急速に進化する韓国コーヒー文化、さらなる成熟には歴史が必要

第81回~堀口俊英さん(堀口珈琲)
(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)
第81回~堀口俊英さん(堀口珈琲)
(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)

東京・世田谷にある本店
「堀口珈琲」には韓国からもたくさんのお客様が訪れます。ツアーを組み観光バスで来る人たちも多いです。

それほどまでに支持されるのは、「堀口珈琲」がスペシャルティコーヒーの第一人者であるということもありますが、やはりコーヒーの味を決定する原材料、つまり生豆のクォリティの高さにあると思います。

徐々に改善されていくと思いますが、現在韓国で流通している豆の品質は日本に比べ若干ランクが下がります。また、良い豆を使うといっても、豆の良し悪しを判断する力というのは一朝一夕で身につけられるものでもありません。
本物のクォリティとは何かを正確に理解し判断していくには5年、10年と学びの歴史が不可欠ですが、韓国はまだその過程を実体験している段階なのではないでしょうか。

第81回~堀口俊英さん(堀口珈琲)
(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)

弘大(ホンデ)などには内装に凝ったカフェも多い
そういう意味でも、韓国のカフェブームは今まさに熱している最中なのかもしれません。新しい分野なのでビジネスチャンスもあり参入者も多いですが、品質は簡単に変わるものではないため、形から入るケースが多いように見られます。

また一方では、家でもなく職場でもない、自分自身を開放できる場所としてのカフェが強く求められているという韓国社会の一側面も感じられます。

韓国でもカフェには一通り入りましたが、深煎りの濃いコーヒーが好まれる日本に対し、ローストの浅い飲みやすいタイプのコーヒーが多いですね。ローストの度合いもまだバリエーションが少ないですが、今後コーヒー文化がさらに成熟してくれば味の多様性も広がってくるのではないでしょうか。

もう少し時間はかかると思いますが、一昔前まで薄いコーヒーやインスタントコーヒーが主流だったことを鑑みると、その変化のスピードは非常に早いと思います。

「最もおいしいコーヒーを追求する」不動の信念で活動

現在、韓国で「堀口珈琲」の豆を置いているカフェは、開業支援に携わった大田のお店1軒だけです。実は東日本大震災以来、輸出の際の検査が厳格になり、日本から豆を送ることが難しくなりました。

そのため開業をお手伝いしても豆を届けられず、そうなると韓国で焙煎する必要がありますが、私の活動拠点が日本なのでなかなか立ち会うことができません。「堀口珈琲」の豆を使用したいという希望者が多いだけに、残念ですし早く解決してほしいと思いますが、現実的に難しい状況です。

第81回~堀口俊英さん(堀口珈琲)
(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)

セミナーは今後も続けていく予定です。しかし、韓国でビジネスを行なうつもりはありません。元々、私がこの仕事を始めたのも「一番おいしいコーヒーを作りたい」という思いからスタートしています。

ビジネスとして利益を求めるならショップ展開を拡大していくという道もありますが、私はあくまでも「味」を求めてきました。品質の高さを追求すると、最終的には生産地に行くしかありません。
それは採算性や収益を度外視した道を進むことになりますが、結果的に利益がついてこれば良いという気持ちが根本にありましたし、その思いはこの先もずっと変わりません。韓国での抱負を一言で表すなら、「継続は力なり」でしょうか。「一番おいしいコーヒーとは何か?」ということだけを追求し、より多くの人にコーヒーの楽しみを伝えていけたらと思っています。
インタビューを終えて…
「『これまでで一番おいしいコーヒーだった』と言われる瞬間が最も嬉しい」と語る堀口さん。ダンディーな物腰に加え、確固とした信念を貫くお姿、そして深い知識に基づくお話に、コネスト記者はすっかり魅了されてしまいました。
始発で来て最終で帰るという1泊2日の強行スケジュールの中、ご協力いただき有難うございました!

株式会社堀口珈琲

「最高品質のコーヒーを追求し、お客様においしさと喜びを届ける」を経営理念に1990年に創業。コーヒー豆の小売・卸売、世田谷本店をはじめとする喫茶店運営の他、コーヒー学習講座(セミナー)や開業支援等のコンサルティング事業を行なっている。

住所:東京都世田谷区船橋1-12-15
電話:03-5477-4142


提供・韓国旅行コネスト

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