日本国内のみならず世界中で愛されている宮崎駿のジブリ映画は、大人から子どもまでと世代を超えて多くの人々を虜にしています。
今回はそんなジブリ映画の中でも隠れた名作と言われている「紅の豚」にスポットを当ててご紹介していきます。様々な名言や名シーンが登場するジブリ映画ですが、「紅の豚」は特に主人公のポルコからかっこいい男の生き様を学ぶことができると言われているのです。
ジブリ映画「紅の豚」とは?
「紅の豚」は1992年に宮崎駿監督作品として公開されたジブリ映画です。ジブリシリーズの中では1991年公開の前作「おもひでぽろぽろ」に続く第6作品目となっています。
興行収入は約54億円、第47回毎日映画コンクール音楽賞・アニメーション映画賞・アヌシー国際アニメーション映画祭長編部門グランプリなど数々の賞を受賞している名作です。これまでにも10回以上にわたりテレビ放送を行なってきています。
「紅の豚」のあらすじ
「紅の豚」は、人間から豚になってしまった元イタリア海軍のエースパイロットであるポルコ・ロッソを主人公に、彼を取り巻く世界大恐慌時代のイタリア・アドリア海での冒険と活躍を描いた物語です。
自分自身に呪いをかけて豚になってしまったポルコの渋くてかっこいい生き様が、鮮やかな色使いと繊細なタッチで描かれている作品となっています。
ポルコが何故豚になったのかという大きな謎を追いながら、荒れ狂うアドリア海を舞台に海賊やライバル飛行士のアメリカ人ドナルド・カーチスなどとの激しいバトルが描かれており、子ども向け作品の多いジブリ映画の中でも大人向けなストーリー構成になっているのが特徴です。
「紅の豚」主人公ポルコ(マルコ)の名言集
「紅の豚」はジブリ作品の中でも大人から愛されている作品の1つと言われています。その理由は複雑かつ謎めいたストーリー構成だけでなく、作中に登場する数々の名言にあると言われているのです。
今回はそんな「紅の豚」に登場する主人公ポルコ・ロッソが語った数々の名言の中でも、特に有名な名言をいくつかピックアップしてご紹介していきます。これまでに作品を見たことがある方はもちろんまだ未視聴という方も要チェックです。
紅の豚の名言①飛ばねぇ豚はただの豚だ
こちらの名言は、映画をきちんと見たことがないという場合でも知っている方が多いのではないでしょうか。「紅の豚」といえばこのセリフと言っても過言ではないほど有名なシーンです。
このセリフはポルコが飛ぶのをやめるよう迫ったジーナに対して言い放つセリフです。ジーナはこの作品のヒロインであり、ホテル・アドリアーノの経営者でありながらポルコが人間であった頃からの幼馴染の女性のこと。
ジーナはポルコの身を案じて彼に飛ぶことをやめるように頼むのですが、そんな彼女に対してポルコはこの一言を放つのです。このセリフには飛行士であるポルコにとって空を飛ぶことが自分の全てなのだという覚悟と彼なりの生き様が滲み出ています。
紅の豚の名言②カッコイイとはこういうことさ
映画のキャッチコピーにも使用されているのがこのセリフです。この短い一文にポルコの信念と映画の持つメッセージ性が凝縮されています。
紅の豚の名言③さらばアドリア海の自由とほうらの日々よ
物語の舞台である世界恐慌に苛まれた不況の時代をよく表しているのが、このセリフです。賞金稼ぎとして自由気ままな暮らしをしているポルコでしたが、景気の悪さによって世界がどんどん自由から遠ざかってしまっていることを嘆いています。
放埓とは自由気まま・勝手気儘に振舞う様子のことを指しています。自由を愛するポルコにとって、この時代は非常に息苦しさのある世界であったことがよく伺えるセリフです。
紅の豚の名言④馬鹿野郎!そういうのは一番大事な時にとっとけ
人間に戻れるかもしれないと知ったフィオがポルコに向かって「私がキスしてみようか!」と勢いで提案するシーンに彼が発したのがこのセリフです。ポルコにとってフィオは戦友の大事な愛娘です。フィオの父親はかつてポルコと空軍で共に過ごしていました。
そんなフィオのことをポルコは実の娘のように思って大事にしていたのです。そんな彼女からの提案に彼は、娘の幸せを願う父親のような暖かなセリフを返します。いつも冷静沈着なポルコが少し慌てふためく様子にも思わずほっこりとしてしまう名シーンです。
紅の豚の名言⑤ほどよく痩せたぜ
ライバルであるカーチスとの戦いに敗れ無人島へ置き去りとなったポルコを心配してジーナがかけてきた電話に対して答えるのがこのセリフです。深刻な状況でもクスッと笑ってしまうような大人のユーモアさえ持ち合わせているポルコの魅力が伝わる名言となっています。
紅の豚の名言⑥ボウズ、俺たちは戦争やってるんじゃねぇんだよ
馴染みの武器屋へ新しいマシンガンや銃弾を仕入れに行った際に受付にいた少年へ放ったのがこのセリフです。少年はポルコに対して高性能焼夷弾などを勧めようとしますが、そんな彼に対してポルコはこの名言を言い放つのです。
このセリフにはポルコの賞金稼ぎとしての意地と信念が隠されています。自分は戦争をして稼いでるのではないのだという彼の生き様がよく描かれているシーンです。
紅の豚の名言⑦いい奴はみんな死ぬ
これまでに数々の戦地を味わってきたポルコの胸の内が垣間見れる切ないセリフとなっています。共に力を合わせて戦ってきた戦友を数多く失くしてきたポルコの普段は見せない切なさが見え隠れする名シーンです。
紅の豚の名言⑧なあに、軽いもんよ
カーチスとの戦いに勝利したポルコの帰りに感激したフィオに言い放ったのがこの大人の余裕溢れる一言です。決して痛々しい強がりではなくあくまで軽く笑いを引き出すようなユーモアのある余裕感が、さらにポルコをかっこよく見せてくれます。
紅の豚の名言⑨金と名声を運んでくる幸運のガラガラヘビさ
このセリフはポルコの良きライバルであるアメリカ人飛行士のカーチスが放った言葉です。彼はバーで出会ったポルコとの会話の中で、自身に金と名声をもたらしてくれた自分の愛艇のことをこのように喩えて話します。
ポルコの名言が目立つ「紅の豚」ですが、実は彼のライバルであるカーチスも非常に魅力あふれるキャラクターとして描かれているのです。
紅の豚の名言⑩徹夜はするな 睡眠不足はいい仕事の敵だ。それに、美容にもよくねぇ
娘のような大事な存在であるフィオに対して放ったのがこの愛情溢れるセリフです。祖父の説した会社である飛行艇製造会社であるPiccolo S.P.Aに設計士として勤務しているフィオは、朝から晩まで徹夜で仕事に打ち込む情熱あふれる少女として描かれています。
そんなフィオの身体を心配したポルコが彼女に向かってこんな言葉をかけるのです。美容にもよくないと一言最後に付け足すところが、女心にグッと刺さる名台詞となっています。
紅の豚の名言⑪パンケーキを作るんじゃねぇんだからな
ポルコの新しい飛行艇に際して集められた女性たちに向かってポルコが放つのがこのセリフです。不況から地元の男たちが皆遠くへ出稼ぎに行っている中で女性ばかりが集められたことに対して不安を募らせたポルコの口から出たのがこの一言でした。
とはいえ、ジブリ作品に出てくる女性陣は活発で情熱的な女性ばかりです。結局ポルコの心配をよそに、飛行艇作りは順調に進んでいくことになります。
紅の豚の名言⑫お嬢さんよ、俺は凶状持ちの賞金稼ぎだぞ。遊覧飛行に行くんじゃねぇんだ
飛行艇の修理を終えた後自分についてこようとしたフィオに対して放つのがこのセリフです。一見怖く聞こえるセリフですが、これはフィオのことを大事に思っているが故に出た彼なりの愛情表現とも受け取れます。
呑気なフィオのことを心配するがあまり少し脅かすような口調になってしまっているのが逆に可愛らしくユーモアのある名セリフとして親しまれています。