韓国の南西部、全羅北道(チョルラプット)金堤(キムジェ)市にお住まいの水野雅行さん。携わっている仕事が多様なため、「お父さんの仕事は何?と子どもに聞かれて答えに困ります」とご本人もおっしゃるほどですが、すべての仕事の共通点は「日本と韓国をつなぐ」こと。また、数年前に韓国の伝統家屋韓屋(ハノッ)を購入し、田舎暮らしを実践中。家族を何よりも大切にし、畑仕事や家作りなど、何でもこなすスーパーお父さんの水野さんに現在の仕事をするに至った経緯やご家族のこと、韓屋暮らしについて、自慢のご自宅でお話を伺いました。

第52回~水野雅行さん(日本動物薬品ほか)
(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)

名前 水野雅行(みずのまさゆき)
所属 日本動物薬品株式会社、第3ビジョン(韓国のテレビ番組制作会社)
年齢 43歳(1968年生)
出身地 北海道
在韓歴 14年
経歴 韓国人の妻との結婚を機に1993年に渡韓。98年に一時帰国後、2002年から再び韓国へ。日本動物薬品の韓国駐在員、第3ビジョンのコーディネーター、江本勝氏の韓国秘書、河川環境総合技術研究所研究員など様々な職務を兼任。2004年に妻の故郷である金堤市に移住し、2009年に敷地面積400坪の韓屋を購入。補修、改築しながら田舎暮らしをしている。家族は妻、一男四女、犬2匹。

八方塞がりの状態から、再起をかけて。本当にやりたいことに挑戦

第52回~水野雅行さん(日本動物薬品ほか)
(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)

結婚後日本で暮らした4年間に、環境の変化のため妻がノイローゼ気味になり、私は仕事が忙しくて体を壊して退職せざるをえなくなり、2人の子どもを抱え、私たち家族にとって非常に行き詰った状況になりました。

そこで、もう一度韓国で暮らすことにしたのですが、この機会にすべてリセットして、自分がやりたいことをやってみようと決意しました。1つは私が非常に感銘を受けた江本勝氏の「水は答えを知っている」を韓国で出版すること、1つは私が好きだった動物、中でも観賞魚の飼育に関する文化を韓国に広めること、この2つを始めることにしました。
始めると言っても、経験も人脈もないので、江本さんの事務所にいきなり電話をかけて、自分が江本さんの著作を韓国で出版したい理由を話したところ「あなた、おもしろい人ね」と話を聞いて下さった方がいました。実は江本さんの奥様だったのですが、「水は答えを知っている」の出版は決まったが「水からの伝言」はまだこれからなので、一度東京に来なさいと言ってもらえました。しかし、当時の住まいはトイレもない、お湯も出ないところで、本当に生活が大変で航空券を買う余裕がなく、すぐには行くことができませんでした。

次に観賞魚を扱っている各会社にFAXを送りました。それも業務とは関係のない日本と韓国の架け橋になりたい、という思いだけを綴った内容でした。常識的に考えたら一蹴されるのが当然ですが、当時は「ここで何かを感じてくれる会社でなければ俺の方がお断りだ」という位の勢いだったので(笑)、わざとそんな内容にして送りました。しかし案の定、どこからも返事がなく、世の中そんなに甘くないと感じました。

その2ヶ月後に日本動物薬品から電話があり、韓国に販路を広げる計画があるので一度東京に来ませんか?という話を頂きました。後で聞いたところ、私の送ったFAXはゴミ箱行きになっていたのが、偶然床に落ちていて、それを拾った人が「こいつはバカだけど、おもしろい奴かもしれない」と感じて電話を下さったそうです。それが当時の海外営業担当者で、日本動物薬品株式会社の現社長です。それで方々からお金を借りて航空券を購入し、東京に向かいました。