新型コロナは多くの失業者を出すなど、“貧困パンデミック”とでも言うべき状況が生まれている。なかでも、生活苦におちいる女性が急増している。そんなニッポンの貧困のリアルを総力取材した! 【前回の記事】⇒コロナで貧しくなる女性たち。50代以降はさらに深刻に<コロナ貧困1>
子供の発達障害で働けない…孤立するシングルマザー
不倫相手との子供を身ごもり未婚の母となった大橋早苗さん(仮名・36歳)。3年半ぶりの取材当日、大橋さんに手を引かれてやってきた女の子の首には、ヘルプマークがかけられていた。
大橋早苗さん(仮名・36歳)
「出産後、なんとか格安の託児所を見つけて派遣事務をしていました。でも2年前、娘の発達障害が発覚したんです。娘は、じっとしていられなくて急に飛び出したりするので、片時も目が離せません。障害を理由に託児所や保育園も断られ、しかたなく離職しました。今は幼稚園に通っていますが、送り迎えや療育、養護学校や病院など、付き添いも多くて、働く時間がまったく捻出できないんです」 一時は生活保護を考え、福祉事務所にも出向いたのだが……。 「似た境遇の母子家庭が暮らす母子寮に入れ、と言われたんです。それに、生活保護費から幼稚園代は出ないので、幼稚園は通わせられないとも。また犬を飼っているのですが、寮はペット不可。犬は私にとって大事な家族、里親に出すなんて考えられません」 (これは福祉事務所の対応がおかしい点もあり、行政書士のコメントを後述する)
両親は他界し、唯一の肉親の弟とも折り合いが悪い
出産前から飼っているポメラニアン。「この子を手放すなんて、考えられない。子育てとペットの世話で、一日はあっという間に終わってしまいます」(大橋さん)
役所への不信感は募るばかり。 「自分が好きで未婚の母になったので、国にはお世話になりたくないという意地もあります」 つい頑なになるものの、生活の困窮は明らかだ。 「現在は貯金を取り崩していますが、年内には底を突きそうです。両親は他界し、唯一の肉親の弟とも折り合いが悪くて頼れない。せめて2~3時間だけでも働ける場所があれば助かるんですが……」