iDeCoは近年注目されている老後資金を用意する方法で、利用するとさまざまなメリットが受けられます。「どんなメリットがあるの?」また「デメリットはないの?」という疑問を解決するため、iDeCoのメリット・デメリットをご紹介します。
iDeCoってどんな制度?
iDeCoは、ざっくり言えば「老後の生活費を準備するならいろいろ優遇しますよ」という制度です。年金だけに頼らず自助努力で老後資産を作ることを国が促しており、2017年からは原則誰でも加入できるようになりました。
iDeCoでは現役中から少しずつ資金をiDeCoに積み立てておき、老後に資金を受け取ります。公的年金以外の収入源ができるため、老後の生活費に充てることができます。
iDeCoの3つのメリット
iDeCoには大きく3つのメリットがあります。
給与の手取りを増やしながら貯蓄できる
iDeCoに拠出した金額は全額が所得控除になり、納める税金が少なくなります。節税ができる分、銀行などにただお金を預けておくよりもお得に老後資金を用意することができます。
運用益は非課税
iDeCoでは積み立てるお金を運用することができます。その運用で得られるリターンはすべて非課税になります。
iDeCoの運用先は定期預金などの「元本確保型」か投資信託などの「リスク商品」です。本来ならどちらも利益に20.315%の税金が掛かりますが、iDeCoなら非課税で運用できるため効率のよい資金準備ができるでしょう。
受取りも有利な控除が利用できる
積み立てておいたお金は60歳以降に受け取れますが、受け取る金額は所得とみなされ課税対象となります。その際、実際に受け取る金額から一定額を差し引く「控除」が利用でき、手取りを増やすことができます。
iDeCoの3つのデメリット
iDeCoには有利に老後資金を用意できるメリットがありますが、デメリットはどうでしょうか?
受け取りの際に注意が必要
iDeCoでお金を受け取る際には控除が利用できますが、そもそも積み立てておいたお金が課税対象になる点はデメリットといえるでしょう。
たとえば銀行に100万円預け、後でその100万円を引き出しても税金は発生しません。iDeCoの場合この100万円も所得とみなされてしまうのです。
「利益が出ていないのに課税される」可能性があるため、受け取りの際は控除のルールをしっかり確認し、できるだけ有利に受け取る工夫が必要です。
60歳まで解約ができない
iDeCoでは60歳までお金を引き出すことができないため、子どもの教育資金やいざという時のお金に転用することができません。
iDeCoを利用する際には資金計画をしっかり立て、資金不足になってしまわないようにしましょう。
手数料が掛かる
iDeCoには金融機関の手数料と「国民年金基金連合会」の2つの手数料があります。金融機関の手数料は無料とするところもありますが、国民年金基金連合会の手数料は必ず掛かります。
入会時や拠出時に手数料が掛かりますので、無料ではできないという点には留意しましょう。
iDeCoをやる前に知っておきたいこと
メリット・デメリットのほかにも、iDeCoを利用するなら知っておいた方がよいことがあります。
iDeCo以外にも老後資金を作る方法はある
iDeCoは有利に老後資金を作れる制度ですが、老後資金はiDeCoを利用しなくても用意することはできます。保険を利用する方法や企業の財形を利用する方法、また単に銀行に積み立てていくという方法もあります。「絶対にiDeCo!」というわけではなく、自分に適した方法を選択するようにしましょう。
金融機関によって上乗せ手数料がある
iDeCoの手数料のうち、金融機関の手数料は金融機関によって違いがあります。ネット系証券会社は無料とするところも多いですが、銀行など対面金融機関では上乗せ手数料を設定していることがあるため、事前によく確認するようにしましょう。
所得や税金がない人は効果が薄れる
iDeCoには給与などの税金を少なくする効果がありますが、そもそも所得や税金が発生しない方には効果がありません。
運用益が非課税になるのはどの方も一緒ですが、専業主婦など所得がない人は節税効果が薄れる点に注意しましょう。
iDeCoで投資信託をする場合リスクがある
iDeCoの資金を投資信託で運用する場合、積み立てた額以上に損が出てしまう可能性もあります。
iDeCoではリスクが大きいものも小さいものも用意されています。大切な老後資金ですから、自分が許容できない以上のリスクは取らないように気を付けましょう。
iDeCoで自分年金を作りましょう
私たちは平均寿命が伸び老後が長くなってきています。「長生きリスク」といわれる通り、公的年金だけで長い老後を過ごすことは年々難しくなってきているのです。
iDeCoは老後の年金を増やす有効な手段です。メリット・デメリットをよく理解したうえで、老後も有意義に過ごせるよう対策をしておきましょう。
文・若山卓也(ファイナンシャルプランナー)
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