終戦していると感じても、なぜ日本に帰らなかったのか

津田寛治が兵士を熱演。デビュー秘話も語る「人がやっていないことをやる」
(画像=『女子SPA!』より引用)

『ONODA』より

――そうした話は聞きますね。 津田「でも帰るわけにはいかないという思いがすごくあった。なぜか。僕のなかでは、死んでいった仲間への思いがすごくあったんじゃないかと思います。自分の隠密の任務に共感して付いてきてくれた仲間たちが、ひとり、またひとりと亡くなっていったなかで、このまま彼らの死を無駄にはできない、なにかひとつ成果を出さなきゃいけないという思いが強くなっていった。最後、一番の盟友だった小塚(青年期:松浦祐也、成年期:千葉哲也)が亡くなって、ひとりになります」

ジャングルのなかで、小野田さんは何を考えていた

津田寛治が兵士を熱演。デビュー秘話も語る「人がやっていないことをやる」
(画像=『女子SPA!』より引用)

『ONODA』より

――とても大きな喪失だったでしょうね。 津田「一番の分岐点だったと思います。ジャングルのなかで、生と死の循環をより感じた気がします。虫が死んで土になり、養分となって木になっていく。虫として生まれて虫として死んだというよりは、形を変えてそこに居続けるという生命の循環に取り込まれそうになっていくなかで、いや、自分は人間なんだ、任務を持ってここにいるんだ。死んだ仲間たちのためにも、自分はここで潜伏しているのだと思い返す。  そうしたなかで、鈴木(仲野太賀)という自分が想像しえなかった使者と出会い、大きく揺らいだと思います。そこでほだされて帰るのかと考えたとき、やはり谷口少佐の命令解除がなければ帰るわけにはいかないというところに行きついたんだろうと思いますね」