香里奈が狂気の演技を見せる「バタコさん」って何者?

 物語の冒頭から、凌介が勤める運輸会社の常連クレーマーとして登場していた通称“バタコさん”こと木幡由実。第9話でやっと演じていたのが香里奈であったと判明。前半最後の2話で一気に情報が出てきました。

 凌介の部下・瑞穂に「かがやきの土」という謎の土を送りつけていたバタコ。実はこの土を売る新興宗教的な団体の信者であり、なぜか凌介に大きな恨みを抱いていました。  第9話では、冷凍遺体の身元を確認したりしていた男・中村充(前野朋哉)を殺害。第10話では、凌介を襲おうと企てている様子が描かれました。

 これまで王道のヒロイン役が多かった香里奈ですが、今回のように狂気じみた役は初めてではないでしょうか。第9話で顔出ししたときは、その正気を失っているさまに、一瞬誰か分からなかったほど! 「真相編」では、凌介を恨むようになった動機はなんだったのか、事件にどう関わっているかが見もの!香里奈には、思いっきり不気味な演技を披露してもらいたいです。

西島秀俊=犯人はあり得ない! 彼の“振り回され力”を楽しみたい

 第10話の最後に息子・篤人が「パパがママを殺した…」と発言したことで、またも凌介への疑いが再燃しています。しかし個人的な見解として、篤人は誰かに脅されて言わされているようにしか思えないのです。篤人の意識が戻って凌介に抱きしめられたとき、茫然としてはいましたが怯えてはいませんでした。  そもそも、凌介は超がつくほどのお人好しです。奇怪なママ友・菱田のことも真帆の友達だからと邪険にできず、不倫相手の林のことも最後まで信じるような男です。人の悪意に晒され続けても、人を信じようとしてきました。こんなにもお人好しで家族を愛する男として描かれてきた人間が、偽装誘拐事件を起こして妻を殺す?!それではさすがにドラマとして崩壊しているでしょう。もし裏の顔があったとしたら、多重人格やドッペルゲンガーの類でしょうか。今までにそんな描写もないことから、やはり凌介が犯人はあり得ないかと。

 それにしても、西島秀俊は振り回されて苦悩する役どころが本当にお上手。超ハードボイルドな彼をみてファンになった筆者としては、本作で見せる泣き顔がギャップ萌えでたまりません。「真相編」においても、存分にその苦悩する姿、“振り回され力”を見せて欲しいと思います。

 大判風呂敷を広げきった『真犯人フラグ』の前半戦。頼むから、後半戦できれいにたたみきって欲しい、と願うばかりです。

<文/鈴木まこと(tricle.llc)> ⇒この記者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】 鈴木まこと tricle.llc所属。雑誌編集プロダクション、広告制作会社勤務を経て、編集者/ライター/広告ディレクターとして活動。日本のドラマ・映画をこよなく愛し、年間ドラマ50本、映画30本以上を鑑賞。Instagram:@makoto_s.1213

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