教授からの怪しい誘いに困惑
特に問題もなく平凡な助教勤務が続いていた瑞江さんですが、ある日恩田教授からお願いごとを言われます。
「その日はヨガ教室を勤務時間後に予約していたので、いつもより早めに研究室を出ようとしたんです。そしたらいつもは無口な恩田教授が話だしたんです」
教授からの怪しい誘いに困惑「足柄さん、これとても良いから是非お友達にも紹介してみてもらえますか?」
いつも以上に穏やかで少しハキハキとした声で恩田教授は語ります。
「え? これ何ですか?」 瑞江さんはびっくりしたように質問します。
「音感が向上して演奏が上達するサプリメントなんです」
怪しすぎるサプリの説明に困惑
恩田教授は説明を続けます。
「このサプリはね、今までの音感上達を謳(うた)ったものとワケが違って、感覚神経をつかさどる間脳に直接作用する有効成分が含まれているそうなんだよ。耳は感覚器官だから、根幹の部分を鍛えられるんだよ。だから音感がすごく良くなって、町の雑踏ですら、音階に聞こえるようになるんだよ。僕の生徒さんもこれで難関を突破しているんだ」
瑞江さんは、いま目の前で何おこっているのか正直すぐには理解できなかったそう。
「今までの恩とか義理とかいろいろが頭の中をぐるぐる駆け巡って、結局友達にも紹介しますと言っちゃったんです。なんかとっても気分が重くなったのを覚えています」