喫茶店のモーニングを食べたことはありますか? 朝のひとときに、珈琲を飲んで、トーストをかじって……そこには特別な時間が流れています。読書や考えごと、仕事の準備もできるでしょう。いい1日のスタートを切れそうです。まさに、ちょっと早起きするだけで手にはいる“上質な時間”といえます。そんなモーニングの楽しみ方をお伝えします。
■喫茶店には、あなただけの時間が流れている
突然ですが、私は、喫茶店を愛しています。喫茶店も私のことを愛していると思います。
つまりは重度の喫茶店愛好家(中毒者)です。
街に出るたび――家の近所でも――なにかにつけて、ふらふら喫茶店に入ります。喫茶店を出たあと、また別の喫茶店の扉をあけるなどお手のものです。「また喫茶店かよ」と何度となく友人知人にいわれてきました。しかし、めげることはありません。
なにが、こここまで私を喫茶店に走らせるのでしょうか?
ひとつには居心地がいいからです。例えば、かのスタ—バックスの店舗コンセプトは「ザ・サードプレイス」です。自宅(ファースト)でもなく、職場(セカンド)でもない。ほっこりできる3番目の場所というわけです。
なかでも「喫茶店のモーニング」が大好物です。
なのに案外、モーニングを体験したことのない人ばかりだというのです。それでは人生の92%を無駄にしていることになります――ということで、今回は、人生の8%しか生きていない人たちのために、喫茶店のモーニングを賛美するだけという、実に趣味に走った記事を書くことにしました。
■ちょっと早起きするだけで手に入る“上質な時間”がある
さて、喫茶店のモーニング。
いうまでもなく喫茶店やカフェが、朝の時間だけ、特別に提供しているメニューのことです。珈琲、トースト、ゆでたまご、ハム、サラダ……。ごくシンプルなものから、観光客のインスタ映えを意識した豪華なものまであります。
朝、あくびをこらえながら喫茶店の扉をあけると珈琲の香りがします。窓ガラスから朝日がさして、まどろんだ空気、常連が新聞をめくる音。特別な時間がながれています。
そこで「モーニングを」と注文しましょう。
もちろん珈琲以外をつけることもできます。紅茶やホットミルク、オレンジジュースなんかもいいですね。この疲れることばかりの浮世のなかで、自分にご褒美をあげたいときは、クリームのたっぷり入った、ウインナー珈琲もおすすめです。
そして運ばれてきたモーニングセットに一息つきましょう。バターのしみたトーストをかじって、さくさくサラダを噛んで、珈琲を飲んで。思わず頬もゆるむことでしょう。なんだか、いいスタートを切って1日を始められる気がします。
気だるい平日も、わくわくする休日も。ちょっと早起きするだけで、グンと優雅なものになります。
だれにも知られることのない、あなただけの秘密の朝食。まさしく、モーニングとは、ちょっと早起きするだけで手に入る“上質な時間”なのです。
■朝の秘密、モーニングを優雅に楽しむ方法
朝活をする
せっかく早起きしたのです。これを有効活用しない手はありません。
平日の朝に、ちょっと資料やスケジュールを整理するのにも使えます。よく「夏休みは早起きして勉強すると頭に入ります」なんて言われましたよね。まさに同じことです。ぐっすり眠ったあとは、頭も冴えて、作業もさくさくとはかどることでしょう。
休日の朝に、本を読むのもいいものです。珈琲を飲みながら、たっぷり時間をかけてページをめくりましょう。時がすぎるのを忘れてしまいます。ふと人生について、思いがけないアイデアが浮かぶこともあるでしょう。
もちろん、あえて有効活用しないのも手です。いつも「効率効率!」と追い立てられているのですから。ぼけっとトーストをかじって、なにもしないのも悪くありません。そんなときはスマホを鞄に入れておくのもいいかもしれませんね。
その日の行動を始める前に、「さて、どう1日を過ごそう」と考えられる時間は貴重です。
とにかく朝の喫茶店にはスペシャルな時間が流れています。嫌な上司も、あれこれ気を遣う知人もいません。あなただけの空間なのですから。そんなふうに、たまには、ちょっと立ち止まって、ネジを巻くように、あなたの人生を調整する場所として使ってみるのはどうでしょう。
ゆでたまごの殻はコーヒースプーンで叩くべし
これだけは語らねばなりません。いうまでもなくモーニング愛好家にとって、「ゆでたまごの殻をいかにむくか?」は大きな課題であります。
基本的にはテーブルの角に、コンコンとぶつけることになります。これも作法にのっとった方法でしょう。しかし、たまに「ガンッ」と鈍器のような音が響くことがあります。
さらに上手くヒビが入らない場合、それをくりかえすことになります。朝の店内は静かなだけに、なかなか恥ずかしい瞬間です。
そんな悩める愛好家のためにとっておきの方法をお教えします。
あるとき、横の席で、ヨーロッパ系の老婦人が見せてくれたエレガントな技です。あまりにサマになっていたので、それ以来、こっそり真似するようになりました。
それは「コーヒースプーンで、こつこつ叩いて割る」というものです。
これなら机のダメージを気にする必要もありません。なんとなく優雅な感じもします。
みなさんもモーニングで殻つきのたまごが供された際には、ぜひ、お試しください。淑女の気分になれます。ちょっと気取って、スプーンでこつこつしてみましょう。
大切な人と共有する
先ほどモーニングは「あなただけの時間」だといいました。
しかし、もし「この人とモーニングを過ごしてみたいな」と思ったときは、積極的に誘うようにしましょう。朝活、という便利な言葉もあります。
私も何人か、お気に入りのモーニングに招待したことがありました。互いに眠気をおさえながら、トーストをかじっていると、ふと普段出ないような話題もあらわれます。相手の知られざる一面をのぞくことができます――あちらにとってもそうだったと思います。
もちろん、誰も彼も、あなたのザ・サードプレイスに招待していては元も子もありません。神聖な場所は神聖であるべきです。それを、こっそり打ち明けたくなった――共有したくなった――相手だけにしましょう。秘密基地を教えてあげるような感じです。
それが異性か同性かはわかりません。しかし、あなたにとっての特別な相手なのは間違いないでしょう。相手にも、そう感じてもらえるはずです。ひとりの朝食もいいですが、大切な人とすごす朝食もいいものです。モーニングのお誘いなんて素敵だと思いませんか?
そして、もし私の誘いを受けてくださるなら、まずは、めざまし時計をちょっとだけ早く設定してみましょう。素敵な1日が始まりますよ。
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