韓国といえば短期間で行くもの、というイメージがある一方、いつかはのんびりスローな旅を楽しんでみたいという方も多いのではないでしょうか。そんなとき注目すべき手段の一つが船旅。日韓を結ぶフェリー会社の一つである関釜フェリーは、山口県下関港と韓国の釜山港との間を、約13時間かけて運航しています。鍾路(チョンノ)に位置するソウル駐在員事務所の所長・江熊俊和さんに、フェリーを使った船旅の実際や、韓国での生活について伺いました。

第73回~江熊俊和さん(関釜フェリー)
(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)
名前 江熊 俊和(えぐま としかず)
職業 関釜フェリー株式会社 ソウル駐在員事務所所長
年齢 満38歳(1975年生)
出身地 山口県
在韓歴 2年
経歴 1998年に入社。国際航路旅客部門にて、営業、入出港サポート等の業務に10年あまり従事。その後国内航路、貨物等の部署を経て2011年4月より現職。
## 東京~大阪より近い!220kmの都市間を結ぶc
第73回~江熊俊和さん(関釜フェリー)
(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)

関釜フェリー保有の「はまゆう」
下関と釜山の都市間は直線距離にて約220kmですが、これはソウル~釜山の半分ほど、日本でいうと東京から大阪へ行くより近いです。日本と韓国、異なる国の2都市はそれほど間近に位置しています。関釜フェリーでは、貨物と最大460名の旅客とを同時に運ぶ約1万6千トン規模の貨客船を毎日運航しています。

夜7時に下関港を出発して翌朝8時に釜山港に到着するスケジュールで、逆の航路もダイヤはほぼ同様です。韓国の釜関フェリー株式会社と共同運航で、双方1台ずつの船舶が都市間を交互に行き来しており、港の業務も下関港では関釜フェリー、釜山港では釜関フェリーが分担しています。

関釜フェリーのスタッフは大きく海上と陸上従業員とに分かれ、旅客対応や貨物、営業等の業務があります。私は営業とお客様の出入航サポートを中心に担当しながら、15年あまり勤めてきました。 2011年に赴任したソウル駐在員事務所のメイン業務は、現地企業に対する貨物運送の営業活動です。

旅客分野では韓国の旅行会社への対応や観光地の視察を行ないます。韓国駐在は釜山も含めて私ひとりですが、韓国側の釜関フェリーの韓国人スタッフと協力しながら仕事を進めています。

ロマンを感じる。フェリーの魅力

第73回~江熊俊和さん(関釜フェリー)
(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)

スイートルーム(写真)から2等室まで揃う 
日本からのお客様は、比較的時間に余裕のある年配の方々と学生がメインです。最も安い2等室の運賃は片道9,000円ほど。

上手く利用すれば日本の国内旅行より費用が安くあげられるため、気軽な海外旅行の足としてご活用いただいています。釜山に朝到着すると日中を丸一日使えるため、割合はさほど高くありませんが、ビジネス利用のお客様もいらっしゃいます。

船での移動は、ゆったりとした時間とロマンが感じられるのがなによりの魅力です。「船=揺れる」と思われる方もいますが、風が強くなる冬季を除けば海は予想以上に落ちついています。春、または8月から秋口にかけては特に穏やかで、波がなく月の光が水面に筋になって見える夜もあるほどです。船内は客室のほか、レストランや免税店、大浴場まで揃います。

個人的に一番のおすすめは桜の季節。釜山港の目の前の山に桜の木が沢山植わっており、朝にフェリーで入港する際、一面がピンク色に染まる景色を船から見られるんです。下関で8月、釜山で10月に行なわれる花火大会の日には出航時間をずらして船上観覧を行なったりと、季節に応じたキャンペーンやイベントも取りいれています。

釜山観光、新しい旅行形態にも注目

観光目的のお客様の行き先は、まず釜山、そして近郊の慶尚道(キョンサンド)の都市が中心です。釜山タワー、国際市場、繁華街の西面(ソミョン)といった観光地巡りがやはり人気ですが、ウォーキングやサイクリングなど「体験型の旅」も少しずつ注目を集めています。

特にフェリーを使うと日本から自転車やバイクを携帯できるので、サイクリングは船旅の利点を生かした楽しみ方だといえます。関釜フェリーでは自社の旅行社を運営し、観光ツアーの企画等を行なっていますが、定番の観光コースを盛りこんだツアーはもちろん、こうした新しい旅行形態の旅行商品もご好評をいだたいています。

第73回~江熊俊和さん(関釜フェリー)
(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)
釜山らしい観光スポットはやはり定番
第73回~江熊俊和さん(関釜フェリー)
(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)
サイクリングなど新しい旅行形態も 厳密には観光地とはいえないかもしれませんが、私が韓国でおすすめするスポットは、やはり港です。仁川(インチョン)や平沢(ピョンテク)にあるように何万トンという船が世界中から集まる港の迫力もいいですし、田舎の小さな漁港も趣が楽しめます。 一番は、もちろんホームグラウンドである釜山港。国際ターミナルの外れに休憩スペースがあり、そこから見える港と海がある景色は、本当に釜山らしく心が落ち着きます。ソウルはすぐ近くに海がないのが残念ですが、漢江(ハンガン)を通る船を眺めながら我慢しています(笑)。
第73回~江熊俊和さん(関釜フェリー)
(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)
大型船が多数集まる仁川港旅客ターミナル
第73回~江熊俊和さん(関釜フェリー)
(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)
釜山港の見える景色