「Who Are You ?」の答えを探す『ANSWER…』シリーズ

登坂広臣、ØMI名義のソロ活動で見つけた“新たな旅”とは。新曲から読み解く
(画像=『女子SPA!』より引用)

『ANSWER… SHADOW』(CD+DVD)/LDH Records

 今年2021年、本格始動したプロジェクト「CDL entertainment」がそれだ。「CDL」とはフランス語「Clair De Lune」の略でクロード・ドビュッシーの有名なピアノ曲「月の光」にもある美しい意味を持つ。この言葉には、「三代目」のカリスマ的存在であるクールなイメージと、ソロアーティストとして自らの表現性を追求する上でのよりシャープな一面が込められている。 「光と影」の表現。登坂が表現しようとする世界観はこう設定され、『ANSWER…』シリーズとして非常にコンセプチュアルな世界観を持って「Who Are You ?」に対する答えが探求される。 「HIROOMI TOSAKA」から改め「ØMI」名義で5月12日にリリースされたEP作品『ANSWER… SHADOW』では、まず初めに「影」の部分にスポットが当たる。  リード曲「ANSWER… SHADOW」は、登坂の内に秘められていた影の世界が深海のイメージで表現され、サビの「答えのない In My daek Moon Light」が、見えない答えを求め、必死でたぐり寄せようとするもどかしさを深海世界から伝えてくる。  しかも登坂には珍しく抑制された歌唱が、掴みきれない感情の襞(ひだ)を繊細に表現。この抜け感は、まさにボーカリストとしての真骨頂と言え、これまで以上に高い表現レベルを示している。

「新たな旅のはじまり」を告げる『ANSWER… SHINE』

 続くシリーズ第2弾となる先日10月15日リリースのシングル『ANSWER… SHINE』では、『ANSWER… SHADOW』から打って変わって「光」の世界がポジティブなエモーションで歌われている。  そのリード曲「You(Prod.SUGA of BTS)」で「この場所でわかったんだ」と歌う登坂が見つけたのは、おそらく答えではないが、あるかないかも分からないものを求める長い旅の過程であり、それがひとつのターニングポイントにはなっていると思う。  この曲は、登坂のセルフプロデュースではなく、今や世界的アーティストとなった「BTS」のSUGAがプロデュースしており、カントリーな雰囲気の冒頭から、BTSらしいオーセンティックなサウンドが心地よい。  MVも『ANSWER… SHADOW』のダークな深海世界はどこへやら、木々や水面に優しげな陽光が降り注ぎ、大自然が広がる水辺のベッドに登坂が寝そべる。深海世界の記憶から目覚めた朝の瞬間なのか。ときおり聴こえる口笛が爽やかで、ブルーのオープンカーで山並みのハイウェイを疾走するロケーション撮影も登坂の表現世界がどこまでも広がっていくような壮大なイメージとなって「新たな旅のはじまり」を告げている。