iDeCoを利用すると税金の面でメリットがあるというのをなんとなく知っている人は多いと思います。しかし、加入時や運用期間中に手数料がかかり、またその手数料が金融機関によってかなり幅があることはご存知でしょうか。せっかく税金で優遇されているのですから、手数料もできるだけ低く抑えたいところ。今回はiDeCoにかかる手数料と低コストでiDeCoを利用する方法をご紹介します。
iDeCo加入時にかかる手数料
iDeCoにかかる手数料には、まず加入の時にiDeCoの実施主体である国民年金基金連合会に払うお金があります。金額は一律2,829円ですが、金融機関によっては別途追加に手数料がかかるところもあります。この手数料がかかるのは加入時の1回のみです。
毎月かかる手数料は一番こだわりたい
国民連合基金連合会と信託銀行にかかる手数料は171円
次に、口座を持っている期間毎月かかる手数料があります。この毎月かかる手数料はiDeCoのコストを下げるためにとても大切なポイントです。というのも、iDeCoは主な目的が老後資金の準備のため、口座も長い期間持ち続けるのが一般的で、月々わずかな手数料の差でも長い目で見ると大きな違いになるからです。例えば、毎月の手数料の違いが200円だとすると、1年で2,400円、20年で4万8,000円になります。
毎月かかる手数料には、掛金の引き落としなどのために国民年金基金連合会に払う手数料と、積立金の管理や給付にかかる費用を信託銀行に払う手数料、そして口座管理や運用のための費用を運営管理機関に払う手数料の3種類があります。
このうち、国民年金基金連合会に払う手数料は105円、信託銀行に払う手数料は66円と金額が決まっています。つまり、最後の運営管理機関に払う手数料で差が生まれることになります。
金融機関ごとに異なる手数料
この運営管理機関、つまり金融機関に払う手数料ですが、2019年10月現在、金融機関によって0円から458円までとかなり幅があります。一般的に、楽天証券やSBI証券、マネックス証券などインターネットでの取引が中心の金融機関は手数料が安く、都市銀行や地方銀行では少し高めに設定されている傾向があります。
ただし、みずほ銀行では資産が50万円以上であれば手数料が無料になりますし、野村證券では残高が100万円以上であるほか、毎月の掛金が1万円以上でも手数料が無料になるなど、条件によって手数料が低くなる金融機関もあります。
iDeCoにかかるコストを低くするには、この金融機関ごとにかかる手数料をできるだけ少なくすることが大きなポイントになりますので、よく比較するようにしましょう。
その他にかかる手数料もチェックしよう
移管の時にも手数料がかかる
いろいろと調べた結果、今iDeCoに加入している金融機関とは別の金融機関でiDeCoの運用をしたいと思うこともあるでしょう。しかし、iDeCo口座は1人1つしか持てないので、元の金融機関を解約して新しい金融機関に申し込むことになります。これを移管と言いますが、この移管の時に手数料がかかる金融機関もあります。
金額としては4,400円程度です。すでにiDeCo口座を持っている人で、今後金融機関を変更する予定の人は、今の金融機関が移管の時に手数料がかかるのかどうかも調べておきましょう。
給付の時にかかる手数料はほとんど同じ
iDeCoでは毎月コツコツと掛金を拠出し、その資金を運用して増やしたのち、原則として60歳以降に老後資金として受け取ることになります。だいぶ先になりますが、その受け取る時にも口座に振り込まれるための手数料がかかります。金額としてはほとんどの金融機関で440円となっていて、振込のたびにかかります。
投資信託ごとの信託報酬も見ておこう
これまでご紹介したものがiDeCo口座にかかる手数料のすべてですが、あと1つ知っておきたい費用があります。それが、各投資信託を保有している間ずっとかかる信託報酬です。この信託報酬は、別途支払ってきたこれまでの手数料と違い、「保有している投資信託の資産額に対して何%」といった形に決まっています。
投資信託の種類によって信託報酬は異なりますが、iDeCoでは毎月積み立てることによって資産はどんどん増えていくため、この信託報酬のパーセントの違いものちのち大きな差になります。同じような商品があれば、信託報酬を安く設定している投資信託を取り扱っている金融機関でiDeCo口座を作るという選び方もiDeCoのコストを抑える1つの方法です。
老後までかかる費用だからこそこだわりたい
iDeCoにかかる手数料をご紹介しましたが、意外と種類が多くて驚いたのではないでしょうか。iDeCoは一度始めると老後までずっと利用するものです。元本確保型の商品ばかりを運用していると、手数料の方が高くついてしまうこともありますし、投資信託で運用しても必ず利益が出るとは限りません。しかし、手数料を安くできればリスクを抑えつつ、コストを下げることができます。最初にしっかり調べて納得してからiDeCoを始めましょう。
文・松岡紀史(ファイナンシャル・プランナー、ライツワードFP事務所)
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