『D.P. -脱走兵追跡官-』ポジティブな芸能人の兵役
少し前は「兵役は芸能人の墓場」と言われたり、芸能人の入隊にトラブルは付き物だったが、ここ4〜5年に入隊した推し達は兵役に対しポジティブなことも多かった。
兵役でしっかり任務に就き前向きに軍生活を送る姿は文句なしにカッコイイ。一般人の兵士たちと肩を組み輪の中心で慕われていたり、仲間と楽しそうにしている写真が出回れば「気取らないところが素晴らしい!」となるものだ。同じように、K-POPアイドルの軍楽隊への合格は推しが音楽の才能を活かした結果だとファンは喜び安堵する。
↑仲間との写真を感謝のメッセージと共にInstagramにアップしたり、除隊日に世界中のファンが出迎えるセレモニーも華々しい兵役中の姿として常に話題になる。
一方、あえて厳しい舞台へ志願する芸能人も多い。
最も過酷と言われる海兵隊に志願したのは『愛の不時着』のヒョンビンを筆頭に、SHINeeミンホ、INFINITEエル、AKMUイ・チャンヒョクなど。特に人気兄弟デュオのAKMUチャンヒョクは、人気沸騰中しかも21歳という若さで海兵隊に入隊し衝撃を受けた。
しかもその理由が、若くしてデビューした自分がこれから先ミュージシャンとして曲作りに生かすためにいろんな経験をしたいからという理由で一番心に残っている入隊となった。(しかも他の芸能人と違ってどう見ても肉体系ではなかったし。)
また、2PMのオク・テギョンが兵役義務が免除されるアメリカ永住権を放棄したうえ、現役兵での入隊を目指しヘルニアの手術を受け兵役に志願したエピソードも忘れられない。そして、今回、このドラマを知ることで私がとても好きだった元BEAST(現HIGHLIGHT)ユン・ドゥジュンがいたのがまさに憲兵隊(陸軍第12歩兵師団)だったことを知り、また一つ彼を尊敬する理由が出来た。
ただ、入隊前になると「僕のことを忘れないで」とVLIVE配信で寂しそうに言ったり、ナーバスな表情を見せるアイドルも少なからずいる。入隊直前、入隊後初のカムバックは大抵「忘れないでねSONG」や「僕はここにいるよSONG」「お待たせSONG」仕様になっており、我々ファン心をクラッシュする。
それに20代後半といえば、K-POPアイドルにとっては脂ののった最盛期であることも多いため本当にこちらも惜しい限りなのだ。
『D.P. -脱走兵追跡官-』ファンにとっての入隊を希望に変えてくれたBIGBANGテソンの言葉
私も当初は、推しの入隊は耐えられなかった。日々活力を与えてくれる存在に2年会えないとはどういうことだろう。
容易く会えないのはもちろん芸能人というのもあるが、SNSで日々の姿を共有してくれるK-POPアイドル達からの連絡がある日突然途切れることはどれほどさみしいことか。
しかし、私が推しの入隊をポジティブに受け入れられるようになった出来事が起きた。
2018年、入隊を控えたBIGBANGのD-LITEことカン・テソンがコンサートで言った言葉だ。
『D.P. -脱走兵追跡官-』僕は韓国の男だから
「本当に悲しくない。いままで皆さんがくださった愛に感謝する気持ちがとても大きく、少しの別れは全く悲しくない」
「男ならば守るべきものがある。2年間、男として守るべきものを守って、必ず皆さんのもとに帰ってくる。少しだけ待っていてほしい」
“僕は韓国の男だから。韓国の男性の入隊は生まれた時から決まってること”と日本語でしっかりと伝えてくれたあの日のテソン。
入隊で自分自身が成長することを楽しみにすらしているという姿は本当に頼もしくて眩しかった。
そして彼はK-POPアーティストとしてそうであったように、兵役でも与えられたものを大切にし、ストイックにやり遂げると確信した。スターはこういうことなんだと震えた。
そうして、少なくとも私の中では2018年頃からは兵役に対してかなりポジティブになりつつあった。
兵役は当たり前のことだから、韓国の男性芸能人を好きになったのならば入隊までは全力で推す。「推しは推せる時に推せ」があまりにもリアルなK-POPの世界を受け入れていた。
『D.P. -脱走兵追跡官-』が私に与えたリアル
そういうわけで、2021年の今、私がこの『D.P. -脱走兵追跡官-』を視聴した衝撃は大きい。
2014年の事件後、ここ数年においてはこうした風習は改善されている旨の記事も読んだ。
しかし、全てに言えることだが、私がこの目で見れないものの真実を私が知る術はない。
ドラマのラストに出てきた「滅共」。これも韓国兵役において大きな何かであると同時にこのドラマが伝えるべき根幹になるキーワードに違いないことは分かるのだが、調べても情報が少ない上、出てきた情報を読んでも理解するには難しすぎた。
コロナ前には月イチで韓国に遊びに行き、韓国の情報やニュースは日々細かく読み漁っているが、現地のリアルな生活や人間関係の在り方も知る機会はあまりなく、所詮ドラマやバラエティで垣間見てるわずかな情報から(しかも制作された番組で)なんとなく実感していたにすぎないと思い知った。
私は兵役含む韓国の文化と隣り合わせに生活しながら、当たり前だが断片のさらに一部しか知らなかったのだろう。
それは2020年に罪の意識なく犯罪に手を染めていく高校生を描いた『人間レッスン』を観た時にも似たような気持ちになったが、『D.P. -脱走兵追跡官-』はそれを後押しし、決定的なものにした。
韓国を好きになった日本人にとっての『D.P. -脱走兵追跡官-』
それでも、韓国を好きになって16年。
K-POPアイドルが入口ではあったが、今では韓国のカルチャーや言語、現地の人との交流も興味深く愛着をもって親しんでいる。
そして繰り返しになるが、私にとって兵役は身近だ。
だからこのドラマをきっかけに、兵役や韓国のカルチャー全般についてより正しく知識を身に付けようと思った。
韓国の映画評論家でコラムニストのキム・ドフン氏がこのドラマについて
「このドラマは、韓国がK-POPのキラキラしたテーマパークといった印象だけではなく、多くの問題を抱えた複雑な国であると世界に示すものです。世界の視聴者にバランスのとれた視点を提供するためにも、韓国の様々な側面を世界に示すことは非常に重要です」
引用:realsound.jp
と語っていたのをあとから知った。
私はまさにその対象者であろう。そして、それを知らされなくとも、このドラマを完走した後にはしっかりとその気持ちが沸き上がっていた。
私は韓国という国が好きである。このドラマは私に衝撃と虚無を与えたが、同時に自分の中の韓国への親しみと敬意を改めて知るものになった。
<ライタープロフィール> タピオカあさみ
30代/K-POPファン歴16年/歌とダンスのエンタメが大好きで月イチでK-POPの海外公演に行くことが生きがい/仕事も子育ても自分の好きなことも全部諦めずに楽しい毎日を送ることが目標のワーキングマザー
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