菅田将暉の発言が話題を呼んでいます。スポーツ報知(1月15日配信)のインタビューで、日韓のエンタメ事情に言及。欧米でもヒット作を連発する韓国との差を、「ちゃんと僕らは悔しがらなきゃいけないんだと思います」と率直に語ったのです。
2021年にリリースされたBTSのベスト盤『BTS, THE BEST』
たしかに韓国エンタメの勢いはすさまじい
これに多くのネットユーザーが共感。“まともに演技もできず歌も下手な人たちでもタレントになれる”とか、“同じような人たちばかりが出るキャスティングの問題”など、日本のエンタメが抱える問題を指摘するコメントが相次ぎました。
確かに、韓国エンタメの勢いはすさまじい。2020年のアカデミー賞で4冠に輝いた『パラサイト 半地下の家族』や、Netflixで世界的大ヒットしている『イカゲーム』は、社会現象になりました。
音楽では、何と言ってもBTSです。ビルボードHot100で3曲もナンバー1を獲得する快挙を達成。彼らの成功を受け、日本のアイドルグループが、韓国の育成システムを真似るようになりました。それでも、BTSやBLACKPINKなどと同等に世界的にインパクトを与える日本のアーティストはまだ見当たらないのが現実でしょう。
2021年にリリースされたBLACKPINK『THE ALBUM -JP Ver.-』
そうした実力が伴わない理由として、ネット上のコメントにあるような芸能界の問題点が影響しているのかもしれません。
“BTSもどき”があふれるK-POPヒットチャート
けれども、それが本当に日韓のエンタメ事情のすべてかというと、にわかには同意できない部分もあるのです。こと、音楽に関して言えば、韓国のヒットチャートと、日本のヒットチャートを見れば、その違いは歴然としています。
上から下までBTSやBLACKPINKの“もどき”があふれる韓国の音楽ランキング番組を見ると、あきらめに近い絶望感を味わいます。同じ顔、同じメイク、同じファッションで、同じフォーメーション、振り付け、曲調、歌い方のグループが延々と続くからです。ひたすらに一つの成功メソッドと若さを食い尽くす虎の穴のようなヒットチャート。これもヘル朝鮮(※)か…。
楽器をまともに扱えるバンドもほとんどいなければ、落ち着いたベテランの存在もない。なかには星野源とコラボしたZion.Tや、ラッパーのMudd the studentのように、異彩を放つミュージシャンもいますが、チャートに占める割合としてはごくわずかなもの。 いずれにせよ、BTSは上澄み中の上澄みであって、決して韓国の音楽シーンそのものに豊かな厚みがあるわけではないのだと理解できます。
※ヘル朝鮮:激しい競争と格差、若者の失業などが深刻な韓国を、韓国の若者が「地獄のよう」と表現するスラング