いざ2021年1月にリニューアルオープンした天守閣へ!
見どころにあふれる、天守閣の展示めぐりのスタートです。 今回のリニューアルで変わったのは、城内の展示内容。映像による解説をはじめ、歴史の解説が綴られたパネルや立体3D像など、“若き徳川家康の熱き情(こころ)を感じてめぐる展示”として生まれ変わりました。
地上3階、地下1階の浜松城。各フロアにはテーマが設けられ、それに沿った展示が見られます。
まず、1階のテーマは「人~情熱の層~」。まだ若かった家康が浜松に来てからの足跡をたどる内容です。2階では、「城~情勢の層~」として復元模型や発掘物をもとに、現在に至るまでの浜松城の歴史を掘り起こしています。そして、3階「街~情景の層~」は、家康が過ごした浜松をぐるりと望める展望台です。
また、地下には古びた井戸がポツンと一つだけ。この井戸が「天守秘話」として、浜松城の果たした大きな役割を物語っています。
それでは、フロアごとに展示を見ていきましょう。
1.【1F展示】家康の生い立ちや浜松城との関係を学ぶ
青壮年期の17年間を浜松城で過ごした家康。1階では築城の経緯や三方ヶ原の戦い、新たな家臣とのつながりなど、この時代の家康と浜松城でのできごとが映像やパネルで詳細に解説されています。
なかでも興味深いのが、家康が初陣で着用した甲冑と、天下統一を決定づけた関ヶ原の戦いで着用した甲冑の複製が並べて展示されている点。
今川氏の人質だった少年期に、今川義元があつらえた金色の甲冑が、写真左側の「金陀美具足」(きんだびぐそく)」です。初陣や桶狭間の戦いで着用しました。
また、もう一方は「歯朶具足」(しだぐそく)。関ヶ原の戦い前夜、家康の夢枕に立った布袋様が「歯朶の葉を付けるように」告げたため、実際に兜印にあしらったとされる言い伝えが残っています。
家康の生い立ちと天下統一を象徴する2つの甲冑の間に、浜松城での17年間があったと思うと、この地での彼の成長ぶりが伺えますね。
リニューアル後に新設した展示物で最も目を引くのが、シワや毛穴まで再現した等身大の3D像「浜松時代の若き徳川家康公像」。浜松城から三方ヶ原の戦いへと出陣する家康の姿を再現しています。
今にも動き出しそうなほど、肌の質感がリアル。思わず食い入るように見てしまいました。若かりし頃の家康の熱い思いが、ひしひしと伝わってきます。
2.【2F展示】江戸時代の城下町がここに!浜松城の歴史を感じる
続いて2階へ。このフロアでは、城下町の形成から新時代のシンボルとして市民に愛されるまで、浜松城の歴史とこの地に与えた影響が発掘物や写真などとともに分かるようになっています。
壁沿いのパネルを読んでいくと、浜松城の歴史や豆知識が学べます。
浜松城は家康の後に城主となった堀尾吉晴によって、今の天守閣に近い形に整備されました。吉晴は関ヶ原の戦いの後、出雲へ移転し松江城を築きます。浜松城と松江城には、天守に付櫓(つけやぐら)、地下に井戸があることなど、類似点も多数。当時の浜松城が残っていれば松江城と同様、名城として国宝になっていたかもしれません。
さらに見どころは何といっても、縮尺600分の1で再現された江戸時代後期の城下町の復元模型やパネル。浜松がどのように発達を遂げたか、その変遷が学べます。
戦後になって江戸時代初期に失われた天守閣を復元しようと機運が高まり、市民から寄付金を募り1958年に竣工した現在の天守閣。浜松のシンボルとして現在に至る経緯も分かる展示もまとめられています。
3.【3F展望台】家康が生きた浜松の街並みを一望
3階へと階段を上っていくと、見えてきたのはきらびやかな天井に映える歴代城主の家紋。
この金色の天井には、三つ葉葵紋の徳川家をはじめ、分銅紋の堀尾家、沢瀉(おもだか)紋の水野家など各城主の黒い家紋が一面に広がっています。
外から差し込む光と相まって、美しさのあまり、しばらく見上げ続けてしまいました。
最上階となるこのフロアは、城主気分で浜松市街を一望できる展望台。屋外に出て壁沿いにぐるりとひとまわりすれば、東西南北それぞれの眺めにも浜松城が歩んだ歴史が感じられます。
天気が良い日は左手に富士山まで見える東側。下には本丸・二の丸跡や富士見櫓跡があり、富士山を見ながら客をもてなしていたであろう当時の様子が見られます。
さらに右手の奥に見える、ひと際高いビルはハーモニカの形をイメージしているのだとか。楽器の町として名高い、浜松市らしい一面も見られました。
それぞれの方角に、周辺の史跡や観光スポットが記されたパネルが設置されています。家康と武田軍の激戦地である三方ヶ原古戦場も、ここから望めるので要チェック。
北東と南東の角にそれぞれ1台ずつ、1回100円で100秒間使える望遠鏡が備えられています。歴史の足跡を間近に感じてみましょう。
4.【地下展示】当時の暮らしがリアルに感じられる、石組井戸が見どころ
3階まで見終えたら、地下にも忘れずに降りてみましょう。地下には1つの石組井戸があるだけの狭い空間が広がっています。
直径1.3m、深さ1mの既に枯れた井戸。壁に掲げられた説明「浜松城天守秘話」によると、この井戸こそが浜松城の天守閣を天守閣たらしめるひとつの証でもあるのです。
浜松城の天守閣は、何らかの理由で江戸初期には消失。その古文書や絵図も発見されていません。しかし、地下に井戸があるということは、籠城への備えの意味があります。
この事実から、安土桃山時代には天守閣が存在した可能性が高いといわれています。戦国の世に建てられ、その役割を果たした浜松城。1つの井戸に垣間見る戦国ロマンを、地下でゆっくり感じてみてください。
5.【1Fみやげショップ】浜松城の限定アイテムをゲット
1階へ戻ってきたら、天守閣1階の出口近くのみやげショップへ。コロナ禍が収まるまでは菓子類の取り扱いはなく、グッズのみの販売です。
数あるグッズの中でも、目に留まるのは浜松市のキャラクター「出世大名 家康くん」のぬいぐるみ(1,045円)。ほのぼのとした、かわいい顔つきがたまりません。
ほかにも家康くんをモチーフにしたノートやメモ帳のほか、浜松城から出世した家康にあやかったグッズが勢ぞろいしています。
リニューアル記念のスタンプラリーも開催中!
また浜松城では天守閣のリニューアルオープンを記念し、城内でスタンプラリーを開催。4ヵ所のスタンプを重ねると天守閣の絵柄になるという仕組みです。
訪れた記念に!御城印をもらおう
「御城印(ごじょういん)」とは、城で発行している御朱印。浜松城では、再建された天守閣と三つ葉葵の紋が押された御城印を販売しています。神社の御朱印と異なり、登城の記念スタンプのような意味合いのため、気軽に買い求めればOK。
通常の用紙は白色ですが、2021年2月現在、築城450年を記念した限定品の黒い御城印も販売中です。限定品は在庫がなくなり次第、販売終了。ご希望の方は来城前に問い合わせてみることをおすすめします。
御城印は通常品・限定品ともに1枚300円です。御城印を保管する「御城印帳」は、900円と1,500円の2種類。御城印とセットで買えば100円引きになります。販売場所は浜松城と天守門の2ヵ所。