母乳は粉ミルクと違い、赤ちゃんがどのくらいの量を飲んでいるのかを目で確認することが難しいですよね。授乳時間が長いと飲みすぎではないか、授乳時間が短いと十分な量が飲めていないのではないか心配しているママはいませんか? 授乳時間の目安や長い時、短い時の対処法をご紹介します。
監修者紹介
監修:助産師 池田なおみ先生 助産師・整体師・まるまる育児やトコちゃんベルトアドバイザー。1男1女の母であり、難しく考えない母乳育児や、幸せな卒乳を推奨。ママが楽に、赤ちゃんも楽に、結果、育児が楽しめるスパイラルアップとなるよう、常に研究中。オンラインやリアル講座の自由が丘みひかるサロン代表。
赤ちゃんの授乳時間の目安や特徴は?
授乳時間は赤ちゃんの個性や月齢によっても変わってきます。ここでは赤ちゃんの月齢による授乳時間の目安や特徴をご紹介しますね。
新生児~生後1ヶ月頃
新生児~生後1ヶ月頃の赤ちゃんの授乳間隔は3時間ごと、授乳時間は20分程度(片乳10分ずつなど)、授乳回数は1日8~10回が目安とされています。しかし、この時期は母乳のあとミルクを足す混合の方も多いでしょう。母乳だけで眠れた時は2時間で起きたり、ペースは必ずしも3時間ずつとはならなくて大丈夫です
この時期の赤ちゃんは、母乳やミルクを上手に飲むことができないため、1日に10回以上の頻回授乳になることも珍しくありません。授乳回数や授乳時間は、母乳の出具合や赤ちゃんの体力、飲む力によっても変わってきますので、あくまでも目安だと思ってくださいね。頻回授乳は大変ですが、母乳は赤ちゃんに吸われるほど分泌が多くなるというメリットもあるので、授乳リズムが安定してくるまでは赤ちゃんが泣いたら授乳かな、と思っていてもいいでしょう。この時期は母乳の分泌も少ないので、4-5分ずつ2往復飲ませてみるのもおすすめです
粉ミルクの場合、母乳に比べて消化・吸収が遅いため、赤ちゃんが欲しがるだけ粉ミルクをあげてしまうと赤ちゃんの胃に負担がかかったり、栄養過多になることがあります。粉ミルクをあげる場合は、ミルク缶に書かれている1日の目安量を守り、授乳間隔は3時間は空けることを心がけてください。赤ちゃんの授乳リズムが安定するのは生後6週間~生後8週間以降と言われていますが、もちろん個人差がありますので、焦らず赤ちゃんのペースを大切にしてあげましょう。
生後2ヶ月以降
生後2ヶ月以降の授乳も、新生児期と大きくは変わりませんが、赤ちゃんが1回に飲める量が増えてくるため、授乳時間が短くなる傾向があります。一方で3~4カ月ころ、赤ちゃんの「遊び飲み」が始まると授乳時間が長くなることもあります。添い寝をしながら授乳をする「添い乳」は、赤ちゃんが授乳の途中で寝てしまい母乳をしっかり飲めていないこともありますが、寝なくて困っていたら、取り入るのもおすすめしています。 粉ミルクの場合は新生児期と同様、ミルク缶に書かれている1日の目安量を守り、授乳間隔は3時間は空くように管理してあげましょう。
母乳やミルクが足りているかはどう判断すればいいの?
赤ちゃんに母乳やミルクが足りているかを判断するポイントをご紹介します。
赤ちゃんの体重が増えていればちゃんと飲めている証拠
母乳やミルクが足りているのかを判断するポイントは、「体重が増えているか」です。赤ちゃんの体重の増え方は新生児であれば1日30g~40g、1ヶ月で600g~1kg程度増えていきます。ただし、体重の増え方には個人差があるため、1日単位で増えていないからといって焦る必要はありません。母子手帳にも記載されている、厚生労働省が発表している成長曲線の中で、赤ちゃんの体重がゆるやかでも増えていれば大丈夫です。
【月齢別】赤ちゃんの平均体重
月齢 男の子 女の子 出生時 2.98kg 2.91kg 生後1ヶ月 4.78kg 4.46kg 生後2ヶ月 5.83kg 5.42kg 生後3ヶ月 6.63kg 6.16kg 生後4ヶ月 7.22kg 6.73kg 生後5ヶ月 7.67kg 7.17kg 生後6ヶ月 8.01kg 7.52kg 生7ヶ月 8.30kg 7.79kg 生後8ヶ月 8.53kg 8.01kg 生後9ヶ月 8.73kg 8.20kg 生後10ヶ月 8.91kg 8.37kg 生後11ヶ月 9.09kg 8.54kg 生後12ヶ月(1歳) 9.28kg 8.71kg
赤ちゃんのおしっこの回数や色をチェックする
赤ちゃんが母乳やミルクを飲めていないと、水分不足で脱水症状になってしまうことがあります。おしっこの回数や色で、水分不足かどうかを見ることで、母乳やミルクが足りているのかを判断することもできますね。赤ちゃんのおしっこの回数は1日に平均6回程度と言われています。オムツ替えの時におしっこをほとんどしていないことが続いたり、半日以上おしっこが出ていない場合は脱水症状の可能性があるので、母乳だけで頑張っていたらミルクにも頼ってみましょう。いつもより赤ちゃんのおしっこの色が濃い場合も水分が足りていないサインなので、母乳やミルク、赤ちゃん用の麦茶などで十分な水分補給を行いましょう。
赤ちゃんの授乳時間が短い時の対処法は?
母乳の場合と粉ミルクの場合で赤ちゃんの授乳時間が短い時の対処法について見ていきましょう。
赤ちゃんの授乳時間が短い時の対処法:母乳の場合
生まれたばかりの赤ちゃんは体力が無いため、授乳の時間になっても寝ていたり、おっぱいを吸いながら寝てしまったりすることも珍しくありません。授乳中に赤ちゃんが寝てしまった時は、足の裏やわきの下をくすぐるなどのスキンシップをしてみたり、片乳10分×2回ではなく、片乳5分×4回といったように左右のおっぱいを頻繁に入れ替えてみるのもおすすめです。
授乳時間が短い理由の1つとして、母乳が出る量が少ないことも考えられます。前回の授乳から3時間経つ前にお腹が空いて泣くことが頻繁にあり、体重も増えていないようであれば、赤ちゃんの様子を見ながら粉ミルクを足してみましょう。
赤ちゃんの授乳時間が短い時の対処法:粉ミルクの場合
赤ちゃんがミルクを5分で飲み切ってしまう…など、赤ちゃんのミルクを飲むスピードが早いと心配になるパパママもいるでしょう。ミルクを飲む場合、10分、15分とゆっくり飲むことで満腹中枢が満たされ、ミルクの飲みすぎ防止になります。赤ちゃんがミルクを一気飲みすると、吐き戻してしまうことも…。赤ちゃんがミルクを一気飲みしてしまう場合は、哺乳瓶の乳首のサイズや形を変えて、ミルクが出る量を調整してみるのも一つの手です。歯並びのためにも、アゴをうごかして15分くらいかけて飲む哺乳瓶がおすすめです
赤ちゃんの授乳時間が長い時の対処法:母乳の場合
3~4ヶ月ごろまでの赤ちゃんは口に入ったものを強く吸う吸啜反射(きゅうてつはんしゃ)もあるため、ママの方でなんとなくお休みが多くなったら、反対に行くよと声をかけ、離してあげて大丈夫です。 授乳時間があまりにも長いと、赤ちゃんが母乳を飲みすぎて言えるのでは? という心配だけでなく、ママの乳首が切れてしまうなどの乳首トラブルにもつながります。もし赤ちゃんが遊び飲みをしているなら、静かな部屋で授乳をするなど、授乳に集中できる環境を作ってあげましょう。授乳に集中できる環境を整えても遊び飲みが続く場合は、時間を決めて「もうおっぱいはないないね」などと声をかけて切りあげてしまうのも1つの手です。 授乳後、赤ちゃんの機嫌が良いようであれば母乳をしっかり飲めているので安心してください。また、母乳が足りないことが原因で赤ちゃんがお腹いっぱいにならず、ずっと吸い続けている可能性もあるため、時間を決めて授乳を切りあげ、赤ちゃんの様子を見ながら粉ミルクを足してあげましょう。ときどき1時間吸わせているという方もいますが、ママが疲弊してしまうので、ペースを先導してあげてください。
赤ちゃんの授乳時間が長い時の対処法:粉ミルクの場合
粉ミルクを飲んでいる赤ちゃんは、哺乳瓶の乳首を咥えていてもなかなかミルクの量が減っていないと悩むパパママもいるのでしゃないでしょうか。赤ちゃんは生後3ヶ月頃になると遊び飲みを始めることがありますので、赤ちゃんが授乳に集中できる環境を作ってあげましょう。
哺乳瓶の乳首のサイズや形を変えてミルクが出やすいように調整してあげたり、違う種類の粉ミルクで味を変えてみたり、といろいろ工夫しているパパママもいるようです。それでもミルクを飲んでくれず、赤ちゃんの機嫌が悪い、体重が増えていないようだったら、病院の先生に相談してみましょう。
赤ちゃんの授乳のポイント
授乳リズムが整っていない時期は、頻回授乳や乳腺炎などのトラブルはつきものです。なるべくママの負担が少なくなるように授乳のポイントをご紹介します。