世界でも稀な野菜発酵食品 元々は越冬用の保存食

キムチの起源と変遷1
(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)

写真提供:Chongga KIMCHI WORLD
みずみずしい野菜の食感、そして酸味と辛味の絶妙な調和。今も昔も韓国人の食生活に欠かせないキムチは、世界的にも類を見ない野菜を利用した発酵食品です。今では1年中、季節を問わず食べられていますが、もともとは農作物が採れない冬場の栄養不足を補うための保存食でした。
「キムチ」の語源については諸説ありますが、「沈菜(チムチェ)」という言葉が音声変化してキムチになったという説が有力視されています。「沈菜」とは、野菜を塩漬けしておくと水分が発生し、野菜自体が塩水の中に漬かる様子から生まれた言葉。そのチムチェが朝鮮時代にティムチェ、ディムチェと変化し、さらに時を経てチムチへ、そして現在のキムチになったと言われています。

キムチの起源 あのときキムチは白かった?!

ビタミンや無機質、食物繊維が豊富で、冬の重要な栄養補給源だったキムチ。野菜を長期保存するには乾燥という手段もありますが、本来の味と栄養分が損なわれがちです。そこで、生野菜を塩や酢に漬けて保存する方法が生まれたと言います。こうした漬物類の歴史は古く、中国最古の詩集「詩経」(紀元前8~11世紀頃成立)には、「きゅうりで菹(チョ)を漬ける」という一節が登場。菹が漬物の一種であったことがうかがわれます。また、後漢末期の辞書「釈名」では、菹を「野菜を塩漬けにした乳酸発酵食品」と説明しており、キムチの原型とも言えるものがこの頃から食べられていたことが推測できます。キムチは漢代(紀元前3~3世紀)に朝鮮半島北部の楽浪郡を通じて韓国にもたらされたと見られていますが、これを決定づける資料はなく、未だ明らかになっていません。

キムチの起源と変遷1
(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)

高麗時代に刊行された「東国李相国集」の写本。韓国においてキムチに関する最初の記録とされている。

キムチの起源と変遷1
(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)

古くから食べられてきた白キムチ。辛くなく、ほのかな塩気と酸味で、さっぱりした味わい。