません。同じ店でもオペレーターさんのセンス次第という部分もありますので、「プリントはこの人で!」と指名したくなるようなオペレーターさんに会えるまで、とにかく写真屋さんを巡って試してみてましょう。
また、実は明るさだけでなく、コントラスト、彩度なども、ある程度ですが指定できるお店もあります。プリント料金も割高になる場合が多いですが、まずはそういった対応が可能かどうか、相談してみましょう。
プリントはキャッチボールのように
もちろん、どんなに技術を持っているオペレーターさんでも、あまりにも明るすぎたり暗すぎたり、ちゃんと写っていないものは、いくら見本があってもどうしようもありません。向こうにきちんと届く、相手がキャッチできるような写真を撮るのが理想です。投げた球がちゃんといい感じで返ってくるような、そんなお付き合いのできるお店を探してみましょう。
もっとも、何度かフィルムのキャッチボールをすれば、(相手はプロですから)あなたの技量はバレバレです。思い通りの仕上がり目指して、わからないことはとにかくどんどん写真屋さんで聞いてみましょう。わかりやすい回答が返ってきたら、それがあなたにとってのいい店になっていくと思います。それこそがいい仕上がりへの近道です。
提供・トランカ
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