今回は、コーカサス地方に位置するジョージア(旧称グルジア)の西部三都市をご紹介します。それぞれが公国を持った歴史があり、近いにも関わらず街の雰囲気が全く違います。

ジョージアはどこにある?

ジョージア(旧呼称グルジア)は、黒海とカスピ海に挟まれたコーカサス地方にある国です。

とても同じ国とは思えない!コーカサスの国【ジョージア(旧グルジア)】の地方三都市クタイシ・ズグディディ・バトゥミ1.jpg
(画像=openstreetmap.org © OpenStreetMap contributors、トリップノートより引用)

その中で今回ご紹介するクタイシ、ズグディディ、バトゥミは、ジョージアの首都トビリシから200kmほど西部にある都市。時代背景によってはそれぞれの都市が公国を建て、また大国に支配されてきており、現在は同じ国と思えないほど見た目の違いが顕著です。

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(画像=openstreetmap.org © OpenStreetMap contributors、トリップノートより引用)

ジョージアの歴史

現在のジョージアは、古代・近代にグルジア王国をはじめ、コルキスやイメレティ、メグレルなど、いくつかの独立した王国が設立されていました。しかし、その後はモンゴル、オスマン帝国、イランの歴代王朝を含むさまざまな大国の覇権下となり崩壊しています。

さらに、18世紀後半に旧ソビエト連邦(以降、旧ソ)の支配下となり、1991年に旧ソが崩壊すると、その後の10年間のほとんどを内戦やアブハジア、南オセチアでの分離闘争に費やし、精神的にも経済的にも苦しみました。

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(画像=toshel、トリップノートより引用)

2003年以降、親欧米の外交政策へと舵を切り、NATOと欧州統合の道を選んで民主政と経済的改革を導入すると、直ぐにロシアとの関係が悪化しました。領土紛争においては現在も火種がくすぶっています。

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(画像=toshel、トリップノートより引用)

クタイシ(Kutaisi)

クタイシは、ジョージアで3番目に大きい都市で、首都トビリシから200 kmほど西にある世界で最も古い都市の1つです。1008年から1122年まで、クタイシはグルジア王国の首都であり、15世紀から1810年まではイメレティ王国の首都でした。

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(画像=toshel、トリップノートより引用)

その後、オスマン帝国に支配されると、イメレティの王たちは独立を計画しロシア帝国に助けを求めるも、ロシアはトルコとの関係を重んじてこれらの訴えをすべて棄却。

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(画像=toshel、トリップノートより引用)

しかし、1885年にロシアとトルコが戦争となると、ロシア帝国はあっさりイメレティ王国を併合します。1991年に旧ソ崩壊によるグルジア独立によりクタイシの経済は崩壊し、多くの住民は海外で働くためこの街を去りました。それ以降、残った人々により小規模な商業中心の街が続いています。

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(画像=toshel、トリップノートより引用)

クタイシの街並みは、さすが世界最古級らしい建物も多い一方、王国の首都となってきただけあり美しい中世の街並みを色濃く残し威風が漂います。

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(画像=toshel、トリップノートより引用)

バグラティ大聖堂とゲラティ修道院(ゲラティのみ世界遺産)

クタイシの街のどこからでも見える丘の上にあるバグラティ大聖堂とゲラティ修道院は、西暦1106年に建立された中世のジョージア正教会最古にして最高傑作の一つでした。

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(画像=toshel、トリップノートより引用)

大聖堂と修道院は、1994年に両者を合わせて世界遺産に登録されましたが、大聖堂は老朽化が進む一方で、長い歴史から巡礼者の訪問が絶えず危険なことから、再建計画が上がりました。世界遺産委員の審議では、大胆な再建計画に異議を唱え続けましたが、当初の設計計画は覆らず2013年に大聖堂はほぼ完成。2017年、バグラティ大聖堂のみ世界遺産から登録が外されています。

一方、ゲラティ修道院も再建はされましたが、世界遺産委員の申し出に概ね準拠した建築様式を保ったため、引き続き世界遺産として登録されています。下の写真の右手前が修道院です。

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(画像=toshel、トリップノートより引用)

ゲラティ修道院は、教育の中心地として機能し、古代アカデミーとしてはジョージアで最も重要な文化施設の一つです。その高い建築品質、卓越した装飾、サイズ、明確な空間品質が組み合わさり、ジョージア「黄金時代」の建築芸術と評価されています。コーカサスの唯一の中世記念碑ともいわれています。

そして、そこから眺めるクタイシの風景は壮大です。

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(画像=toshel、トリップノートより引用)

徒歩の場合は、後述するリオニ川にかかるチェーン橋を渡り、右折してすぐ左にある階段を上ると近道です。

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(画像=toshel、トリップノートより引用)
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(画像=toshel、トリップノートより引用)

リオニ川(Rioni River)

街の中心を流れる川です。春になり近くの山々で雪が溶け始めると、リオニ川の流れは激しさを増し、遠くの家々までに流音が聴こえるそうですよ。

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(画像=toshel、トリップノートより引用)
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(画像=toshel チェーンブリッジ、トリップノートより引用)

デビッド・アグマシェネベリ広場

街の中央には、デビッド・アグマシェネベリ広場があります。

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(画像=toshel、トリップノートより引用)

中央には、コルキスの泉と呼ばれる噴水があり、近くの遺跡で発見された古代宝飾品を模した動物の彫像30体が置かれています。馬、ライオン、鹿などがありますが、それらのデザインは5000年以上前のものです。

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(画像=toshel、トリップノートより引用)

ワインショップ

ジョージアはじめ、コーカサス地方はワインの発祥地といわれています。およそ7000年前のワインが発見されたことでそう言われていますが、山が多く気候も温暖なため、ブドウ栽培には最高の環境です。

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(画像=toshel、トリップノートより引用)

街にはワインショップが点在していますので、ぜひお試しを。