行政の対応は地域によって異なるのが現状

 そして生活保護を受けていても、ペット飼育や幼稚園の登園は可能です。  まずペット飼育について。ペットにかかる費用は、すべて通常の生活保護費の範囲内で支払わなければなりません。食費やペット病院代、ワクチン接種費用もかかります。しかし、生活保護法にはペットに関する規約もありませんし、ペット飼育を最初からあきらめることはありません。  また幼稚園も同様です。確かに幼稚園は義務教育でないため、月謝は基本的に支給されません。とはいえ、地域や個々の状況により保育所基準での支給がされることもあります。機械的な判断ではなく、個別の事情も考慮してもらえます。また、生活扶助費を切り詰めて捻出する家庭や、減免等をしている園もあります。  生活保護に関する法律(生活保護法)は、全国どこであっても同じものが適用されますが、行政の対応は地域によって異なるのが現状です。もしもお住まいの自治体に相談してもスムーズに進まない場合は、都道府県の生活保護課に相談してみてください。大橋さんの場合なら、都の生活保護課に連絡すればスムーズにいくと思われます。

生活保護を利用しながら生活を立て直すことができる

 また大橋さんは、「貯金を切り崩している」と述べていることから、現在もある程度の預貯金があることが伺えます。生活保護を申請する際には、目安として医療扶助と介護扶助を除く最低生活費の半分以上の資産があると、その分が初回保護費より減額されます。自由に使えるお金があるなら、まずそれを生活費に回しなさい、という考えですね。  しかし「申請前」に自分の貯金をどう使うかは当然本人の自由です。申請時点で資産、収入がなければ、過去にどう使ったかは基本的に問われません。保護を受ける前に借金を返済してもいいですし、家具や家電を一式揃えたり、子どもの学費の前払いに充てる、という手もあります。  ちなみに私もシングルマザーで、かつては子どもと二人で生活困窮しながら、家賃9万円のアパートでギリギリ水商売をしていた時期がありました。そのときの生活を思い浮かべると「あのとき保護を受けていたら、経済的、時間的、精神的な余裕があったはず」と今なら思います。  女性の場合、生活保護を受けずとも、水商売などのナイトワークや性風俗業がセーフティーネットとなることもあります。しかし子どもを預けながら夜働くとしたら、ベビーシッター代や託児所代もかさみます。何より日々の家賃を支払わないと、というプレッシャーにも追われる。困窮する母子家庭の方には、生活保護という制度を利用しながら生活を立て直すことができる、その選択肢があることも知ってほしいですね。 【他の回を読む】⇒シリーズ「コロナ貧困」の一覧はこちらへ 【行政書士・三木ひとみ氏】 行政書士法人「ひとみ綜合法務事務所」所属。リクルート勤務を経て’15年に行政書士に。これまで1万人以上の生活保護申請業務を行ってきた専門家だ <取材・文/週刊SPA!編集部>


提供・女子SPA!



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