神奈川県の三浦半島にある三浦アルプスは、逗子、葉山、横須賀の境界にある山稜地帯です。三浦アルプスの一番の魅力は、200m程度の低い山々にもかかわらず、まるで原生林のような豊かな自然と、起伏にとんだ地形がまさにアルプス!手軽に行ける場所に、こんなに本格派の山があったなんてと嬉しくなるほど。いつもとは違う山登りを楽しみたいという方にお勧めの、三浦アルプスをご紹介します。
三浦アルプスって?
日本アルプスをはじめ、全国に〇〇アルプスと付く山々は沢山あります。自然の少ないイメージのある関東にも実は沢山あって、そのうちの一つが本日ご紹介する、神奈川県三浦半島の「三浦アルプス」です。
アルプスと付くと高い山々を想像しますが、意外にも全国のご当地アルプスは、里山をつないだ登山ルートが多いので、標高が低く、街並みの気配を感じながら歩くところも少なくありません。
ここ三浦アルプスも最も高いところで200m程度と、低い山々をつないだハイキングコースですが、低いながらもアップダウンが多く、また藪漕ぎ(やぶこぎ)が楽しめるコースとして人気が高まっています。
藪漕ぎとは、竹やササなど草地をかき分けて歩く技法のことで、整備されたルートを歩くハイキングよりも、より冒険感が味わえるため、藪漕ぎにハマる人も多いんです。
三浦アルプスにはいくつかルートがありますが、今回は特に人気が高い縦走ルートをご紹介します。約9kmのコースを標準的な大人の体力で、約4時間半かけて歩くルートです。
持ち物は?
通常、200mクラスの低山では、登山者とはっきりとわかる装備の人と、街歩きの格好の人が半々くらいの印象ですが、三浦アルプスはガッツリと登山装備の人のみという印象です。約4時間半は山の中を歩き続けるので、最低限、以下の装備を準備して出かけると安心です。
- トレッキングシューズ
- 化繊やウールのアンダーウェア、服:綿素材は、汗の渇きが遅いので避けましょう。
- カッパ、または撥水能力のあるウインドブレーカー
- グローブ:手を使う個所が多々あります。グローブが無ければ軍手でもかまいません。
- 水:季節や個人差もありますが、1.5リットルあると安心です。
- 行動食、ご飯:アップダウンが激しい山道では、平地に比べてカロリー消費が激しく、すぐにお腹がすきます。長時間運動を続けると、極度の低血糖状態に陥ることがあり、体が動かなくなります。これを回避するため、長時間の登山では必ずチョコレートなどの行動食を食べながら登ります。
- 地図:京急沿線トレッキングガイドがわかりやすくてオススメです。事前にプリントアウトしてきましょう。このガイドでは「3.仙元山から南尾根、京急田浦駅へ」というオレンジのルートで紹介されています。
- レジャーシート:コースの中盤の疲れてくる付近に、ベンチなどの休憩スペースがないので、レジャーシートがあると適宜休憩がとれて便利です。
- ザック:上記で紹介した諸々をザックに詰めてGO!
はじまりは教会から
さて、早速ハイキングに出かけましょう。本日のコースは、教会の奥に入り口があります。教会までは、JR逗子駅から京急バスで15分程度。風早バス停で下車します。
この坂道が出だしから結構キツイ角度で、息が上がりますが、後ろを振り返ってみると街並みの奥にすぐ海が見えて綺麗です。
そして前方には、真っ白な壁と、緑の屋根の上にのった十字架が目印の葉山教会が見えてきました。ハイキングコースの入口は、この教会の左手奥にあります。
教会の奥を15分ほど歩くと、先ほどちらりと見えた海が一望できるスポットに出ます。テーブルや椅子もあって、ちょっとした休憩スポットがあります。
観音塚
海が一望できるスポットをすぎると、途中右手に中学校の生徒たちの元気な声が聞こえてきます。この辺りはまだ街の真横にあるルートで、人の気配を感じながら歩けるところです。
そして、ここから徐々に三浦アルプス特有の激しいアップダウンが始まります。トレッキングマップでも紹介されている、250段の階段がお待ちかね。
建物の中にある階段よりも、段差が大きいので、結構太ももにきます。普段運動をしていない人は、確実に筋肉痛に数日苦しめられるキツさです。さらに上る&下るの両方があるので、太ももの前後の筋肉を使います。
階段の先にはベンチが。心憎い配慮です。この後はどんどん山が深くなっていき、お待ちかねの藪漕ぎスポットが登場です!いい感じに草木が茂ってます。グローブを付けてガンガン進んでいきます。
そして観音塚に到着。お地蔵様サイズの像が安置されています。風雨で表面がなだらかになっていますが、観音に縁のあるものでしょうか。観音塚は、標高167m。三浦アルプスの中でもまずまずの高さです。
茅塚
次に三浦アルプス最高峰212mの茅塚を目指します。ここは送電線の鉄塔などわかりやすいポイントもあるので目指しがいがあります。やっぱりここも途中途中に藪のコースがあり、飽きることなく歩くことができます。
さらにこんな風に木の根っこが路上に縦横無尽に露出していたり、とっても楽しい!
紛らわらしい分岐には、こんな感じで木に直接矢印がテーピングされたりしています。
方向案内では、「観音塚」と「乳頭山」が出てきますが、ひたすら乳頭山を目指して進んでいきます。
鉄塔①
途中、鉄塔が見えてきました。このコースには鉄塔が2カ所あります。コースの道幅も狭く、ゆっくり腰を下ろせる所が少ないので、鉄塔下で休憩しておくのがいいでしょう。
一つ目の鉄塔は観音塚から2.6km、乳頭山まで0.8kmの位置にあります。
椿のアーチ
鉄塔を越えると、ワイルドな三浦アルプスの中でカワイイ!!と叫びたくなるスポットが。季節にもよりますが、冬季には椿のアーチを見ることができるんです。100m程もつづく椿のアーチはまるで絵本の世界のよう。
鉄塔②(茅塚)
椿のアーチを越えて、二つ目の鉄塔に向かって進んでいきます。二つ目の鉄塔があるところが茅塚。本日の最高峰212mです。乳頭山まで残り0.6kmという地点で、手書きの「茅塚直登新ルート」の表示を発見。
新ルートということなので早速挑戦してみます。斜度お構いなしに直登するルートなので、結構足の筋肉を使います。ただし距離はとっても短いので、ここまで体力が残っていれば挑戦してみるのが面白いかも。
そして見えてきました。二つ目の鉄塔です。
鉄塔からは、今まで登ってきたご褒美とばかりに気持ちのいい景色が見えます!