知人のバス運転手Nさんは、路線バスに乗車して20年のベテランです。いつもニコニコと穏やかな笑顔で、接客と丁寧な運転が身上のNさんですが、困った乗客に出会うこともしばしばあります。今回は、そんな「困った乗客」について語ってもらいました。
「お前のせいで遅刻する!」と小銭を投げつける普通のサラリーマン
「雨の日は道路が渋滞するから、定刻通りに走れないんですよね」とNさん。
Nさんにとっての困った乗客ナンバーワンは、雨の日に悪質クレーマー化する中年サラリーマンでした。乗車するなりNさんの真後ろから「早く走れ」「会社に間に合わない」「バス会社にクレームを入れるぞ」と文句をつけ続けます。
Nさんは安全運転に集中できず非常にストレスフルな毎日でした。
さらにその日は虫の居所が悪かったのか、その乗客はNさんに「お前のせいで会社に遅刻する!」と大声で怒鳴って運賃を思い切り投げつけました。
これにはさすがにNさんも困惑。周囲の乗客が「お前いい加減にしろ」と注意すると、ふてくされたように降車していったそうです。
そのサラリーマンは、会社でも段取りの悪さを人のせいにしているのでしょうか。上司にしたくないタイプですね!
「避ける方法がない!」汚ばさん客の悪臭で車内は阿鼻叫喚
Nさんによると、何日も風呂に入っていない系の悪臭を漂わせている乗客は意外と多いそうです。
悪臭を理由に乗車拒否をすれば問題になりますが、「他の乗客のことを考えると……。」
これは、かなり根深い問題といえるでしょう。
真冬に乗車してきた一見上品な身なりをした中年の女性客がまさにその一人でした。女性にクサイなんてとても言えず、ただひたすら耐えるNさん。
暖房で窓を閉め切っているので車内に悪臭が充満し、乗客全員がひたすら耐える悲惨な状況に陥りました。この汚ばさん客は、その後何度か同じ路線に出没したため、他の乗客からバス会社への苦情が相次ぎ、役職者がバスに乗車して注意をする運びとなりました。
運転手が「来ました」と連絡して、その路線バスに追いついて悪臭を確認してから「注意」……確認する役職者も大変です。
悪臭に気付けない・気付かないといった状況は気の毒ですが、悪臭は避けようがありません。定期的に同じ人が臭くてつらい場合は、バス会社に相談するのも一つの方法でしょう。