額は小さくても、10年積み立てる覚悟で投資を 圦本弘美さんインタビュー
(画像=fuelle編集部)

圦本弘美(ゆりもとひろみ)
圦本弘美(ゆりもとひろみ)・FPフローリスト代表取締役
1995年神戸大学理学部地球惑星科学科卒業。出産を機にマネープランの必要性を痛感し、ファイナンシャル・プランナーとなる。資産運用・家計管理・住宅購入・保険見直しなど幅広いマネー相談に精通し、働くママとして奮闘する経験を生かした、親身なアドバイスが好評。2013年、FP開業10周年を節目に、日本初の本格的女性FP養成機関株式会社FPフローリストを設立。著書に『ママさんFPが教える 貯蓄をラクラク10倍にする家計見直し術』(ローカス社)など。
1995年神戸大学理学部地球惑星科学科卒業。出産を機にマネープランの必要性を痛感し、ファイナンシャル・プランナーとなる。資産運用・家計管理・住宅購入・保険見直しなど幅広いマネー相談に精通し、働くママとして奮闘する経験を生かした、親身なアドバイスが好評。2013年、FP開業10周年を節目に、日本初の本格的女性FP養成機関株式会社FPフローリストを設立。著書に『ママさんFPが教える 貯蓄をラクラク10倍にする家計見直し術』(ローカス社)など。)

まずは少額で積立投資を始めてみては?

3.額は小さくても、10年積み立てる覚悟で投資を
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――圦本さんは、自らも一男一女を育てる主婦でありながら、マネープランを提案するファイナンシャル・プランナーでもあります。大切な家計を預かる主婦の方に向けたマネー運用の第一歩についてお話を伺わせてください。

マネー運用にもさまざまな種類がありますが、投資の第一歩としては少額から始められる投資信託(投信)がお勧めです。

多くの専業主婦の方々は、日々、節約しながら自由に使えるお金を捻出しているはずです。

年齢や旦那様の収入にもよりますが、毎月投資に回せるお金は5000円から1万円程度が一般的ではないでしょうか。

――毎月5000円や1万円でも、貯金ではなく投資を始めたほうがいいんでしょうか?

たとえば、住宅ローンを抱えている家計の場合は、ある程度お金が貯まったら繰り上げ返済に回すという選択肢もあります。

繰り上げ返済を行うことで本来支払うべき金利負担を減らすことができるからです。

そういう意味では、繰り上げ返済も資産運用のひとつと言えるかもしれません。

ただ、資産形成の一手段としての運用は、お金を増やしていくにも、投資家として勉強を進めていくにも一定の時間が必要です。

月々5000円から1万円というのは運用を始めるには十分な元手ですので、興味を持たれたのであれば投資を始められることをお勧めします。

一方、クレジットカードの支払いをリボ払いにしているような場合は、金利がとても高いのでそちらを優先して返済したほうがいいでしょう。

――では、毎月5000円から1万円での投信運用について教えてください

毎月少額でスタートするなら、投信で積立投資をしてはいかがでしょうか。

投信は投資家から集めたお金をファンドマネージャーと呼ばれるプロが運用する金融商品です。

たとえば、株式型の投信であれば複数の銘柄に投資することでリスクを分散しています。

投信にも積極的にリターンを狙うものや、複数の資産や市場へバランスよく分散して投資を行うバランス型ファンドのようなディフェンシブなものもありますが、まずは後者のような投信から始めてみてはいかがでしょうか?

積立投資は長期がキホン。10年は続ける覚悟で

額は小さくても、10年積み立てる覚悟で投資を
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一般の株式投資のように短期間で大きなリターンは見込めませんが、“10年”は積み立てていく覚悟で、少額でも構わないのでとにかく早くスタートすることが肝心です。

投信であれば、種類によっては数百円から投資可能なものもあります。

ここで“10年”といったのには理由があります。

過去の経験則では、相場は概ね10年で1つのサイクルを形成しています。

つまり、不景気で株価が値下がりするときもあれば、好景気によって値上がりするときもあり、これがだいたい10年で一巡するわけです。

また、毎月、決まった金額で同じ投信を積み立てていけば、投信の基準価額が安い時にはたくさん購入でき、高い時には少なく購入することになります。

これにより価格と時間を分散することで、値動きの激しい投資対象であっても、買付単価を平均化することができます。

これは「ドルコスト平均法」と呼ばれるポピュラーな積立手法です。

――具体的には、どのような投信で積み立てていけばいいのでしょうか?

王道は、NYダウやS&P500といった米国の株価指数に連動するものや、日本の主要株価指数である日経平均株価に連動するインデックス型の投信です。

NYダウや日経平均株価は日々のニュースなどでもよく耳にするはずです。

どのような時に上昇し、どんなリスクが発生すると下落するのかなどをチェックしていけば、自然と投資に関する知識が身につきます。

せっかくやるなら非課税制度のつみたてNISAで

5.額は小さくても、10年積み立てる覚悟で投資を
(画像=umaruchan4678/stock.adobe.com)

また、せっかく積立投資を行うのであれば、ぜひ「つみたてNISA」を活用してください。

つみたてNISAは、2018年にスタートした少額からの長期・積立・分散投資を支援するための非課税制度。

非課税期間は最長20年間、非課税投資枠は毎年40万円が上限となっています。

対象となっている商品は、手数料が低水準で長期積立投資に適した投信やETF(上場株式投資信託)に限定されています。

1回設定すれば、毎月自動で投資を実行してくれるので、忙しい主婦の方にもお勧めです。

――つみたてNISAの購入にお勧めの証券会社はありますか?

私がお客様にお勧めしているのは、楽天証券などのネット証券です。

つみたてNISAのほかにもNISA(少額投資非課税制度)といった非課税制度がありますが、品ぞろえは金融機関によってまちまち。

しかも、口座は1人1口座と決められていますので、金融機関選びはとても大切です。

たとえば、将来的に個別株投資もやってみたいと思っても、銀行では個別株は買えませんし、投信のラインナップも証券会社に比べて少なくなっています。

ですので、株式投資に興味のある方は証券会社でNISA口座を開設する必要があります。

ネット証券は、対面型の証券会社のように担当の営業マンはつきませんが、手数料が安く、投資初心者にとってもお勧めです。

――積立投資について注意点はありませんか?

一番注意したいのは途中で積立をやめてしまうことです。

株式市場が下がり続けていると、どうしても怖くなって途中でやめたくなってしまいますが、前述したように相場は約10年で1つのサイクルを形成しています。

毎月、同じ商品を同じ金額だけ買っていくドルコスト平均法によって株価が安い時にはたくさん購入することができるので、株価が安いこそ積立投資はメリットを発揮するのです。

投資の鉄則は「負けない運用」です。1つの銘柄に集中投資するのではなく、投資信託などを活用し、複数の銘柄に分散ししたり、国内外へ分散投資したりしてリスクヘッジすることが重要です。

少なく感じるかもしれませんが、1年間で7~8%のリターンを出し続ければ、資産は10年で2倍にもなります。

まずはここを目標にしてみてはいかがでしょうか?

――最後に個別株投資についても教えてください

まずは、ご自身が行うのは、「投資」なのか「投機」なのかをはっきりさせることです。

失ってもいいお金で大きなリターンを狙うのは「投機」ですが、これは一般的な主婦の方にはリスクも高く、難しい手法です。

大切なお金を安全に増やしたいのであれば、やはり「投資」に徹するべきでしょう。

投資であれば、すぐ株価が上がって儲かりそうな銘柄という探し方よりは、中長期で大きく成長し、企業収益が上がることで株価が上昇し続けることが見込める銘柄を探していくことをお勧めします。

――主婦やOLの方に人気の株主優待はいかがでしょうか?

個別株を購入すると株主となって、株主優待や配当金を受け取ることができます。

特に株主優待は、自社製品や外食の優待券などがもらえることで主婦の方にも人気があります。

ですが、せっかく株主優待をもらっても、株価が下がってしまっては元も子もありません。

個別株投資はキャピタルゲイン(値上がり益)を目指して行うものです。

銘柄選びはもちろんですが、買い時を見極めることが大切です。

ですので、魅力的な株主優待があってもすぐに飛びつくのではなく、しばらく株価の動きを眺めて、できるだけ安いところで購入するようにしたいものです。

文・fuelle編集部

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