読者モデルからキャリアをスタートさせ、現在はさまざまな企業やブランドとのコラボレーションやプロデュースを中心に活動する田中里奈さんの連載がスタート。国内外を飛び回りながら、場所や肩書にとらわれない、これからの時代のライフスタイル、ワークスタイルを提案します。
『DRESS』読者の皆さん、はじめまして。田中里奈と申します。
私は大学在学中から読者モデルを始め、7年前くらいからは、さまざまな企業やブランドとの商品開発や、アクセサリーブランドのプロデュースなど、幅広く活動しています。
これから月1回、生き方や考え方をテーマにした、連載をさせていただきます。よろしくお願いします!
さて、ようやく春がやってきましたね。普段から天気がいいだけで相当に幸せを感じられるタイプなので、春は大好きです。「今日から新年度!」と気分を切り替えられるタイミングがあるのもいいですよね。
私自身は組織に所属していないこともあって、「春だから(異動や転職などで)環境が大きく変わる」ことは少ないのですが、例年ほんわりと季節を迎え、気分よく過ごしています。
■春は人生における“整理整頓”の時期
それでも、これまでを振り返ってみると、春は自分の人生の“整理整頓”を自然に行っている季節のようにも思います。昔からひとつのことを始めると長いタイプなんですが、「やりきった」という感覚や、本能的に「これはもう卒業だな」と思う瞬間が、春先に訪れることが多いです。
少しさびしい気持ちもありますが、「手放すと次が入ってくる」という確信が本能的にあるからこそ、迷わず決断できるのかもしれません。
「潔く決断できてすごいね」と言われることもありますが、違和感があるものにしがみついて、状況がよくなっている例は、周囲でも見たことがありません。
仕事でも人間関係でもそうですが、しようと思えば執着はいくらでもできる。でもそれを思いきって手放せば、ちゃんと“今の自分に合うもの”が人生に入ってきてくれる。新しいものに出会えるワクワク感のほうが大きいですね。
■ポジティブな選択をすると、想定以上の結果になる
「これしか選択肢がないから選ぶ」といった、ネガティブな決断もしないようにもしています。そうした決断は想定内の結果しか得られない、と感覚的に学んできているから。
私の選択の基準は、「楽しそうか、楽しくなさそうか」。楽しそうだ、ワクワクする、大変そうだけど成長できそうだ……という風に、ポジティブな動機で決めたことは、いつも想定以上のものを連れてきてくれます。
たとえば私の場合は、リレー小説のオファーをいただき、チャレンジしたことがあります。自分が小説を書くなんて考えたこともなかったし、尻込みしそうな豪華なメンバーでかなり迷いましたが、「こういう仕事が私に来たということは、挑戦していいということかな?」と前向きに思えたので、参加を決意しました。
実際、とても学びが多かったですし、そこからまた新たな世界も広がりました。ベストを尽くしていると、素敵な出会いや自分がアップデートできるきっかけが、向こうからやってくる。改めてそう確信しました。
■30代は蓄積した経験が力になる時期
とはいえ、昔からそうした信念を持っていたわけではありません。読者モデルを始めた20歳の頃は、経験も知識もなく、自分の強みもわかっていませんでした。
有象無象のオファーがあるなかで、選択に迷ったときは「両親が喜んでくれるかどうか」「胸を張って、この仕事をしたと言えるかどうか」を基準にしていましたね。少しでも後ろめたい気持ちになるような仕事はお断りしていました。
そうこうしていくうちに、自分の強みを徐々に自覚できるようになり、「自分はどうしたいか」という、仕事における自我も芽生えてきました。その時々の自分の状態によって、来る仕事が変わる……ということを体感してからは、仕事は今の自分のバロメータであり、鏡だなとも思っています。
構成/外山ゆひら
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