「富裕層はキャッシュリッチだから借金をしないだろう」というのが世間一般のイメージかもしれない。しかし、実は富裕層ほど借金に対して積極的なスタンスを取る傾向がある。日本では「借金は悪」と言われることもあるが、借金を利息が取られる「敵」として捉えるか、利息以上の収益を生み出す「味方」として捉えるかどうかで180度見方が変わってくる。

富裕層が借金を活用する理由

手元にある資産以上の取引ができ、借入コスト以上のリターンを生み出すことができれば、借金は怖い存在ではなくなる。特に今の日本は超低金利時代だ。預金に寝かせておいても資産はほとんど増えないが、逆の見方をすれば、お金を借りるには最高の状況ともいえる。

借金ができるということは、金融機関から融資を引き出せる「信用」という人的資本を持っており、借金をする能力があると言い換えることができる。もちろん、消費者金融レベルの金利になると話は別だが、ある一定未満の金利で融資をしてもらえる可能性があるのに、そうしていないのは、いわば自分が持つ資本を存分に使いこなせていない状態だ。これは一般サラリーマンにも言えることだろう。

「借金できる信用力」は使わないと「もったいない」

リスクをとれる環境や立場にあるなら、それを活用しないともったいない。富裕層はこの「もったいない」と感じることができる感性に優れており、たとえ手元に十分な現金があっても、敢えて借金するケースも多い。お金を増やす基本は「元本を減らさず、お金が増える仕組みをいかに作るか」だ。手元資金があっても、超低金利で借りられるのであればそれを使わない手はないと富裕層は考える。

それでは富裕層は、借金して何を買っているのか。自宅や高級車をローンで買うケースもあるだろうが、資産運用における借金に限定すれば、圧倒的に多いのが「収益不動産の購入」だろう。一部のプライベートバンクでは証券担保ローンを活用して、株式や投資信託を担保に、新たに株式や投資信託を購入するケースもあるが、多くの富裕層は安定的なキャッシュフロー(賃料)が期待できる不動産を購入する。