一般的に“投資”という言葉から連想されるのは、「お金を増やすこと」でしょう。しかし、投資の目的は必ずしもお金を増やすことだけではありません。たとえば、年金財政に不安を感じて投資を始める人もいます。そこには、“将来の不安の解消”や“将来の安心を買う”などの目的があるようです。

最悪のパターンを想定すると……

ここで、あらためて現在の年金財政について確認しておきましょう。社会保障審議会年金部会が8月に発表した「2019年財政検証結果」では、経済成長や労働参加などの観点で複数のシミュレーションが行われました。たとえば、経済成長と労働参加が進んだ場合、年金の所得代替率は50%以上を維持できるとしており、モデル年金ベースでは物価上昇分を割り引いても増加すると試算しています。

しかし、経済成長と労働参加が一定程度進んだ場合の想定では、2040年代半ばに所得代替率が50%に到達し、マクロ経済スライドの終了時には40%台半ばまで減ると試算しています。さらに、より悪い状況を想定したケースでは、2052年度に国民年金の積立金がなくなり、完全賦課方式に移行せざるを得ないといいます。その場合の所得代替率は、30%台後半と大幅に減少します。

年金代わりとなる投資とは

こうした状況を受けて、私たちは自ら老後の生活資金を確保しなければなりません。すでに、年金をあてにできないことが明らかになっている以上、国の政策を期待するのではなく、自ら行動したほうが得策と言えそうです。そこで重要になるのが投資ですが、年金の代わりになるような金融商品には、どのようなものがあるのでしょうか。代表的なものをいくつかピックアップしてみましょう。

iDeCo(個人型確定拠出年金)

iDeCo(個人型確定拠出年金)は、確定拠出年金法に基づいた私的年金制度です。iDeCoでは、運用方法を自ら選択しなければなりません。掛金を払って運用したお金が、年金を補填します。iDeCoのメリットには、「掛金が全額所得控除になる」「運用益は非課税で再投資できる」「受け取り時にも控除が受けられる」などがありますが、受け取れるのは原則として60歳以上なので、加入には慎重な判断が求められます。