映画が好き、フランスが好き。そんな方たちにお届けしたいフランス映画をPARIS mag編集部がセレクトしました。すべてPrime Videoでレンタルが可能なので、おうちでの自分時間にいかがでしょうか？
ファンタジックな世界観に没入したり、女性の働く姿に勇気をもらったり、パリでのデートに胸躍らせたり…。そんなふうにアナタを魅了する作品をご紹介します。
ファンタジックなパリにトリップ『ムード・インディゴ うたかたの日々』
はじめにご紹介するのはファンタジックな演出が魅力の『ムード・インディゴ うたかたの日々』です。
資産家のコランと心美しい女性・クロエが出会い、ふたりの恋模様が描かれている本作。友人たちと満ち足りた日々を送る彼らはついに結婚しますが、ある日クロエは肺に睡蓮の花が咲く奇妙な病気を患ってしまいます。財産が底を尽きてきたコランは、クロエの治療費を稼ぐため働きに出ることに…。この作品の魅力はなんといっても、ファンタジックな世界観！
コランとクロエの恋模様が描かれる世界では、たくさんの遊び心のある演出が私たちを楽しませてくれます。ふたりの結婚式のシーンは、突然教会の中が水の中に。また、コランには土砂降りの雨、クロエには晴天と、きれいにふたつに分かれたお天気のピクニック。他にも、ぐにゃぐにゃとした人形の脚になったふたりのダンス！など、まるで子どもの自由な発想の中に飛び込んだかのような無邪気な演出は、本作ならではの見どころです。
そんなマジカルな演出に欠かせないのが豪華キャスト陣。『アメリ』のオドレイ・トトゥ、『タイピスト!』のロマン・デュリス、『最強のふたり』のオマール・シーなど、フランス映画の代表作に出演している名俳優が揃って出演。経験豊富な俳優陣の芝居だからこそ、奇想天外な世界の中へより深くトリップさせてくれるでしょう。
そんなワクワクした世界から一変、後半は突如としてモノトーンの世界に移り変わります。幻想世界と無縁の苦悩である貧しさや病気といった現実も描かれます。ファンタジーをファンタジーのままで終わらせてくれないのも、シニカルなフランスらしさといったところでしょうか。
ふたりの恋の局面が、演出とピタリと重なる本作は、カラフルとモノトーン、夢想と現実、光と影が一気にやってくるからこそ、観ている私たちの心を大きく揺さぶることでしょう。「人生は泡のよう」と、歓びと儚さがつまったフランス流のファンタジーなら、この作品がおすすめです。
『パリの調香師 しあわせの香りを探して』 働く女性は美しい!
香水大国のフランスならではの映画『パリの調香師 しあわせの香りを探して』。本作では、香りにまつわる調香師の仕事が描かれています。
ディオールの香水『ジャドール』など、数多くの代表作を手掛けてきた調香師のアンヌ。しかし彼女は嗅覚障害を発症し、第一線から退いていました。そんな彼女の元にギヨームという男性が運転手として雇われます。ギヨームは気難しいアンヌに四苦八苦しながらも、愛する一人娘の共同親権を獲得するため、彼女との仕事に励みます。ぶつかり合いつつ不思議な調和を見せていくふたりの人生が豊かに香り立つ物語です。
唯一無二の調合のように、絶妙なコンビ感が生まれるアンヌとギヨーム。気立ての良い彼のおかげもあり、アンヌは少しずつ心を開いていきます。複雑で奥行きがあり、働くことを通して映し出されるアンヌの人物像が本作の魅力のひとつです。
度々描写される黙々と調合を行うアンヌの姿。調香師としての自分の仕事に誇りを持ち、仕事に向き合う凛とした彼女からは、フランスらしい自立した女性像を感じさせます。やりがいや喜びを見出すことのできる働き方を模索する人が多い今日では、アンヌの姿にきっと勇気をもらえるはずです。そんなたくましくもあるアンヌから、意外な一面も見えてきます。
香りの原料の調査に向かう途中に立ち寄った売店で、アンヌはとある石鹸を見つけます。この石鹸の香りから蘇ってきたかつての記憶をギヨームに話すアンヌ。彼女が見せたのは今までの神経質な雰囲気とは打って変わって柔らかい表情。
挫折、迷い、凛々しさ、純粋さ、やりがい…。香水のように複雑に成分が組み合わさって、アンヌのいくつもの表情をみることのできる本作。その複雑さこそが人の魅力なんだと思わせてくれるでしょう。人生はまるで香水。人との出会いや出来事がよい調合となり、内に秘めていた感情や思い出に出会えるのだから。そして働いているからこそ経験する苦悩をも、美しい香りの成分に変えて前に進むアンヌは、私たちの生きるヒントになってくれるはずです。
『マーメイド・イン・パリ』恋の街・パリでデートを
『マーメイド・イン・パリ』はタイトルそのまま、パリに幻の生き物であるマーメイドが登場する物語です。海のないパリで、マーメイドが現れたのはセーヌ川。記録的な大雨により浸水してしまったこの街に、ケガをしたマーメイドが倒れていたのです。彼女を見つけたのは、セーヌ川に浮かぶ老舗の船上バーのオーナーの息子・ガスパール。彼は、ケガを負ったマーメイドを助けるため、彼女を連れて病院へ向かいます。
ボーイ・ミーツ・ガールならぬパリジャン・ミーツ・マーメイド。予期せぬ出会いから幕を開ける本作の見どころは、まっすぐに“恋”！
熱心にお世話をしてくれるガスパールの姿に、マーメイドは少しずつ心を開いていき、失恋の傷が癒えずにいたガスパールも、またルラという名のこのマーメイドに惹かれ始めます。
なかでも、未知の生物であるルラとのやりとりで描かれるガスパールの姿が印象的です。人間社会の常識や行動規範がわからないルラは、度々非常識な行動をしてしまいますが、そんな彼女にガスパールは一度も怒ったり、彼女の言動を正そうとはしたりしません。逆にそのままのルラと楽しく過ごそうと努めるのです。
リアルな人間社会の“恋”には、年齢・性別・人種・肩書・価値観などに左右されることもしばしば。だからこそ、純粋に目の前にいる相手だけを見ようとするガスパールの些細なセリフや眼差しに何か感じるものがあるはずです。まっすぐなガスパールの姿に注目して観てみてくださいね。
ところで、人魚であるルラは下半身が魚であるため「歩く」ことができません。そんな彼らふたりの移動手段は、タイの三輪タクシーとして知られているトゥクトゥク。ルラを後ろに乗せ、パリ中を走り回るガスパール。異なる種族のふたりが、同じ目線で同じ景色を見るランデブーを叶えたのが、まさにフランスから遠く離れた「異国」の乗り物なんて。何だか粋な仕掛けだと思いませんか？
ふたりに芽吹いた束の間の恋。トゥクトゥクから見渡すオペラ座やエッフェル塔など、パリのロマンチックな街並がそうさせるのでしょうか。彼らのようにもっとまっすぐに、もっとシンプルに恋を楽しみたい！そんなふうに胸を高鳴らせてくれる作品です。
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・マーメイド・イン・パリ
・Amazon Prime Videoにて好評レンタル発売中
・発売元：ハピネットファントム・スタジオ
©2020 – Overdrive Productions – Entre Chien et Loup – Sisters and BrotherMitevski Production – EuropaCorp – Proximus
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今回はAmazon Prime Videoでレンタル可能な作品から、新作も交えて3作品をご紹介しました。寒さも本格的になるこの季節、ココアやホットワインをお供にフランス映画を堪能してみてはいかがでしょうか。
■作品情報
『ムード・インディゴ 〜うたかたの日々〜』
『パリの調香師 しあわせの香りを探して』
『マーメイド・イン・パリ』
提供・PARIS mag（シンプルで上質なライフスタイルを提案するWEBマガジン）
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