埼玉県で待機児童問題が深刻ではない自治体は?

戸田市 88.6% 49人 ふじみ野市 87.6% 5人 春日部市 85.3% 33人 さいたま市 81.4% 315人 越谷市 79.7% 45人 上尾市 78.1% 21人 朝霞市 76.5% 106人 富士見市 76.0% 66人 川越市 75.9% 73人 和光市 75.1% 54人 川口市 70.5% 82人 志木市 57.9% 75人 所沢市 非公表 19人 新座市 統計なし 77人 さいたま市は、入園決定率で見ると保育園に入りやすいと言えますが、待機児童数が315人と多いですよね。さいたま市は埼玉県の中でも1番人口が多いため、入園決定率が高くても、待機児童数が多くなってしまっていると予測できます。

待機児童問題がなくならない原因

待機児童問題の原因と対策 全国や東京23区での待機児童数は?
(画像=はいチーズ!Clipより引用)

長年、国や自治体が待機児童をなくすための対策をしているにも関わらず、なぜ待機児童問題はなくならないのでしょうか。待機児童が減らない原因をご説明します。

待機児童問題の原因1:共働き世帯が増えた

待機児童問題の原因と対策 全国や東京23区での待機児童数は?
(画像=はいチーズ!Clipより引用)

女性の社会進出が進み 共働き世帯が増えた 30年前までは、男性が働き、女性は専業主婦という形が一般的でした。しかし、バブル崩壊から日本が不景気となり、男性だけの収入で家族を養うことが難しくなりました。

また、女性の社会進出が進み、結婚や出産をしても仕事を続けやすくなり、共働き世帯が増え始めました。共働き世帯が増え、保育園の需要は急速に高まりましたが、保育施設や保育士の数が追いついていないため、待機児童をゼロにできていません。

待機児童問題の原因2:核家族化している

待機児童問題の原因と対策 全国や東京23区での待機児童数は?
(画像=はいチーズ!Clipより引用)

核家族とはパパママと子供だけで世帯が構成される家族です。厚生労働省の2017年の調査によると、子供がいる家庭は80.5%が核家族であると報告されています。核家族世帯では、おじいちゃんやおばあちゃんが一緒に住んでいないため、子供の面倒を見てもらうことが難しくなります。核家族が増えたことにより、子供を預かってくれる保育園の需要が高まり、限られた保育園の取り合いになっているのです。

待機児童問題の原因3:保育園の数が足りない

待機児童問題の原因と対策 全国や東京23区での待機児童数は?
(画像=はいチーズ!Clipより引用)

待機児童を減らすためには、待機児童が入園できる保育園を増やすことが必要です。待機児童が集中している都市部では、認可保育園を作れる広さなどの条件をクリアする場所が限られます。

また、子供の声や保護者の声で騒音トラブルになったり、保護者のマナーが悪く、近隣住民が迷惑に感じることがあるため、保育園を作ることに住民が反対するケースがあります。保育園を作るためには保育園を作る用地確保や周辺住人の理解を得る必要があるため、すぐに保育園を増やすことは難しいのです。

さらに自治体が保育園を増やすのに躊躇する理由もあります。共働き世帯が増え続けているため、保育施設を増やすことが期待されているものの、新生児の人口は毎年少しずつ減っています。今は待機児童問題が深刻ですが、将来、子供が減り、保育施設が増えすぎたときのことを考えると、自治体が運営する認可保育園を増やすことに躊躇してしまうのもわからなくはありません。

待機児童問題の原因4:保育士の労働環境と保育士不足

待機児童問題の原因と対策 全国や東京23区での待機児童数は?
(画像=はいチーズ!Clipより引用)

保育士不足の原因は、労働環境にあります。保育士は、朝早く出勤し子供たちが登園する前に保育の準備をします。子供がお昼寝している時間や子供たちを保護者に引き渡した後に、連絡帳の記入やお便りの作成といった事務作業をしています。

他にも保護者に子供の様子を伝えたり、行事の企画や制作物などもあり、保育士の仕事は非常にハードです。また、想像以上に大変な仕事内容と子供を預かるという責任の重さに、給料が見合っていないと感じる保育士もいて、潜在保育士問題が盛んに叫ばれるようになりました。

また、「東京都保育士実態調査」で保育士の退職理由を見てみると、1番多いのが「結婚・出産」、その後に「給料が安い」、「職場の人間関係」と続きます。保育士の資格を持っていても保育士として働いていない潜在保育士の中には、結婚や出産を機に退職してしまう人が多くいます。保育士の仕事は、家庭や育児との両立が難しいのが現状なのかもしれません。

待機児童問題にはどんな解決策があるの?国が行っている対策

待機児童問題の原因と対策 全国や東京23区での待機児童数は?
(画像=はいチーズ!Clipより引用)

待機児童問題について、国はどのような対策を行なっているのでしょうか。代表的な例をご紹介します。

待機児童問題への対策1:保育の受け皿確保を目指す

厚生労働省は2013年に「待機児童解消加速化プラン」を実施し、目標としていた50万人分の保育の受け皿を確保したと発表しました。しかし、その後も待機児童が増え続けたため、2017年6月に「子育て安心プラン」を発表しました。「子育て安心プラン」とは、2020年度末までにさらに32万人分の受け皿を整備することを目標としています。また、同時に女性の就業率80%も目標にしており、そのためには保育の受け皿の数があと32万人分必要だと予測しています。

厚生労働省が行なっている待機児童対策は、隠れ待機児童が含まれない待機児童をなくそうというものであって、多くのパパママが入園を希望する認可保育園に全員が入れるようになることを目標としている訳ではありません。2019年10月からの幼保無償化によって、3歳以上であれば認可外保育園の保育料の負担は軽減されるようになりますが、0〜2歳の子供を持つ家庭が認可外保育園に預ける場合は保育料の負担が大きいままです。子育て安心プランが成功しても、認可保育園に入園したいママの保活は続くことになるでしょう。

待機児童問題への対策2:事業所内保育、企業主導型保育の設置

待機児童問題の原因と対策 全国や東京23区での待機児童数は?
(画像=はいチーズ!Clipより引用)

近年、企業内に保育施設を作る、事業所内保育や企業主導型保育が増えています。事業所内保育や企業主導型保育は、従業員の子供のみを受け入れている場合と、その企業で働いていなくても入れる地域枠を設けているところがあります。

「子育て安心プラン」でも、事業所内保育や企業主導型保育の設置を促進しており、国が助成金を出しています。事業所内保育や企業主導型保育は、従業員であれば認可外保育園よりパパママの負担する保育料は少なく、保育所が職場の近くにあるため子供の緊急時にすぐに駆け付けられることなどがメリットです。一方、通勤電車で送り迎えをしなくてはいけないことや、会社を休む日は利用できないなどのデメリットもあります。事業所内保育や企業主導型保育については下記の記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

待機児童問題への対策3:保育士が働きやすい環境を整える

待機児童問題の原因と対策 全国や東京23区での待機児童数は?
(画像=はいチーズ!Clipより引用)

待機児童問題の対策では、保育園を増やすと同時に、働いてくれる保育士も増やさなければなりません。保育士不足を解消するためには、保育士さんが働きたいと思える環境を作ってあげることが必要です。

待機児童問題への対策4:保育士の待遇改善

保育士の退職理由で、給料の安さも大きなポイントです。保育士の給料や待遇を改善するために、厚生労働省は2013年に「保育士処遇改善等加算」という制度を開始しました。「保育士処遇改善等加算」の制度ができる前は、「保育士」、「主任保育士」、「園長」のような少ない役職でベテラン保育士しかキャリアアップができないような仕組みでした。しかし、「保育士処遇改善等加算」制度によって、保育士と主任保育士の間に「副主任保育士」や「専門リーダー」「職務分野別リーダー」という3つの役職を増やしたことにより、若手や中堅層の保育士もキャリアアップしやすくなりました。

また、2017年に「保育士処遇改善等加算Ⅱ」という新制度を作り、「職務分野別リーダー」だと月額5千円、「副主任保育士」「専門リーダー」になると月額4万円給料がアップする仕組みに改善されました。キャリアアップには役職によって3年~7年の経験年数が必要になりますが、この経験年数は1つの園で働いた年数ではなく、複数の園で保育士として働いた年数になります。

「保育士処遇改善等加算Ⅱ」では、国が保育園に補助金を支給した分が、キャリアアップした保育士の昇給分に割り当てられます。しかし、補助金の使い方は保育園に任されているため、役職についたからといって全員が同じ額の給料がアップするとは限りません。「保育士処遇改善等加算Ⅱ」は、保育士さんの待遇を改善できる制度ですが、保育園と保育士の間で、キャリアアップや昇給額について確認が取れていないと、いざ役職についても思っていたほど給料が上がらなかった、と保育士の不満につながることもあります。今後は、制度を上手く活用して、保育士さんが働きやすい環境作りをしていくことが重要です。

待機児童問題への対策4:認可外保育園にも預けやすい環境を整える

待機児童問題の原因と対策 全国や東京23区での待機児童数は?
(画像=はいチーズ!Clipより引用)

認可外保育園は、認可保育園より保育料が高いことも懸念されています。2019年2月に正式に閣議決定された幼保無償化により、3~5歳の子供が認可外保育園に通う場合は、月額3万7000円まで保育料の助成金が受けられるようになりました。

また、0~2歳の子供の場合は制限がありますが、「住民税非課税世帯」であれば、月額4万2000円まで保育料の助成金が受けらます。高い保育料が理由で認可外保育園に子供を預けられなかった家庭も、幼保無償化を機に認可外保育園への入園も考えられるようになったのではないでしょうか。

自治体が育児支援に積極的に取り組むと待機児童問題が悪化することもある

待機児童問題の原因と対策 全国や東京23区での待機児童数は?
(画像=はいチーズ!Clipより引用)

地域の保育環境を良くすると子育て世帯が流入し、待機児童問題が悪化する事例がいくつかの自治体で見られます。例えば、兵庫県明石市では第2子以降は保育園や幼稚園を2016年から無償化しました。他にも子供の医療費無償化など、子育て世帯には非常に有難い制度を充実させた結果、周辺自治体から子育て世帯が流入し、2018年の待機児童数が全国で最多という結果になりました。

2019年10月からの幼保無償化の実施で、多くの自治体で保育環境が良くなりますが、この結果、これまで以上に認可保育園に子供を預けたい家庭が増え、待機児童数が悪化してしまうのではという懸念もあります。

子育て世帯に人気な郊外の自治体と待機児童問題

1位 さいたま市 1141 2位 千葉県流山市 789 3位 千葉県柏市 668 4位 東京都町田市 612 5位 茨城県つくば市 598 6位 千葉県印西市 595 7位 札幌市 571 8位 神奈川県藤沢市 544 9位 福岡県福津市 502 10位 東京都小平市 460 ここ数年、通勤や通学、買い物などの利便性から郊外に住んでいた人口が都心に戻ってくる「居住人口の都心回帰」が話題になっていました。しかし、子育て世帯については郊外へ流出傾向にあります。2019年2月25日の日経新聞によると、上記表のような市区町村が14歳以下の子供を持つ子育て世帯に人気という結果が出ています。

上記表の数値は年少人口(14歳以下の子供の人口)が前年に比べてどのくらい増えたかを表しています。通勤が便利、子育て世帯にも買いやすい不動産価格、教育機関の充実などの結果で年少人口が増加すると考えられます。このような子育て世帯に人気の自治体は、流入する子供の数に保育園の整備が追い付かない可能性もあります。人気の自治体に引っ越しを考える際には待機児童数や入園決定率を調べてから決めるようにしてください。

まとめ:待機児童がゼロになるまでにはまだ時間がかかる

待機児童問題の原因と対策 全国や東京23区での待機児童数は?
(画像=はいチーズ!Clipより引用)

待機児童をなくすために、国や自治体がいろいろな取り組みをしていることがわかりました。子供を保育園に預けることができずに仕事に復帰できないパパママは、一刻も早く待機児童問題を解決してほしいですよね。

しかし、すぐには改善できないのが現状です。保育園に入るために、待機児童が少ない地域へ引っ越しをする人もいますが、パパママには負担が大きすぎますよね。国や自治体の取り組みで待機児童問題を解決していくためには、企業や地域の人の協力や理解も必要不可欠だと感じます。

提供・はいチーズ!Clip



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