オリンピックを機に世界へ 種類もますます多様化

キムチの起源と変遷2 
(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)

子ども向けキムチ(右)とサムギョプサル(豚焼肉)・キムチチゲ用の酸味強めの古漬けキムチ(左)。
韓国を代表する伝統食品としてキムチが国際的に知られ、日本をはじめ各国で食べられるようになったのは、1988年のソウルオリンピック以降。2001年には国際食品規格委員会(Codex)より「国際食品」にも認定され、今や東洋のみならず、西洋でも「KIMCHI」の名で知られるグローバルフードとなりました。

近年は塩分控えめの低塩キムチから、辛さを抑えた子ども用キムチ、ブロッコリーなど西洋野菜を主材料とするものやサラダ風のフュージョンキムチまで、キムチの種類も多種多様に。健康に気を使う年配やキムチ離れが進む若者世代、そして外国人向けの商品など各社の開発競争が盛んになっています。

キムチの起源と変遷2 
(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)

スーパーのキムチコーナー。味も容量も多彩なキムチが並んでいる。

キムチの起源と変遷2 
(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)

アレンジ次第でモダンな一品料理にも。 写真提供:Chongga KIMCHI WORLD

変わりゆくキムジャン 押し寄せる時代の波

キムチの起源と変遷2 
(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)

越冬用のキムチを漬ける「キムジャン」の様子。都心部では目にする機会が少なくなってきた。
冬場の保存食という特性上、キムチ作りは昔から冬の到来に合わせて行なわれてきました。それが、冬が近づく前に大量のキムチを一度に漬ける「キムジャン」の習慣です。冷たい風が吹き始める頃、何百玉もの白菜を積み、在来市場や住宅街にやってくるトラック。家族・親戚総出で家中キムジャン準備に大忙し、という風景は、初冬の韓国各地で見られる風物詩です。しかし、そうした様相も、時代とともに少しずつ変化を見せています。

ハウス栽培の一般化や品種改良などにより、季節を問わず様々な野菜が手に入る現代。また、キムチを長期保存できるキムチ冷蔵庫の登場で、寒い冬でなくともいつでもキムチを漬けることができるようになりました。「キムジャンは冬に行なうもの」―そんな意識が徐々に薄れてきているのです。
季節行事としての一面が失われつつある一方で、キムジャン自体を行なわない家庭も増えています。

キムチの起源と変遷2 
(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)

山のように白菜を積んでやってくるトラックは、毎年ながら圧巻の光景。
そんなキムジャンの減少に拍車をかけているのが、キムチの商品化。わざわざ大変な思いをして作らなくても、スーパーやインターネットで年中手軽に手に入ります。また、核家族化や子どもたちのキムチ離れが進み、韓国人のキムチ消費量が減ってきていることも要因のひとつ。漬けたキムチを隣近所におすそわけする習慣も、アパート(日本で言うマンション)暮らしが増え、近所付き合いが疎遠になるにつれ、あまり行なわれなくなりました。そのため、キムジャンをしても、家族が食べる分だけを少しずつ漬けるという家庭が増加。大人数でにぎやかにキムチ作りを行なう光景を目にするのは、難しいご時世となりました。