女性にとって人生の一大イベントである妊娠・出産。国際結婚し、韓国で暮らす日韓カップルの皆さんも「どこで産もうか」「どうやって産もうか」というのは大きな関心事だと思います。
いざ妊娠が判明し、現在の生活基盤である韓国で産むと決めても、文化の違う海外で妊婦生活をスタートするとなると、言葉の問題もあって情報が得にくく、不安になったり戸惑ったりすることも多いはず。そこで、妊娠・出産・出産後と3つの期間に分け、日本と異なる独特の文化・慣習から外国人も利用可能な支援制度まで、韓国でお産を迎えるにあたっての基本情報を紹介します。
数字で見る韓国の妊娠・出産
近年、少子化が大きな問題となっている韓国。2013年2月のOECD(経済協力開発機構)発表資料によると、韓国の合計出生率(1人の女性が生涯に生む子どもの数)は1.23人(2010年基準、日本は1.39人)と加盟国中もっとも低く、その深刻さが浮き彫りとなりました。
韓国国内に目を向けると、ここ数年、出産率は若干増加しています。韓国統計庁の「2012年出生死亡統計」では、出産率が前年度より0.06人増加の1.30人を記録。2012年は60年に一度の黒龍年に当たるなど、縁起が良いとされる干支も出生率アップに一役買っています。
また、注目すべきは年々高まる30代以上の出産率。働く女性が増えるにつれ、初婚年齢・初産年齢も上昇しています。
母親の年齢別出生児数
(出典:統計庁2012年出生死亡統計)
妊娠
もしかして…と思ったら?妊娠を確認する方法
韓国の妊娠検査薬(写真の商品は4,800ウォン)。尿をかけて判定
妊娠かどうかを確認するには韓国でも市販の妊娠検査薬がよく用いられます。妊娠テスター機(임신테스터기、イムシンテストギ)と呼ばれ、薬局で5,000ウォン程度で販売。
基礎体温をつけている人は日本に比べて少なく、薬局でも婦人体温計は手に入り難いためインターネットで日本製を購入する人が多いようです。基礎体温を体調管理のバロメーターにしたい人は日本帰国の際に購入しておくと良いでしょう。
花の夢は女の子の予兆と言われる
妊娠を知らせる予知夢―胎夢(テモン)
韓国では妊娠した女性が見る夢のことを胎夢(テモン)と言い、柿・桃・唐辛子など種のあるものや虎・豚・馬など尻尾の長い動物だと男児、種のない果物や野菜、花、鱗のある動物だと女児という風に、胎夢に出てきたものでお腹の赤ちゃんの性別が分かるとされています。
胎夢は妊娠した女性の代わりに家族や親戚、友人が見ることもあるとされ、良い夢を見た人に小額のお金を渡したりご飯をご馳走するなどして「夢を買う」行為が行なわれることもあります。
マタニティライフのお供!妊娠アイテム
出産まで約10カ月間の妊婦生活に欠かせない、母子手帳やマタニティウェア・下着といった様々なグッズ。韓国では何と呼ばれ、どこで手に入れられるのか、日本と違う点も合わせてチェックしてみましょう。
母子健康手帳 산모수첩 サンモスチョッ
日本は住所地の市区町村から交付されるのに対し、韓国は通院中の各病院で受け取ります。内容は病院によって異なりますが、妊娠月数別の検診項目や注意事項がメイン。妊娠・出産の経過からその後の成長に伴う記録まで残せるようになっている日本に比べると、韓国の母子手帳は随分シンプルです。
チェイル病院の母子手帳
韓国で出産を経験したコネストサポーターちゃんぐみ◇さんは最寄の保健所で入手(写真は以前のカードケース型)
マタニティーマーク 임산부 마크 イムサンブマク
韓国では2006年第1回妊婦の日(10/10)に配布が開始されましたが、あまり普及していないのが現状。
ミラー付キーホルダーでYWCA・保健所で配布されています(外国人登録証または居所申告証と母子手帳を要提示)。
メッセージは日韓で異なり、「おなかに赤ちゃんがいます」と周囲に理解ある行動を促す日本版に対し、韓国版は「妊婦優先(임산부 먼저、イムサンブモンジョ)」と自らをアピールし意思表示する内容となっています。
マタニティーウェア 임부복 イムブボッ
インターネット大国の韓国、妊婦服はオンラインでの購入が主流です。妊婦服専門のショッピングモールでは「Dressnine(ドレスナイン)」が有名。オフラインショップはミリオレなどファッションビル内の専門店、路面店があります。オンラインショップは安価で品揃えも豊富なのが魅力ですが、試着したり直接対面で購入したい場合はオフラインショップの利用がおすすめです。
ワコールのmotherpia
(写真提供:ワコール)
マタニティーインナー 임산부 속옷 イムサンブ ソゴッ
オンラインショップのほか、百貨店等に入店している下着ブランドでも購入が可能。マタニティーラインは韓国にも進出しているWacoal(ワコール)の「motherpia」、VIVIEN(ビビアン)の「Maternity」が代表的です。1カップ増量可能なブラなど出産前後の体型変化に対応した機能性下着が揃います。
ドレスや普段着など多様なスタイルで撮影(写真提供:ナビスタジオ)
韓国では定番!マタニティフォト
来るべき出産に向け、徐々に変化していく体は、まさに神秘的。日本でも最近人気を集めるマタニティフォト、韓国では臨月写真(만삭사진、マンサクサジン)と呼ばれ、妊娠中の定番イベントの1つになっています。写真スタジオで撮影する場合、生後100日や1歳の誕生日写真などとセットになっていることが多く、費用は150万ウォン~250万ウォン程度が目安。スタジオはインターネットで探したり経験者に紹介してもらうケースが大半です。韓国の人々は結婚前のウェディングフォトにも気合を入れますが、臨月写真も然り。今だけの美しい瞬間を写真に残しておくことに重要な意味を見出す人が多いようです。