イタリアで生まれたエスプレッソは、その濃厚な味わいで世界中の人々に愛されています。カフェのメニューに載せられていることも多く、日本でもすっかり人気が定着した感のあるエスプレッソ。本記事では、エスプレッソの歴史と雑学について調べた内容をお伝えします。
コーヒー豆不足から生まれたエスプレッソ
イタリアやフランスなどで、もっとも一般的なコーヒーとして親しまれているエスプレッソ。ここでは、エスプレッソが生まれた背景や歴史についてご紹介します。
エスプレッソとは
圧力を加えて瞬間的に抽出するエスプレッソは、イタリア語で「急行」を意味します。短い時間で抽出するため、雑味が出ずに、うま味とコクだけが残るエスプレッソ。深煎りのコーヒー豆を使用しますから、抽出液の色は漆黒ですが、見た目に反してカフェインの含有量は少なめです。イタリアの人々が、1日に何杯もエスプレッソを飲んでいるのも納得がいきますね。
経営難を救う苦肉の策
1806年、ナポレオンの支配下に置かれたヨーロッパでは、イギリスを経済的に追い詰める目的で「大陸封鎖令」が施行されます。海外との貿易が禁止されたため、ヨーロッパ各地でコーヒー豆や砂糖が不足するようになっていきました。すでにカフェ文化が深く根付いていたイタリアでは、たくさんのカフェが閉店に追い込まれていきます。
そんな中、1760年頃にギリシア出身のニコラ・ディ・マッダレーナが創業した老舗カフェ「カフェ・グレコ」が、経営難を逃れるための打開策として、コーヒーの量を減らして販売しはじめます。小さなデミタスカップにコーヒーを入れ、値段を下げて提供したところ話題になり、姉妹店を出すほどの人気に。こうして、「コーヒーといえば、エスプレッソ」という現在のイタリアの常識が広まっていくことになりました。
蒸気機関車がモデルに?
1901年、ミラノ出身のルイージ・ベゼラが蒸気機関車からヒントを得て、世界で初めてエスプレッソマシーンの原型モデルを完成させました。金属タンクに付属しているバルブのねじを外し、細かく挽いたコーヒーを詰めたハンドルを置きます。半分水の入った金属タンクを加熱すると、温度が上昇するにつれて蒸気による圧力が加わり、コーヒーが抽出される仕組みになっているのだとか。わずか30秒ほどでエスプレッソが抽出されるこの画期的な機械は、1906年に開催されたミラノ万博で、世界に紹介されました。