赤楚衛二の不思議な魅力
しかし、俳優・赤楚衛二の魅力を的確な言葉で表現するのはとても難しい。ピュアで、誠実で、優しくて、柔らかくて、それでいて芯のある人間としての強さを感じさせるのに、それでもまだ赤楚の魅力を言い尽くした気にはなれないのだ。 それで映画なりドラマなり出演作品を見てみると、やっぱり魅力的な赤楚衛二がそこにはいて、どうにか上手く形容詞を探そうとする。なんて不思議な俳優だろう。 ただ、ひとつだけはっきりしているのは、先にも述べたように赤楚が扮するキャラクターは必ず相手に刺さる言葉を持って、自分の気持ちを伝える。それが不思議な魅力の正体となっているのだ。おそらく、ストレートなパワーワードを言わせたら右に出る者はいない。 馬場ふみかとのW主演でMBSで放送されたドラマ『ねぇ先生、知らないの?』(2019)で赤楚が演じたのは、イケメン美容師役。このキャラクターの唐突で強烈な告白の瞬間も驚きだったが、やはりここは記憶に新しい大出世作ドラマ『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい(以下、『チェリまほ』)』(2020)の、あのもどかしくも絶対的な優しさが滲み出ていた主人公について詳述しておこう。
町田啓太との共演作『チェリまほ』を振り返る…
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SNSでの世界トレンド上位に輝き、さらに各国で配信されたことが評価され、最終話放送月の12月には「ギャラクシー賞月間賞」を受賞した『チェリまほ』。世界中に胸キュンを贈り、赤楚自身、連ドラマ単独初主演作となった本作では、まじめで誠実な主人公・安達清のキャラが圧倒的なはまり役となった。また特筆すべきは『SUPER RICH』にも出演する町田啓太との共演作でもあることだ。 童貞のまま30歳の誕生日を迎え、触れた相手の心が読めるようになる「魔法」が使えるようになった安達は、社内イチのイケメンキャラで営業成績トップの同期・黒沢優一(町田啓太)が密かに自分に恋心を抱いていることに気づく。 いくら童貞とは言え、男同士の恋愛を考えたこともなかった安達は動揺するが、自分をこんなにも大切に思ってくれる黒沢のひた向きさにいつしか心を開いていく。 そんな二人の関係性が、田中圭主演のテレビ朝日系ドラマ『おっさんずラブ』(2016)以来の純愛BLドラマブームにのって、毎週視聴者の心にもトキメキの魔法をかけたものだった。