韓国の日本語学習者数は約90万人と言われ、高校の第二外国語で日本語を選択できる他、語学力がビジネスの必携とされる韓国では資格のひとつとして学ぶ人も多くいます。鍾路(チョンノ)にある時事日本語学院は日本語専門の語学学校として30年を越える歴史があり、韓国の日本語界の言わば老舗。その時事日本語学院で教授部長を務めているのが里井瑠衣子さんです。学生の指導だけでなく、日本人教師の束ね役である里井さんは「体力勝負の仕事ですから」と毎日1時間かけて徒歩通勤、趣味はボクシングととてもパワフル。また日韓交流おまつりの事務局も兼任されています。韓国の日本語学習者の状況やおまつり開催のご苦労などについてお話を伺いました。
名前 里井瑠衣子(さといるいこ)
勤務先 時事日本語学院 教授部長
出身地 静岡県
在韓歴 6年6ヶ月
経歴 大学卒業後、営業職を経て日本語教師を目指し、資格を取得。2005年に渡韓し、時事日本語学院に勤務。2007年より現職。日本人講師の教育管理、教材開発などを担当。2008年より日韓交流おまつりの事務局も務めている。
教師一丸となって日本語を話す楽しさを伝えたい
日本語教師を目指して勉強を始めると同時に韓国語の勉強も始めました。もともとアジアに興味があったことや韓国人の友人がいたこと、日本語教師になるなら学習者人口の多い韓国とは接点があるだろうと考えたのも理由です。
まさか韓国に来ることになるとは思いませんでしたが、縁あって時事日本語学院の講師となり、2005年に韓国に来ました。授業は朝の6時40分から始まり、夜は21時20分まで。昼間はオフですが授業準備に追われるので、慣れるまでの半年間は睡眠時間が2~3時間で毎日が寝不足でした。
学生からの評価がよければ学生は継続して受講するし、悪ければ受講者がいなくなるので、教師は人気商売と言えます。そのため私が韓国に来た当初は教師同士がお互いを意識し、各々が独立した立場をとる傾向にありチームワークがよいとは言えない状況で、授業方法や学生の習熟度はもとよりビザの申請方法や韓国での生活など、情報交換も円滑ではありませんでした。
そこで、日本人教師のまとめ役として4年前に私が現在の職に就きました。教師同士はよきライバルではあるべきですが、みんなで学生を育てるという意識が必要でチームづくりに力を入れています。
ソウル市内3つのキャンパスにいる日本人教師が定期的に集まって研究会を行なったり、イベントを企画したりしています。日本人教師が担当するのは主に会話クラスです。学生にとって日本人と話す機会は我々教師が初めてである可能性も高く、海外で教える場合はそれを意識する必要があります。
会話は楽しい、日本語は楽しいと思ってもらえないと、日本語学習をやめてしまう結果にもなりかねません。私たち教師は日本語を学ぼうとする学生の将来を担う立場にいると思って仕事をしています。イベントは、普段話す機会のない違うレベルの学生や教師と話せるように企画します。
上級の学生を見て「ああなりたい」と初級の学生に思ってもらうことが狙いです。また、語学学校は学生や社会人、お年寄りなど様々な人たちが集まり、日常生活では得がたい出会いの輪が広がる場でもあるので、学ぶ目的は人それぞれですが、楽しく交流できるチャンスを提供したいと考えています。
研究会も和気あいあい
イベント時のスナップ
韓国語とよく似た日本語、4ヶ月で初級文法完成!
韓国では就職や転職時に英語プラスもう一言語が求められるので、ビジネス目的の学習者が大変多いです。
その次に、日本のアニメが大好き、日本の歌手やタレントが大好きで、日本語を学びにくる人たちです。特に嵐のファンは本当に多くて、嵐には感謝しているくらいです(笑)。
日本語と韓国語は文法が酷似しているので、韓国に限ってですが頑張れば4ヶ月で基礎文法すなわち初級を終了でき、習得が早い学生の場合はネイティブと簡単な会話ができるようになります。
韓国でも中国語が人気を集めていますが、難しくて挫折したという人も少なくありません。その点で韓国人にとって日本語は習得しやすい言語で他の言語に比べて早く話せるようになります。