国民のほとんどがイスラム教徒のトルコにも、マイノリティコミュニティが存在し、彼らは長い歴史の中で独自の宗教施設を設立して共存してきました。イスタンブール旧市街にある、歴史ある美しい教会をご紹介します。
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【1】血の教会
その色合いと形が印象的な「血の教会」は、古くから多くのギリシア人やユダヤ人が住まっていたイスタンブールのバラットという地区にあります。1453年のオスマン帝国軍によるコンスタンティノープルへの侵入の際、必死に抵抗した住民たちがこの教会の前で血を流したことから、カンル・キリセ(血の教会)という名が付けられました。
7世紀、ビザンツ帝国の時代に女子修道院として設立されたのが起源で、十字軍に破壊された後は再び修道院と教会として再建されました。オスマン帝国の時代になり、メフメト2世は自身のモスクの設計を手掛けてくれたギリシア人の建築家の母のために、この教会を贈り、現在に至るまで一度もモスクに改修されることなく受け継がれています。
【2】聖ステファン教会
19世紀、オスマン帝国内に住まっていたブルガリア人たちは民族主義運動の結果、スルタン・アブデュルアジズの「3ヵ月以内に完成させるなら」という条件付きで、帝国内に独自の教会を設立することを許可されました。
完成を急いだブルガリア人コミュニティは、建築材料をウィーンに依頼したため、ドナウ川やボスポラス海峡を経由して材料が運ばれてくるという大掛かりな作業に。そして、その結果、この教会は世界初のプレハブ工法の教会となりました。当時としては珍しい鉄筋造りの教会だったので、別名「鉄の教会」ともいわれています。
シンプルな外壁と黄金の十字架や装飾が金角湾に映え、内部は色ガラス窓から差し込む日光に照らされた幻想的な空間となっています。
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