学生時代は使う機会が少なくても、歳を重ねるうちのし袋を用いることが増えてきます。結婚式や謝礼、葬儀、お見舞いなど、必要とするシーンは実にさまざまで、それぞれに見合ったのし袋を用意しなければなりません。そんなときに困らないよう、のし袋の種類や使い分けの仕方から包むお金の平均予算まで、覚えておくべき情報をご紹介していきます。

必ず覚えておきたいのし袋の基礎知識

のし袋の「のし」の意味と、のし袋を飾る「水引」の違いを知っていますか?どちらももっとも基本となる知識だけに、誰かに聞かれても悩まず答えられるように覚えておきましょう。

【のし袋】表書きの意味や名前の書き方・お札の入れ方を知っておこう
(画像=引用元:pixta.jp、『あそびのノート』より引用)

のしの由来にはアワビが関係していた

結婚や出産などの慶事ごと、さらには葬儀やお見舞いなどの弔事ごとの際に金品を包むのし袋。

のし袋と聞くと、お馴染みの封筒に飾りがついた袋を連想する方が多いと思われます。しかし、「のし」が何を意味しているのかご存じでない方も多いのではないでしょうか?

「のし」とは、のし袋の右上に付いている飾りのことを示します。この「のし」は、なんとアワビを意味するのだとか!正確には、「細く割いて干したアワビを伸した(のした)もの」を意味するそうです。高級品であるアワビを縁起物として担いだ風習から、今もなおアワビを模した「のし」が装飾されています。

【のし袋】表書きの意味や名前の書き方・お札の入れ方を知っておこう
(画像=引用元:pixta.jp、『あそびのノート』より引用)

のし袋の水引きの意味!3種類を使い分けよう

水引きとは、のし袋に付けられている飾り紐のことで、大きく3種類に分けられます。
結び目が解けないように結ばれている水引きは「結び切り」。一度結ぶと解けないという形状にちなみ、結婚や葬儀など2度とあってほしくない機会において用いられることが多いです。
両端を引っ張ると紐が更に固く結ばれる様な水引きを「あわび結び」と言います。結び切りの一種でもあり、結婚式、葬儀、お見舞い、退院祝い、謝礼、餞別の際に用いられることが多いです。 何度も結び直せるように結ばれた水引きを「蝶結び(花結び)」と言います。その特徴にちなみ、出産や進学、昇進など何度あっても良いとされる祝いごとなどに用いられることが多いです。

【のし袋】表書きの意味や名前の書き方・お札の入れ方を知っておこう
(画像=引用元:pixta.jp、『あそびのノート』より引用)

のし袋の種類は慶事と弔事で大きく異なる

のしを購入しに行ったものの、あらためて見るといろいろな種類があり、どれを選べばいいかわからなかった…そんな経験はありませんか?慶事と弔事で用いるものの違いは、なんとなく雰囲気でもわかったりしますが、水粋の違いともなると頭を悩ませそうです。恥ずかしい失敗をする前に、しっかりそれぞれの違いを確認しておきましょう。

【のし袋】表書きの意味や名前の書き方・お札の入れ方を知っておこう
(画像=引用元:pixta.jp、『あそびのノート』より引用)

弔事ではのしが印刷されていないものを使用

前述したように、アワビを模したのしは一般的に縁起物として装飾することが多いです。そのため、葬儀をはじめとした弔事の際はのしは付けません。

また、「細く割いて干したアワを伸したもの」であるのしは、「(事態を)引き延ばす」という意味合いを持つことからも、弔事の際には用いません。

のし袋の種類1. 祝水引(赤金水引・又は赤銀水引)

おもに婚礼を除く祝い事における祝賀金、並びに祝い事に際し手伝ってくれた方々に贈る謝礼金などを包むものです。賞金や見舞い金を贈る際にも用いられています。

祝水引の特徴として、水引を「花結び」している点が挙げられます。花結びとは、いわゆる蝶のような結び方。水引の色にも大きな特徴があり、向かって右側が赤色、左側が金色(銀色)となっています。

また、水引の本数が5本、もしくは7本であることや、向かって右側にのしが施されているのも特徴です。

本体紙の形の特徴としては、多当折型(四方折り、四つ手)と封筒型が挙げられます。多当折型は、袋の左側に「赤色」の線が印刷されていて、おもに関東地方で用いられています。

のし袋の種類2. 婚礼水引(赤金水引・又は赤銀水引)

婚礼の際の祝賀金、並びに婚礼に際し手伝ってくれた方々に贈る謝礼金などを包むのに使用。金婚又は銀婚式祝い、長寿祝いなどの際に贈る祝い金を包む際にも用います。

婚礼水引の特徴として、水引に「結切り」と呼ばれる結び方を施してる点が挙げられます。水引の色に関しては、向かって右側が赤色、左側が金色(銀色)となっています。

水引の本数が7本、もしくは10本であることや、向かって右側にのしが施されているのも特徴です。

本体紙の形の特徴としては、多当折型(四方折り、四つ手)と封筒型が挙げられます。多当折型は、袋の左側に「赤色」の線が印刷されていて、おもに関東地方で用いられています。

のし袋の種類3. 佛水引(藍銀水引)

佛水引は弔事の際に用いられ、袋に蓮が印刷されているものとそうでないものとに分けられます。前者は仏教の通夜・葬儀告別式の際、後者は仏教のみならず神道、キリスト教など複数の宗教の通夜・葬儀告別式の際と使い分けましょう。

佛水引の特徴として、水引に「結切り」と呼ばれる結び方を施してる点が挙げられます。水引の色に関しては、向かって右側が藍色、左側が銀色で、水引の本数が5本、もしくは7本であることも特徴です。主に弔事の際に用いられるため、袋にのしは施されていません。

本体紙の形の特徴としては、多当折型(四方折り、四つ手)と封筒型が挙げられます。多当折型は、袋の左側に「緑色」の線が印刷されていて、おもに関東地方で用いられています。

のし袋の種類4. 黄水引(黄白水引)

黄水引は弔事の際に用いられ、おもに大阪・京都・神戸・奈良をはじめとした関西の都市部において用いられてきました。

佛水引と同様、水引には「結切り」と呼ばれる結び方が施されています。水引の色に関しては、向かって右側が黄色、左側が銀色となっているのも大きな特徴です。

また、水引の本数が5本、もしくは7本であることも特徴で、弔事の際に用いられるため、袋にのしは施されていません。

本体紙の形は封筒型となっています。

のし袋の種類5. 赤棒

祝水引と同様、祝い事の際に用いられています。「赤棒」は水引が省略されていることから、お祝い事において当事者よりも、行事などの準備を手伝ってくれた方々へ贈る謝礼金や記念品などを包むことが多いです。

水引は省略されている一方で、袋の左側に「赤色」の線が印刷されており、右上にのしが装飾されています。本体紙の形は封筒型です。

【のし袋】表書きの意味や名前の書き方・お札の入れ方を知っておこう
(画像=引用元:pixta.jp、『あそびのノート』より引用)

のし袋選びに欠かせない表書き・水引

用いるのし袋の種類が合っていても、表書きが間違っていては本末転倒です。先方に失礼がないよう、いま一度、表書きについても確認しておきましょう。また、贈る金額に見合ったのし袋の選び方や、水引の本数や色の違いについても覚えておくと便利です。

慶事の代表的な表書きは「寿」や「御礼」

結婚式をはじめとした慶事においては、一般的に「寿」や「御礼」という表書きが施されたのし袋を使用します。

「寿」は結婚祝い、還暦や古希をはじめとした長寿の祝いの際に用いることが多く、「御礼」は結婚式の際に、仲人や関係者へお礼を贈る際に用いることが多いです。

この表書きがすでに印刷されているのし袋もあれば、印刷されていないのし袋もあります。後者を使用する際には、水引の上に毛質で表書きを書きましょう。慶事の際には濃い墨で、弔事の際にはやや薄い墨を用いて書くことも大事なポイントです。

弔事では黒白の水引(結び切り)を選ぶ

前述したように、弔事において用いる佛水引や黄水引の水引は藍色と銀色によって印刷されています。本来、水引の向かって右側が黒色で左側が白色です。しかし、のし袋に印刷をする際にはそれぞれを藍色、銀色として色づけられています。

金額に合わせてのし袋の豪華さを決める

のし袋を選ぶ際には、その豪華さを贈る金額に合わせて調整することも大切です。
ご祝儀、不祝儀の額が1万円前後の場合には、水引が印刷された簡易的なのし袋に包んで贈りましょう。ご祝儀、不祝儀の額が3万円前後の場合には、のしと水引が印刷ではなく装飾されたのし袋、金額が5万円前後の場合には、円計形の水切(結び切り)、波状のしぼが付いたのし袋を使用。金額が7万円から10万円の場合には、豪華な水飾りが装飾されていて上質な紙を使用したのし袋が相応しいです。

のし袋の水引の本数と色に込められた意味

一般的に、水引は5本結びや7本結びなど奇数に結ぶことが多いです。水引の本数が多いほど、丁寧さ・格式高さが強調されます。奇数でありながらも、「苦」を連想させることから9本結びは用いられません。

結婚式の際は例外で、「両家が合わさる」という意味を込めて10本結びを用いられています。

水引の色について

一般的に慶事の際は、赤色と白色を組み合わせた「紅白」の水引、もしくは金色と銀色を組み合わせた「金銀」の水引を用いられることが多いです。

弔事の際には、白色と黒色、白色と青色、黄色と白色、銀色と銀色(双銀)などの組み合わせが用いられることが多く、黄色と白色の組み合わせは、おもに関西で用いられています。

【のし袋】表書きの意味や名前の書き方・お札の入れ方を知っておこう
(画像=引用元:pixta.jp、『あそびのノート』より引用)