保育園は日本よりずっとお金がかかる

 日本では、母親が仕事復帰しにくい理由のひとつに、「保育園に入れない」という問題があります。そのへん、アメリカではどうなのでしょう?

内田さんと三男 着物姿で三男を抱っこして
(画像=内田さんと三男 着物姿で三男を抱っこして)

「アメリカでは保育園に公的支援がないので、ほぼすべて私立で、給料が全て保育園代に消えてしまうという話もよく聞きます。費用は日本の10倍くらいかかりますが、数は多くあるので、全く入るところがないという状況にはなかなか陥りませんね。

 また保育園ではなく、ベビーシッターが毎日来たり(こういう場合はナニーと呼びます)、住み込みのナニーがいる家庭もあります。

 ベビーシッターは頻繁に使われています。我が家も学校がない日や、夜まで仕事がある日などにはベビーシッターさんに来てもらっています。男性のベビーシッターさんもよく頼みます。また、近所の高校生などに頼む方もよくいらっしゃいます。

 保育園やナニーに頼むといっても、やはり大半の育児は親がやっていて、仕事との両立は女性にとっても男性にとってもバタバタですね」

 日本では待機児童問題がありますが、アメリカでは低収入だと保育園やナニーに頼めない、という別の問題がありそうですね。  

結果で評価される職場は育児と両立しやすい

 また、日本では育児休暇から復帰後、「時短勤務」の制度がある会社も。これは育児と両立しやすい一方で、出世コースからはずれてしまう、という問題もありえます。

「日本では『女性は育児があるから』と時短で働くようにアレンジされたり、当直をさせないことがあると聞きます。でも私としては、男女にかかわらず、育児も仕事も期待値が同じであるところが働きやすいと感じます。

私がアメリカの職場で育児をしながらも働きやすいと感じるのは、時間ではなく生産性で評価される点です。職場に何時までいるかではなく、どれだけ患者さんを診ているか、どれだけ研究費を獲得できているか、どれだけ論文を出しているか、という結果で評価されます。

もちろんそのような結果を求められるのは厳しい側面もありますが、責任を果たせていれば、時間的な制約は大きくないことが、子ども達のスケジュールにも合わせた働き方ができている一因です」