ヒートアップする奇妙な音と声
それから、日を追うごとに“奇妙な音”が増えていったそうです。 「私の寝息やいびきの背後で、なんか廊下をドスンドスンと歩くような音だったり、冷蔵庫をあけてなにかぴちゃぴちゃと食べているような音もかすかに聞こえました。もしかしてわたし、寝ながら動き回る夢遊病だったの?! って本気で不安になっちゃいました」 しかし、彼氏にも話を聞いてみると、これまで一緒に寝ているときに彼女が歩き回ったり、奇声を発したことは一度もなかったとか。 「でも聞こえてくるのは、突然ダッシュする人の足音や、響くような低くて冷たい唸り声ばかり。部屋には私しかいないのに……。もう本当に自分が夢遊病なのかもって思い始めた頃、決定的なものが録れたんです。それは『ヴェエエエエエエ』っていう野太い唸り声と重なるように、咳き込む私の声が録音されていたんです。おかしいですよね。唸り声と咳は同時に出せないし、そこには完全に、別のなにかがいたはずです」 奇妙な声と説明のつかない事態に、音声を聞きながら彼氏と二人で顔面蒼白(そうはく)になったという椎名さん。そしてさらに恐怖に突き落とす出来事に遭遇するのです。
男の声の「意味」に気付いて鳥肌がゾワッ!
「もう怖くなって音声を消そうとしたとき、恐らく遠くの方から発しているのか、消え入るような声で『……ほえ、ひいてふの?』って入っていて。声が小さいし、何度聞きなおしても何言ってるか全然わからなくて。とりあえず怖いから、そのときは消しちゃいました。でも、あとから彼氏からLINEがきて……」 メッセージを見てみると、彼氏から一言。 「『“これ、聞いてるの?”って言ってない?』って……。私たちが録音を聞いていることを、声の主は知ってるってこと!? と、もうそのメッセージを見た瞬間全身に鳥肌がゾワッと立っちゃって。しかも今、私その声がした自分の部屋にいるし! なんで私が一人のときに言うんだよ! って、思わず彼氏に逆ギレしちゃいました(笑)。でもあの声を思い出すだけで、今もゾッとします」 結局その声の主も分からなければ、うめき声や奇妙な物音の原因も分からずじまいだったとか。それ以来、一切熟睡アプリを使わなくなったそうです……。 【他の記事を読む】⇒シリーズ「私のトラウマ体験」の一覧はこちらへどうぞ <取材・文&イラスト 赤山ひかる>
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