三部けいによるミステリー漫画を映画化した『僕だけがいない街』。ここでは、そのストーリーやキャスト紹介、原作漫画との違いを解説します。映画と漫画とでは全く異なる結末を迎えるので、漫画とはまた違った楽しみ方ができるでしょう。作品自体知らない方はもちろん、漫画しか読んでいない方も是非チェックしてみて下さい!
映画『僕だけがいない街』とは?
『僕だけがいない街』は、三部けい原作の大ヒットコミックを藤原竜也&有村架純共演で2016年に実写化された、ミステリー・サスペンス映画です。
“リバイバル”という不思議な現象に巻き込まれた青年が、未来を変えるために現在と小学生時代を行き来しながら連続誘拐殺人事件の回避と、真犯人の特定に奔走するさまをスリリングに描いています。 主演は藤原竜也さんが務め、有村架純さんと初共演を果たしたことでも大きな話題となりました。
僕だけがいない街の原作は三部けいの漫画
『僕だけがいない街』の原作は、三部けいによる漫画です。2012年より「ヤングエース」で連載され人気に火が付き、コミックス累計部数(全9巻)400万部を突破し大ヒットを記録しました。その人気の高さから実写化映画にとどまらず、アニメ・ドラマ化もされており、三部けいを一躍有名にした作品です。
僕だけがいない街のあらすじ【ネタバレなし】
29歳の売れない漫画家・藤沼悟は、ピザ屋の宅配アルバイトで生計を立てています。実は悟には、「リバイバル」という本人が呼ぶ特殊能力がありました。それは、悪いことが起こる前の瞬間に戻ることができ、その原因を取り除くまでその場面を繰り返す”ループ能力”でした。
何度もリバイバルを経験する中、母が何者かに殺害され、悟は突如18年前に戻ります。小学生の頃に起きた女児連続誘拐殺人事件と母の死の関連に気付いた悟は、過去と現在を行き来しながら事件の真相に迫っていきます。
僕だけがいない街のあらすじ【ネタバレあり】
ここからは、ストーリーを更に掘り下げて詳しく解説していきます。ネタバレありの内容になっているので、まだ観ていない方は注意して下さい。10歳の頃に戻った彼は、事件を未然に防ぎ、大切な人を救うことができるのでしょうか?!
ネタバレありあらすじ①リバイバル
ピザ屋の宅配アルバイトで生計を立てている悟。同じアルバイト仲間の片桐愛梨は、友達も恋人もいない悟を気にかけて話しかけますが、悟はいつもそっけない態度でした。
ある日、バイクでピザを配達していた悟に「リバイバル」が起こります。無事に子供を事故から回避させますが、代わりに自分が車にはねられ入院を余儀なくされます。目を覚ますとそこには愛梨がいて、明るく前向きな彼女に心を開き始めます。
退院して自宅に戻ると、母・佐知子が北海道から上京していました。翌日、悟は佐知子と一緒に買い物に行きますが、そこでリバイバルが起こります。しかし、周りを見渡すも特に変わった様子はありません。
その時佐知子は、男が少女を車に乗せようとするのを目撃します。視線に気付いた男は少女を乗せずに去り、誘拐を未然に防ぎますが、佐知子はその男にある疑惑の目を向けます。
それは1988年に起きた女児連続誘拐殺人事件でした。白鳥潤という青年が捕まりましたが、白鳥は悟とも仲が良かった子供に優しい青年で、当時の悟は白鳥が犯人ではないと訴えていました。
後日悟が自宅に帰ると、そこには包丁で刺され殺されている佐知子の姿が…。ベランダから逃げる犯人を目撃した悟は、後を追いますが逃げられ、母親殺しの犯人と疑われてしまいます。警察に捕まりそうになった時”リバイバル”が起こり、なんと悟は小学生の身体になっていました。
ネタバレありあらすじ②救えなかった少女
戻ったのは1988年、同級生だった雛月加代が殺された女児連続誘拐殺人事件が発生した年でした。母の死と過去の事件の繋がりに気付いた悟は、加代を救えば母も助かると信じ、リバイバルを成功させると決意します。
小学生の悟は加代に自分の誕生日会に招待します。悟と加代は同じ誕生日で、その日は加代が誘拐され殺される日でもありました。
加代と仲良くなろうと積極的に声を掛ける悟、そんなある日、誕生会を前に加代の自宅にいった悟は、痣だらけでぐったりしている加代の姿を発見します。加代は両親から酷い虐待を受けていたのです。
子供の悟はどうすることもできず、クラス担任の八代学に打ち明けます。八代は虐待の事実を知りつつも、「児童相談所がなかなか動いてくれない」と…。
3月2日、いよいよ加代が殺される日、2人は悟の友達も一緒に誕生会を開きます。楽しい時を過ごし、加代を自宅まで送り届けたことで安心する悟でしたが、翌日加代は学校に来ることはありませんでした…。
加代を救うことができず現代に戻った悟。殺人容疑の疑いをかけられ身動きがとれない中、愛梨は自宅にかくまってくれました。
1988年に発生した女児誘拐殺人事件を調べていると、加代が殺された日付が変わっていることに気が付きます。変えることができたのは日付だけで、犯人は白鳥のもまま、被害者も変わっていませんでした。
そんな時、愛梨の家が火事になり事件に巻き込んでしまいます。事件の手がかりを掴むため、佐知子の元同僚の記者、澤田に会いに行きます。澤田は、佐知子と愛梨は犯人を見たことで狙われたと推測します。
悟と河原で落ち合った愛梨は、西園と言う人物が怪しいと伝えます。しかしその時、警察が来て悟は逮捕されてしまいました。パトカーに乗ろうとしたその時、またリバイバルが起き18年前に…。
ネタバレありあらすじ③大切な人を守るために
戻った先は、1988年の誕生日会前日でした。今度こそ加代を救うことを誓った悟は、友人の賢也に協力してもらい、加代を誘拐し使われていないバスにかくまいます。しかし、バスの中に加代が殺された時に使用された道具があり、危険を感じた悟は自分の家に連れて帰りました。
翌日、加代を自宅まで送っていくと、そこに八代と児童相談所のスタッフがやって来て、無事に引き渡すことに成功しました。
しかし、加代を救えたのに現代に戻りません。そんな時、加代の件で八代が児童相談所に連絡していなかったことを知ります。「児童相談所がなかなか動いてくれない」と言う八代の言葉は嘘だったのです。悟は八代を疑い始めます。
八代が、いつもクラスで1人でいる少女をホッケーの観戦に誘っていたことが気になり悟は後を追いました。少女を見張っていた悟ですが、途中で会場を出ていってしまい見失ってしまいます。
そこに丁度、1988年に捕まった白鳥の車が出てきました。悟は八代に頼んで白鳥の車を追いかけます。車の中で悟は八代に、これまでの事件を並べ「犯人じゃないよね?」と尋ねると、八代は本性を現し犯人であることを認めるのでした。
白鳥の車はただ父親が乗っているだけで、ターゲットと思っていた少女はもう自宅に帰っていることが分かります。全て悟を連れ出す為の罠だったのです。八代は、”1人ぼっちの子供を孤独から救う為に殺す”という、歪んだ正義感で殺人を繰り返していました。
車は橋の上に止まり、「これ以上僕の計画を邪魔される訳にはいかないからね」と八代は言い、悟を橋から突き落とします。しかし悟は橋から落ちた瞬間リバイバルが終わり現在へ…。
ネタバレありあらすじ④結末
悟が目を覚ますとそこは病室でした。バイクでピザを配達していた時に事故に遭い、入院した日に戻っていたのです。目の前には愛梨ではなく、大人になった加代がいました。自宅に帰ると、元気な姿の母・佐知子の姿があり、リバイバルが成功したのだと安心します。
以前愛梨と別れた河原にやってきた悟は、偶然愛梨と再会しますが愛梨には悟の記憶はありません。それでも、何か通じ合うものを感じた2人は、一緒に空を見上げ、これからの未来に希望を抱くのでした。
悟は八代と決着をつける為に、弁護士のなった友人の賢也の協力を得て今どこで何をしているのか探ります。八代は結婚して姓が”西園”に変わり、市会議員に。その傍ら、昔と変わらず誘拐殺人を起こしており、この18年間大勢の小学生が殺されていました。
自首を進める悟ですが、八代(西園)は受け入れず、ナイフを自分の首にあて自殺を図ろうと…。止める悟と揉み合いになり、悟の首が切れてしまいます。その時、賢也が警察を連れて来て西園は捕まりますが、悟は倒れたまま空を見上げ、息を引き取るのでした。
それから時は流れ、悟の墓に母・佐知子、友人、澤田、白鳥が集まります。加代は、あの場所から連れ出してくれた悟に感謝しました。
一方愛梨は、夢だったカメラマンの夢を叶え、鞄の中には悟が描いた1冊の漫画が…。愛梨は悟の漫画を励みに希望と勇気を得ていたのです。悟が亡くなっても、生きていた証は間違いなくそこに残っていました。