世界中の映画ファンから愛されている映画監督のひとり、ポール・トーマス・アンダーソン監督の最新作に2名の日本人女優が抜てきされたことがわかった。
ポール・トーマス・アンダーソン監督が製作・脚本・監督・撮影まで手がけた最新作『リコリス・ピザ』(原題: Licorice Pizza)が、12月25日のクリスマスに全米で拡大公開され『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』『マトリックス レザレクションズ』『ウエスト・サイド・ストーリー』などの大作がひしめくホリデーシーズンの週末の興行成績で7位に浮上。コロナ禍の2年間に公開されたインディーズ映画としては一館あたりの売り上げ記録も更新し、大健闘をみせている。
主演を務めるのは、3姉妹バンド「ハイム」としても活動している新星アラナ・ハイムと、名優フィリップ・シーモア・ホフマンの息子であるクーパー・ホフマン。また、共演にはブラッドリー・クーパー、ショーン・ペン、トム・ウェイツ、ベニー・サフディ、マヤ・ルドルフ、ジョン・C・ライリーら豪華キャストが名を連ねている。
物語の舞台は、『ブギー・ナイツ』『マグノリア』に続き、アンダーソン監督自身が生まれ育った、思い入れの深いロサンゼルスのサンフェルナンド・バレー。1970年代、子役として活躍し、高校生となったゲイリー・ヴァレンタイン(ホフマン)は、ある日ふとしたきっかけで出会った年上の女性アラナ・ケイン(ハイム)に一目惚れしてしまう。社会に翻弄されながら大人への階段を上がって成長していく2人と、彼女たちを取り巻く友達、兄弟、家族、地域の大人たち――。彼らの70年代の姿を、色褪せない名曲のメロディーに乗せて贈る青春群像劇となっている。
本作は本年度の米国映画のアワード・シーズンにおいて現在までに、ナショナル・ボード・オブ・レビュー賞の作品賞・監督賞・ブレイクスルー演技賞(アラナ・ハイム、クーパー・ホフマン)の3賞、ニューヨーク映画批評家協会賞の脚本賞、ボストン・オンライン映画批評家協会賞の作品賞などを受賞し、クリティックス・チョイス賞では、作品賞・監督賞・脚本賞・主演女優賞・キャストアンサンブル演技賞など8部門でノミネート。さらにゴールデングローブ賞のミュージカル・コメディ部門でも作品賞・主演女優賞・主演男優賞・脚本賞の4部門にノミネートされるなど、アカデミー賞前哨戦となる賞レースで好成績をあげている。
アンダーソン監督はこの意欲作に向けて、日本人役をオーディションで選考し、ミオコ役にミズイユミ、キミコ役に安生めぐみを抜てきした。2人とも米国で活動の場を広げてきた女優である。
ミズイユミは本作のほか、日本を題材にして大ヒットを記録したゲーム「ゴーズト・オブ・ツシマ」やディズニー映画『ベイマックス』などに声優として出演。また、「HEROES/ヒーローズ」「TOUCH/タッチ」「リベンジ」「ザ・ラストシップ」などのドラマシリーズでは日本語セリフや文化のコンサルタントも担当。米国のCMにも50本以上出演し、幅広い活動を続けている。
安生めぐみは、日本国内で女優として舞台やTVなどで活動した後に渡米。芸能エージェントと契約後も学業を続けながら、映画の名門校の短編映画などにも参加。渡米10年目にして、アンダーソン監督による本作の撮影に臨み、その直後にNBCの人気ドラマ「グッドガールズ:崖っぷちの女たち」シーズン4にも出演。映画とテレビでのデビューを果たした。