愛知県常滑(とこなめ)市は、常滑焼で知られる焼き物の街です。市内中心部には、古い登り窯や煙突、常滑焼の土管が使われた風情ある通りがあり、多くの人が散策に訪れています。陶磁器の買い物や、カフェでの飲食も楽しい常滑を訪れてみませんか?

常滑市とは

【愛知】風情ある焼き物の街「常滑」を散策しよう
(画像=ゆきたか トリップノートより引用)

常滑市は、愛知県西部にある、人口約5万9千人の都市です。平安末期から焼き物の産地として栄え、瀬戸、信楽、越前、丹波、備前と並んで、日本六古窯(ろっこよう)と呼ばれいますが、常滑はそれらのなかでも最も古く、最大の規模を誇ります。

現在でも窯業は主な産業ですが、ほかに漁業、農業などもさかんです。2005年、常滑市の沖合約1.5kmに中部国際空港が開港すると、対岸にはショッピングモールなども開業し、歴史を感じる焼き物の街に、新たな魅力が加わりました。

やきもの散歩道を散策しよう

「やきもの散歩道」は、レンガ造りの煙突や窯、陶器の廃材を利用した坂道などを眺めながら歩ける遊歩道で、常滑市の人気観光スポットです。陶磁器のお店や飲食店、休憩所も点在しているので、それぞれに立ち寄りながら歩いてみましょう。

散歩道にはAコース(1.6km 所要時間約60分)とBコース(4km 所要時間約2時間30分)があります。今回の記事では、Aコースを紹介します。

常滑駅からやきもの散歩道へ

【愛知】風情ある焼き物の街「常滑」を散策しよう
(画像=ゆきたか トリップノートより引用)

やきもの散歩道へは、名鉄の常滑駅から徒歩で向かうことができます。駅前の道路を東に数分歩けば、ネコの焼き物が多数並んでいるのが見えてきます。この通りは、まねき猫通りと呼ばれており、可愛らしい猫がコンクリートの壁に飾られています。

【愛知】風情ある焼き物の街「常滑」を散策しよう
(画像=ゆきたか トリップノートより引用)

さらに歩き、常滑焼の展示即売も行っている「陶磁器会館」手前を右に曲がると、やきもの散歩道がスタートします。坂道には、常滑焼の土管が並んでおり、焼き物の街に来たことを感じさせます。ここからは迷路のような細い道を歩きますので、陶磁器会館か、常滑駅にある観光案内所で地図をもらっておくと便利です。

見守り猫「とこにゃん」

【愛知】風情ある焼き物の街「常滑」を散策しよう
(画像=ゆきたか トリップノートより引用)

見守り猫「とこにゃん」は、やきもの散歩道のシンボルとも言える、巨大な招き猫です。駅から続く通りに面した高台から、常滑の街を見守っています。散歩道のコースからいったん少し戻りますが、通りからは見えにくいので、近くで見てみてくださいね。

廻船問屋 瀧田家(かいせんどんや たきたけ)

【愛知】風情ある焼き物の街「常滑」を散策しよう
(画像=ゆきたか トリップノートより引用)

瀧田家は、江戸時代から明治時代に廻船業を営んでいました。廻船とは、港から港へと、人や物資を運んで回る船のことで、常滑でもかつて多くの廻船主が住んでいました。

こちらでは、1850年頃に建築された瀧田家の建物を、常滑市が復元・整備し、一般に公開しています。建物内には、幕末から明治中期まで使われていた、菜種油を用いる灯具「無尽灯(むじんとう)」や、和船の模型のほか、海運の歴史についてを映像や資料で分かりやすく展示しています。

【愛知】風情ある焼き物の街「常滑」を散策しよう
(画像=ゆきたか トリップノートより引用)
【愛知】風情ある焼き物の街「常滑」を散策しよう
(画像=ゆきたか トリップノートより引用)

主屋、土蔵、離れからなる瀧田家はとても立派なもので、主屋や離れには趣きのある庭もあります。特に主屋の庭には、甕(かめ)に落ちる水が反響して、琴のような音が聞こえる「水琴窟(すいきんくつ)」もありますので、ぜひ見てみてください。

でんでん坂

【愛知】風情ある焼き物の街「常滑」を散策しよう
(画像=ゆきたか トリップノートより引用)

でんでん坂は、廻船問屋 瀧田家の南側にある坂道です。この坂道のある丘が、でんでん山と呼ばれていることから、このような名前が付いたそうです。坂道の壁には、常滑焼の焼酎瓶が一面に敷き詰められており、坂の下から眺めると壮観です。

土管坂(どかんざか)

【愛知】風情ある焼き物の街「常滑」を散策しよう
(画像=ゆきたか トリップノートより引用)

土管坂には、常滑焼の古い土管が坂道に多数並んでおり、やきもの散歩道を代表する景色となっています。明治期の土管、昭和期の焼酎瓶が擁壁に使われ、さらに坂道にも「ケサワ」という土管の焼成時に使った捨て輪を敷き詰めており、滑らずに歩けるように工夫されています。焼き物で作られた坂道を歩き、記念撮影してみてください。

登窯広場 展示工房館

【愛知】風情ある焼き物の街「常滑」を散策しよう
(画像=ゆきたか トリップノートより引用)

登窯(のぼりがま)広場は、登窯や、やきもののモニュメントがある公園です。ベンチもあり、散策途中の休憩にも利用したいスポットです。

公園内にある展示工房館では、登窯の見学や、素焼きの陶器への絵付け体験が行えます。1階に展示されている登窯は、両面焚倒焔式角窯(りょうめんだきとうえんしきかくがま)という珍しいもので、窯の正面に2つの入口があるのが特徴です。窯の中に入って見学することもできますよ。

登窯

【愛知】風情ある焼き物の街「常滑」を散策しよう
(画像=ゆきたか トリップノートより引用)

登窯広場にある登窯は、1887年(明治20年)頃に築かれ、1974年(昭和49年)まで使われていました。高さの異なる10本の煙突や、8つの焼成窯を持つ立派なもので、その大きさは日本最大級と言われています。

1982年には、国の重要有形民俗文化財に指定され、さらに平成19年11月には、近代化産業遺産にも認定されました。

【愛知】風情ある焼き物の街「常滑」を散策しよう
(画像=ゆきたか トリップノートより引用)
【愛知】風情ある焼き物の街「常滑」を散策しよう
(画像=ゆきたか トリップノートより引用)

登窯は、ぐるっと一周して見学することができます。年月の経過を感じさせる重厚な煙突、緻密に積み上げられたレンガの焼成窯をじっくり観察してみてください。