韓国マンガ事情~韓国漫画の歴史
(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)

「MANHWA(マンファ)」の国・韓国

韓国マンガ事情~韓国漫画の歴史
(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)

2009年に100周年を迎えたとされる韓国のマンガ。韓国マンガ原作の人気ドラマ「宮~Love in Palace~」や、日本マンガ原作の韓国版「花より男子」などで韓国のマンガをすでにご存知の方も多いでしょうが、韓国は日本とは「似て非なる」マンガの国です。最近では、韓国マンガは「MANHWA(マンファ、漫画の意)」という独自のジャンルとして世界的にも知られてきています。

そんな韓国の「マンファ」の発展には、日本の「マンガ」も大きく関係しています。韓国のマンガの歴史から、「韓国にはどんなマンガがあるの?」「日本のマンガも人気なの?」という素朴な疑問まで、韓国のマンガ事情をシリーズでご紹介しましょう。

韓国のマンガの種類

マンガの種類は日本と似ており、少年マンガ、成人マンガ、純情マンガが主流です。ごく最近はウェブトゥーン(オンラインマンガ)の発達もめざましく、オンライン専用マンガ雑誌なども登場。これ以外には、スポーツ新聞などで短いマンガが連載されています。

・時事(新聞)マンガ
・少年マンガ
・成人(青年)マンガ
・純情(少女)マンガ
・子ども(学習)マンガ
・カートゥーン(1コママンガ、子供向けアニメ)
・ウェブトゥーン(オンラインマンガ)
・独立マンガ(アンダーグラウンド・コミックス)

韓国の主なマンガ雑誌と連載作品

マンガで有名な出版社は、以下の3社です。それぞれ週刊・月刊誌や各種単行本を発行しています。国内のマンガ家による作品をはじめ、日本のマンガ家の作品もライセンス契約を通じて翻訳連載・発行しています。
※2009年6月現在

ソウル文化社(www.ismg.co.kr)
◆少年マンガ
雑誌「IQジャンプ」
主な連載:「名探偵コナン」(青山剛昌)、「PLUTO」(浦沢直樹)など
◆純情マンガ
雑誌「wink」
主な連載:「宮」(パク・ソヒ)など
雑誌「ミンク」
主な連載:「しゅごキャラ!」(PEACH-PIT)など

大元(テウォン)CI(www.daiwon.co.kr)
◆少年マンガ
雑誌「コミックチャンプ」
主な連載:「ONE PIECE」(尾田栄一郎)、「NARUTO」(岸本斉史)など
雑誌「スーパーチャンプ」(オンライン)
主な連載:「ウィッチハンター」(チョ・ジョンアン)、「退魔針」(菊池秀行作、シン・ヨングァン画)など
◆成人マンガ
雑誌「ヤングチャンプ」
主な連載:「KARMA」(チョ・ジュニ)、「ベルセルク」(三浦健太郎)など
◆純情マンガ
雑誌「issue」
主な連載:「CIEL」(イム・ジュヨン)、「パピヨン -花と蝶-」(上田美和)など

鶴山(ハクサン)文化社(www.haksanpub.co.kr)
◆少年マンガ
雑誌「チャンス」
主な連載:「ツバサ」(CLAMP)、「メタルハート」(ユン・ジェホ)など
◆成人マンガ
雑誌「Booking」
主な連載:「バガボンド」(井上雄彦)、「クレヨンしんちゃん」(臼井儀人)、「VERITAS」(キム・ドンフン、ユン・ジュンシク)など
◆純情マンガ
雑誌「Party」
主な連載:「和気あいあい 花木高」(パク・ソンギョン)、「魔女とパーティー」(ソ・ウンジン)など

韓国マンガに接してみよう~歴史探訪~

現代マンガのルーツ(1909~)

韓国マンガ事情~韓国漫画の歴史
(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)

イ・ドヨン「挿画」
韓国マンガの発祥は、東洋画にルーツを持つ新聞マンガに遡ると言われています。1909年6月2日創刊の「大韓民報(テハンミンボ)」に掲載されたイ・ドヨンの木版マンガ「挿画」が最初で、1年後に「大韓民報」が廃刊となるまで連載されました。

ほかにも多数の画家によって新聞連載や単発寄稿、挿絵などが描かれ、1920年代には四コママンガや娯楽マンガも登場しましたが、社会風刺など時事漫画、漫評が主流でした。

現代マンガのはじまり(1945~)

韓国マンガ事情~韓国漫画の歴史
(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)

「野談」
日本植民地時代から解放された1945年以降、いわゆる現代マンガが発展していきました。1948年には初のタブロイド版マンガ雑誌「マンガ行進」、49年には「マンガニュース」などが創刊されましたが、長くは続きませんでした。この頃の代表的マンガ家は、キム・ソンファン、キム・ヨンファン、キム・イファンら。しかし出版社は零細で、マンガは買って読むよりは、文房具店などの店先で客寄せに使われるものでした。

その後朝鮮戦争(1950~53年)が勃発し、マンガは避難民が押し寄せた釜山(プサン)で盛んになりました。

「学園」や現在まで続いている「セボッ(新しい友)」など子ども向け雑誌の創刊を皮切りに、「実話」「青春」「野談」「アリラン」といったマンガが掲載された成人雑誌が次々と登場しました。特に韓国軍の活躍を描いたキム・ソンファンのマンガ「トトリ勇士」は人気作品でした。

マンガ房の登場(1950~)

1956年、初のマンガ雑誌「マンガ世界」の創刊を機に、マンガ雑誌や単行本が出版されはじめました。この頃登場したのが「座販(チャパン)」と呼ばれるマンガ露店です。書店から卸値でマンガを購入し、市場や公園の路上にマンガを並べて道行く人にマンガを読ませ代金をとるものでした。1957年にソウル総販(卸売店)が登場した後は、出版社-総販-座販の流通ルートが確立、全国的に拡大していきました。以後座販は、現在でも町ごとにあるレンタルマンガ兼マンガ喫茶「マンガ房(マナバン)」へと発展していきますが、当時マンガはまだ「借りて読むもの」だったようです。